ジュラ地方特有のワインと言えばヴァンジョーヌ。※ヴァンジョーヌとは
今回紹介するヴァンジョーヌは、数あるヴァンジョーヌの中でも最も口コミ満足度(vinica)が高い印象。ほんのり蜜のニュアンスも感じられるマイルド系のヴァンジョーヌで、最高峰と呼ばれるシャトーシャロンに比べれば価格も手頃。ヴァンジョーヌに興味がある方におすすめできる銘柄だと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》フィリップ ヴァンデル ヴァンジョーヌ
《価格》
【7000円前後】
《ブドウ品種》サヴァニャン
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ジュラ サヴォワ地方>レトワール
《生産者》 ドメーヌ フィリップ ヴァンデル
ドメーヌ フィリップ ヴァンデルはジュラ地方のレトワールを代表する造り手。
2020年現在、当主であるフィリップ ヴァンデル氏は、レトワールで1883年から続く生産者の6代目ですが、2001年に畑の一部を相続し独立しました。
ヴァンジョーヌ、クレマン ド ジュラ、スティルワインまで手掛けており、手頃な価格にしては品質が高く、ワイン評論家やワイン誌での評価も高い。
《味わいの特徴》
複雑でまろやか
シェリーや紹興酒にも似た
独特の味わい
このワインはシェリーや紹興酒にも似たヴァンジョーヌらしい複雑で独特の風味を持った味わいですが、他の生産者のヴァンジョーヌと比較すると酸化ニュアンスは抑え気味。ドライな味わいをベースに持ちつつ、少しの甘味を伴ったピュアな果実感も垣間見える優しさもあります。
■テロワールを忠実に表現■
フィリップ氏はレトワールのテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)を表現したピュアなヴァンジョーヌにする事を目指しています。
それでは栽培や醸造に関する情報をまとめます。
- リュット レゾネ
石灰質土壌に由来する豊富なミネラルを持つレトワール。化学肥料や農薬を極力使用しないリュット レゾネ(減農薬農法)を実践することで、土地の酵母など様々な生き物の営みが反映され、土壌はさらに健全で成分豊かな状態になります。その成分を吸い上げたブドウは、ピュアで充実したワインを生みます。 - 完熟ブドウ
最大限に熟したブドウを使用。糖度を高めたブドウは厚みのある味わいを表現し、少しの甘味をもたらす要因にもなっています。 - 収量制限
剪定などで収穫量を抑えることで残されたブドウに成分を集中させます。 - 独特の伝統製法
ヴァンジョーヌは通常のワインと同じようにアルコール発酵を終えた白ワインを樽に入れ熟成させます。
そうするとワインは少しずつ気化して減っていきます。
通常のワインはここでワインを補充しますが、ヴァンジョーヌはそれをしません。
そうするとワインの表面には《フルール》と呼ばれる産膜酵母という膜が発生し、このフルールの発生した状態の熟成を6年間する事が義務付けられています。そうすることでフルールがワインに独特の風味を与えます。 - SO2は抑える
醸造においては酸化防止のために使用するSO2(亜硫酸塩)を極力控え、ブドウ本来のピュアな味わいを表現しようとしています。 - 酸化ニュアンスは控えめ
これに関しては具体的取り組みの情報はありませんでしたが、フィリップ氏はよりピュアな味わいを目指しており、ヴァンジョーヌ特有の酸化ニュアンスは他の生産者よりも控えめに仕上げられています。
【外観】
深みのあるイエローゴールド
熟成するほど琥珀色に近づいていきます
【香り】
熟したリンゴやパイナップルやドライフルーツなどの果実香に蜂蜜のニュアンス。ローストしたアーモンド、ナツメグ、バニラなどの香りがあり、それらが一体となった複雑な芳香が広がります。
【味わい】
ボリューム感のある味わいは果実味は控えめでドライな印象ですが、旨味の凝縮感があり、少しの甘味が優しく広がります。豊富な酸と凛としたミネラル感が味わいを引き締めると、様々な風味を残した余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【10℃~18℃】
冷やし気味にすれば酸が強調され引き締まった印象に。
温度を上げるほど酸は穏やかな印象になり、広がる風味が楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~20年
※一般的傾向から推測
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【小ぶりのグラス】
【ふくらみのある大きめのグラス】
冷やし気味にして軽快さを楽しむ場合、温度も上がりにくい小ぶりのグラスを選ぶと良いでしょう。
少し温度を上げて広がる風味や味わいを楽しむ場合は、香が取りやすく温度も上昇しやすい大きめのグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
トムヤンクン
コンテなどハードチーズ
紹興酒にも似た風味があるワインで、紹興酒を使用した中華料理やオリエンタルスパイスの効いたエスニック料理との相性も良いでしょう。また、ジュラの名物チーズであるコンテとの相性が良いことでも知られています。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
これはとても珍しいワインみたい。でも私には合わないやつです!!
もう少し甘いのかと思ったけど、かなり辛口なんですね。ちょっと不得意なシェリーにも似てる~~
マイルドよりワイルドが好き。このヴァンジョーヌは少し甘味があって比較的マイルド系のようですね。悪くはないけど、私はもっとクセのあるワイルドなのが良いかな。
【良い口コミ】
黄ワインって呼ばれてるけど、これはワインじゃない!!香りがたまらん♪
透明感のある深いゴールドの液体は輝きがあり、リンゴジャム、白桃のコンポート、アーモンド、バニラ、コーヒー、蜂蜜など複雑な芳香。しなやかな飲み口で少しの甘味を伴った果実味。豊富なミネラルや心地よい酸味が厚みのある味わいを表現し、複雑な風味を残した長い余韻へと続く。とても優れたヴァンジョーヌで、定番のコンテチーズと合わせてみると、確かに抜群の相性だとわかった。
コンテと合わせれば至高のマリアージュが楽しめる♥♥
シェリーと間違えるくらいの香り。味わいはシェリーよりも果実味が感じられる。蜜の甘味を伴った独特の味わいで酸はしっかり。この独特さがコンテの塩気や旨味にマッチするのです。
という皆様の声でした。
その他にもいくつかの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 43%
普通 47%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
やはり独特の風味は賛否が分かれる印象。その独特さをネガティブに捉える方も少々ですが、素晴らしいと感じる方も少々。ジュラ名産のヴァンジョーヌと共に、同じくジュラ名産のハードチーズであるコンテと共に楽しむ方が多いワインでした。
シェリーや紹興酒があまり得意ではない方にはおすすめできませんが、それらが好きな方にはおすすめできる深みのあるヴァンジョーヌだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
フィリップ ヴァンデル ヴァンジョーヌは
【価格】
7000円前後
【味】
シェリーや紹興酒にも似たヴァンジョーヌらしい複雑で独特の風味を持った味わいだが、他の生産者のヴァンジョーヌと比較すると酸化ニュアンスは抑え気味。ドライな味わいをベースに持ちつつ、少しの甘味を伴ったピュアな果実感も垣間見える。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~20年
※一般的傾向から推測
【口コミ】
独特の風味は賛否が分かれる。
その独特さをネガティブに捉える方も少々ですが、素晴らしいと感じる方も少々。
数あるヴァンジョーヌの中では最も好感度が高い印象。
ジュラ名産のヴァンジョーヌと共に、同じくジュラ名産のハードチーズであるコンテと共に楽しむ方が多い。
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