ようこそマニアックな世界へ(笑)。
おそらくこの記事に辿り着く方は、
・勉強熱心で好奇心旺盛
・マニアック感漂うマイナー産地を求めている
いずれかに属しているのではないでしょうか。
今回は、一般レベルのワインの知識では辿り着く確率が非常に低い産地、
イランシーです。
シャブリに隣接し、赤ワインのみイランシーを名乗れる産地ですが、日本への輸出は非常に少ない為ほとんど見かけることもなく、そもそも知らない方も多い事でしょう。
知る人ぞ知る良質ワインをお探しでしたら、この記事は役に立つ可能性を秘めています。
さて、私はイランシーのワインで多くの日本の一般消費者の方々に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてました。
その結果、やはりそのマイナーさ故に、そもそもたくさん飲まれているワインは存在せず、しかも実際購入できるワインも、私の調べる限り6生産者しか見つかりませんでした。
今回はそんな6つの生産者の中でも最も満足度が高いのでは!?
そう感じたダヴィド・ルノー を紹介させていただきます。
ちなみに他の生産者はパッとしない口コミ内容、あるいはほぼ売っていないという事でしたから、このイランシーにおいては唯一紹介するのがダヴィド・ルノーという事になります。
※参考までに6つの生産者です
・ドメーヌ・ベルサン
・ドメーヌ・グラン・ロシュ―
・ドメーヌ・ルネ・エ・ヴァンサン・ドーヴィサ
※シャブリではかなり評価も高い生産者ですが、ここではイマイチの口コミ内容です。
・ドメーヌ ヴィーニ・ヴィティ・ヴィンチ
※良い評価でしたが、ほとんど売っていないので・・
・ドメーヌ・ゴワゾ
・ドメーヌ ダヴィド・ルノー
《ワイン名》 ダヴィド・ルノー イランシー
《価格》
【4000円前後】
《ブドウ品種》ピノ・ノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>イランシー
《生産者》 ダヴィド・ルノー
ここで簡単にプロフィール。
ダヴィド・ルノーはイランシーに本拠地を構える歴史ある生産者で、現当主のダヴィド・ルノー氏は2005年にドメーヌを引き継いだ4代目。
フランス国内での人気もあり、輸出量はわずか10%程度。
テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)を最大限に表現する造りは、多くの人々を楽しませています。
《味わいの特徴》
優しい果実味・綺麗な酸
滋味深さも持ち併せる
このワインの特徴は、強すぎず弱すぎない適度でやさしい果実味を、綺麗な酸が味わいを引き締める品質にあり、適度なタンニンに鉱物的なミネラル感に旨味など、落ち着きを感じる滋味深さも持ち合わせています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■イランシーのテロワール■
イランシーのテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)は、シャブリに隣接している事もあり気候は冷涼で、土壌はミネラルを多く含んだ石灰質土壌や泥灰土から構成されています。
その冷涼さはブドウに豊富な酸をもたらし、ミネラルを多く含んだ土壌は、凛とした鉱物的なミネラル分を感じるワインを生みます。
■ヴィエイユ・ヴィーニュ■
土地の成分を吸い上げる能力が高いなど、上質な果実を実らせる樹齢50年以上の古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)のブドウを使用しています。
■ビオロジック農法■
化学肥料や農薬を使用しないビオロジック農法を実践することで、微生物の働きが活発になり、健全で成分豊かな土壌が育ちます。
その結果ワインには豊富な成分が反映され、雑味の無いピュアで透明感を持った品質になります。
【外観】
ガーネットを帯びたルビーレッド
【香り】
イチゴやラズベリーなどの赤い果実のフレッシュさやチャーミングさのある香りに、ブルーベリーやプラムの落ち着いた果実香、スミレの華やかさや、金属的なニュアンスに仄かな樽のニュアンスも加わります。
【味わい】
ほんのり甘味を伴った果実味が優しく広がり、生き生きとした酸は味わいを綺麗にまとめます。
しなやかなタンニンは構造ある質感を表現し、適度なコクや少しの苦味をアクセントに感じつつ、心地よい余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば、酸味を感じやすくエレガントで軽快な飲み口が楽しめますし、温度を上げるほど香りと味わいが広がり、豊かな風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ2年~10年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
良いヴィンテージのワインほど、飲み頃になるのが遅く長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど、比較的早くから楽しめ飲み頃の期間は短くなります。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下のようになっています。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと落ち着いた味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
カプレーゼ
鴨鍋
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、落ち着いた風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ちょっと珍しい産地のピノを選ぶ時に良いでしょう。
ワイン好きの仲間との集まりで、イランシーが登場すれば、
「おもしろいの持ってきたね!!」
と盛り上がりそうです。
《こんな場合には不適切!?》
奥深さのあるピノですが、凝縮感ある果実味やパワフルさのあるワインではありません。
そのようなワインが好きな方には、このワインが酸っぱくて薄く感じてしまいそうです。
果実味溢れるカリフォルニアワインや、骨格あるボルドー格付けワインを選ぶべきでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「スッと飲めて美味しいけど、この価格ならもう少しグッとくる感じがあってもいいかな。」
【良い口コミ】
「シャブリの赤って呼ばれるとか。個人的にはツボです。赤身のお肉の刺身や、軽く炙ったものにベストマッチ。」
「2年熟成の2014。色は薄いけど結構酸もタンニンもしっかりありますね。それでいてタンニンはシルキーだから心地よい。赤い花の芳香性や梅を思わせる酸も上品にまとまっており、3200円なら買いだと思います。」
「2年熟成の2014。ラズベリーに特徴的な梅やシソを思わせる香り。冷涼な産地のピノという感じで、これまた梅シソ的なフレッシュな酸に凛としたミネラル。透明感ある味わいで少しの苦味がアクセント。奥行きや妖艶さも垣間見える味わいで、レベル高いと思います。」
という皆様の声でした。
その他にいくつかの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 10%
美味しい 36%
普通 50%
良くない 4%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
そもそもの口コミ量があまり多くない事もありますが、マイナスイメージのコメントはほとんど見当たりませんでした。
感動レベルの評価を付ける方もおられましたが、無言の高評価という事で、全体的印象としては、そこそこの奥深さのあるキレイなブルゴーニュ・ピノで、価格も考えれば満足感はあると感じる方が多い傾向でした。
際立つような品質ではないにせよ、珍しい産地のワインであり、特徴的な梅シソ感のあるキレイな品質は、試してみる価値もあると感じる結果となりました。
以上です。
イランシー。
そこまで大きな期待は持てませんが、知ったからにはなんだか気になる産地ですね。
いろんな産地・品種・生産者を知って、さらに味わっていけば経験値がどんどん上がっていく事でしょう。
人生の幸福度は善かれ悪かれ、多くの経験を積んだ量にもよると言います。
さて、このワインはあなたにどのような経験をもたらすのでしょうか。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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