「テロワリスト」という言葉を聞いた事はあるでしょうか。
「テロリスト」ではありません。(まぎらわしい)
当主であるジャン・マリー氏は自身をテロワリストと呼び、こう語ります。
「ぶどう自身のパワーを信じ、人間は極力手を加えずに自然に任せたワイン造りをするべきである。醸造は小手先のテクニックではなく、ぶどうの生命力に身をまかせることで最上級のワインができる」
つまり、テロワール=気候・土壌などブドウを取り巻くすべての自然環境。
このテロワールをワインに表現する事を徹底的にこだわる者=テロワリストという事なのです。
ジャン・マリー氏は、地元の農業高校⇒ブルゴーニュ大学で醸造を学ぶ⇒ブルゴーニュ神様、アンリ・ジャイエのもとで修業⇒アメリカ・オレゴンのジョセフ・ドルーアンで修業。
このような経歴を持つマリー氏は、ピノノワールの深い知識・技術を習得。23歳の若さで父からドメーヌを引き継ぎ、現在も最高品質のワイン造りに取り組んでいます。
少量生産かつ人気のため非常に希少性も高く、手に入れにくいワインでもありますが、ジュヴレ・シャンベルタンの生産者の中でも間違いなくトップクラス。
実際飲まれた方の評価も非常に高かったので、紹介させていただく事にしました。
今回取り上げるのは古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)の村名ワインです。
プルミエもグランクリュも素晴らしい評価を受けていましたが、実際飲まれた人が多く、価格も考えれば総合評価も高いのでは?と、個人的に感じましたので紹介する事にしました。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 ドメーヌ フーリエ ジュヴレ シャンベルタン ヴィエイユ ヴィーニュ
《価格》
【11000~25000円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノ・ノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ジュヴレ・シャンベルタン
《生産者》 ドメーヌ・フーリエ
《特徴》
ピュアでエレガントで複雑
若くても熟成させても
フーリエのワインの特徴は、ポテンシャルの高いピノノワールによって、繊細でありあがら奥深い旨味・複雑さを持ったスタイルにあります。
比較的柔らかな質感でバランスの良さがある事から、若いうちから楽しめる傾向もあり、もちろん熟成させることでも円熟味の増した妖艶な品質にも成長していきます。
そのような高品質なワインが生まれる理由は、上質で奥深いブドウを実らせる樹齢の高いブドウの樹=古木を使用する事にこだわっている事。
減農薬農法(リュット・レゾネ)により、ありのままの土壌から生まれるワインは、古木によって自然のエキスを存分に吸い上げ成分豊かなワインを生みます。
その他にも経験知識豊富なフーリエは、テロワールを表現するためのワイン造りを実践していますが、そのようなポテンシャルの高いブドウのありのままを表現するために、樽香が反映されやすい新樽の使用比率をあえて低くすることで、樽香はほどほどでブドウのピュアで複雑な風味を感じやすくしており、その主張しすぎる事のない優雅さは、「ワインは食事と楽しむもの」と考えるフーリエのこだわりを感じる事もできます。
【外観】
美しいルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
イチゴやラズベリーなどのフレッシュで甘酸っぱい果実香に、ブルーベリーやカシスなどのフルーティな果実香も感じられ、バラの華やかさに加え樽香もほのかに感じられます。
熟成が進むほど果実香は落ち着きあるドライフルーツを思わせるニュアンスになり、土・革製品・紅茶・血液を思わせる熟成香も加わり複雑さが増します。
【味わい】
繊細でありながら旨味を持ち併せた洗練された果実味はエレガント。
タンニンは存在感はあるもののシルキーでなめらか、美しい酸味は味わいをまとめ、華やかで優雅な風味を残した余韻が長く続きます。
熟成が進むほど成分は溶け合いなめらかさが増し、複雑性も増した円熟味を感じる味わいになり、妖艶で官能的な品質に成長してゆくでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで華やか、洗練された香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3年~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
美しい外観と香りを持ったスケール感あるワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がり甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ラムチョップ
天然平目のグリルをレモンバターソースで
など、上質な素材でコクのある味わいの料理に合わせる事で、華やかで複雑な風味の広がる極上のマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
【ジュヴレ・シャンベルタンの最高峰を味わいたい方】
フーリエははジュヴレ・シャンベルタンの最高クラスの生産者と呼べるでしょう。
そのような生産者の造る村名ワインは、通常の村名ワインの次元を超えた、最高峰の味わいを体感できるでしょう。
【贈り物などに】
ワインに詳しい方ならば、このようなフーリエのワインをもらって喜ばない人などいないのではないでしょうか。
稀少性も高く、その味わいも含めて別格の存在は、大切な方への贈り物や、特別な日に特別な方と楽しむワインとしても、十分に力を発揮してくれるのではないでしょうか。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「9年目のフーリエはオレンジがかった色調に、溢れる優雅な香り。包み込まれるような味わいで果実味と旨味が心地よいですが、一本芯の通った質感でもあります。そして綺麗な酸が味わいをまとめてくれます。表現力の乏しい私には美味しいという言葉しか思いつきませんが、美味しいです(笑)」
「7年目のフーリエ2011を始めていただく。おぉ。なんともしなやかで、舌の上を抵抗なく流れるような液体。じんわりと現れる旨味。紅茶のような風味もあり魅惑的なワイン。満足度の高い秀逸なワインだ。」
「10年目の2009はうっとりしちゃうような香り。お花畑のようで香水のような華やかさ、紅茶にタバコに土っぽい複雑さもあります。透明感のあるピュアな味わいは心地よく、素敵な時間をすごせました。」
【悪い口コミ】
「5年目の2014はオレンジがかったルビー。赤系果実に土やキノコ類のアロマ。清潔感ある果実味に美しい酸、ジュブレらしい肉や血液を思わせるニュアンスもある。時間が経つほど果実味は広がりを見せ旨味も増すが、全体的に味わいが溶け合っていない印象。翌日はやや果実味は枯れ気味になったかな。良いワインではあるが、どこか危なっかしさを感じるワインでもある。」
「以前飲んだモレサンドニが素晴らしかっただけにちょっと物足りなく感じてしまった。5年目の2014で、悪くはありませんけど。」
「3年目の2016という事で若いかと思ったが、早くから楽しめると聞いて開けた。イチゴのような甘酸っぱさを感じる味わいで、酸味と渋味は比較的穏やかだが、確かな存在感を感じて骨格があり確かに若くても旨い。ただし値段と見合うかは、どうだろうと思ってしまった。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 3%
美味しい 84%
普通 13%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
比較的若いうちから楽しめて高評価で、熟成させるとさらに満足度の高い味わいに成長している傾向が感じられ、高品質なワインである事が伝わってきました。
ただし、高評価ではあるものの、意外とマイナスイメージのコメントを含めた口コミもちょいちょい見られ、アルマン・ルソーほど皆様の心は掴めていない印象でした。(お値段も違いますが・・)
とは言っても、入手困難で高品質なフーリエは憧れのワインであり、ワインラバーの方々も敬意を持ってこのワインに向き合っているような、そんな口コミのニュアンスも感じられ、品格あるワインなのだという事も伝わってきました。
以上です。
「フーリエのワインを入手できた数少ない人へ、心からおめでとうと言いたい!」
と言われているワインです。
私にも言わせてください!!
手に入れられます。下のリンク先で。
おめでとうございます!!
そして、ありがとうございました。
予祝というものをたまにやります(笑)
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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