品質においてプーリア州の頂点で、プリミティーボにおける世界最高のワイン。
客観的で個人的な解釈でそう感じた生産者の非常にパワフルな赤ワインです。
プリミティーボらしい濃密な果実感があり、16%を超えるアルコール度数は存在感抜群。同時にクドさの無いエレガンスも両立しており、日本の一般消費者の方々からも非常に高い満足感を与えている事がわかりました。
存在感抜群の味わいとワイン名とボトルデザインは、きっと印象的なプレゼントにもなりえますし、記憶に残る味わいだと感じています。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ジャンフランコ フィノ Es(エス)
《価格》
【8000~9500】
《ブドウ品種》プリミティーヴォ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 やや甘口
《産地》 イタリア>プーリア州
《生産者》 ジャンフランコ フィノ
ジャンフランコ フィノはプーリア州を代表するトップ生産者であり、イタリア屈指の優良生産者です。
創業者であるジャンフランコ フィノ氏はオリーブオイルの専門家として活躍していた人物。イタリア食文化の重要人物、故ルイジ ヴェロネッリの片腕として、オリーブオイルガイド本の作成をサポートしていた実績もあります。
そんなジャンフランコ氏が2004年にワイナリーを設立。
優れた土壌を持つ畑と上質なブドウを実らせる古木を所有していましたが、「何もしなくてもそこそこのものはできるが、そこから上に行くには畑仕事が重要だ」と語るように、惜しまぬ努力を継続して実践します。
そして、プリミティーヴォ マンドゥーリアDOC「Es」によって一躍有名になり、イタリアを代表するガイドブックガンベロロッソで2010年に最優秀栽培家賞を獲得するなど、様々なワイン評価誌で賞を獲得するようになります。
今回紹介しているEs(エス)は、ワイナリーを代表する銘柄で、非常に高い評価実績の一例は以下の通りです。
・ガンベロロッソで最高賞トレビッキエリを2006~2012まで連続受賞。
・イタリアの5大ワインガイドの総合得点で2009,2010,2011と3年連続でイタリアNO1の評価を受ける。
・イタリアのワインガイド「ルカマローニ」で2011が97点。2015、2016、2017が98点。
・世界的ワイン誌ワインアドヴォケイトで2013が95点を獲得。
ちなみに「ES」とは、心理学者フロイトが提唱した『人間の本能の最も奥底に位置する欲動』を意味しています。
《味わいの特徴》
凝縮感に溢れ
パワフルかつ上品な
魅惑的味わい
このワインの特徴は、心地よい甘味とコクを伴った濃密な果実味を適度な酸とタンニンが支えるパワフルな味わいでありつつ、雑味の無い清潔感によりクドさや引っ掛かりの無いエレガントな飲み口を両立しているところ。
果実の充実ぶりに樽やスパイスに熟成のニュアンスも加わった複雑な味わいで、最初の一口から余韻に至るまで魅惑的な味わいに包まれます。
【外観】
中心部が黒に近い赤紫
【香り】
ブラックベリーやプラムなど円熟した果実の豊潤さに、レーズンなどのドライフルーツのニュアンス。樽に由来するバニラやチョコレートの香りやクローヴや革製品なども加わり、それらが一体となったパワフルな芳香が広がります。
【味わい】
凝縮感溢れる果実味は心地よい甘味とコクがあり、豊富でシルキーなタンニンと穏やかな酸と相まってリッチで優しい飲み口。
濃密な味わいでありながら洗練された清潔感があり、フルボディでありつつクドさの無い上品さも両立。
樽、スパイス、革製品などの風味も加わることで複雑で奥行きある味わいとなっており、リッチで魅惑的な風味を残した長い余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
このワインに使用されるプリミティーボは、濃い色調でジャムのような甘味を伴った果実のジューシーな味わいが強いところが特徴的。酸味と渋味はほどよくアルコール度数が高めでしっかりとした味わいを生む傾向です。
■優れた土壌■
石灰岩の多い鉄分由来の赤い土壌で、ブドウ栽培に適した優れた畑を所有しており、土壌に由来する豊富なミネラル分を反映したワインが生まれます。
■自然な栽培■
農薬や化学肥料は不使用。
土地の天然酵母など様々な生物の営みが反映された土壌は健全で成分豊かな状態になり、上質なブドウが実ります。
■ヴィエイユ ヴィーニュ■
ブドウの樹齢は2021年現在およそ50年~90年の古木(ヴィエイユ ヴィーニュ)。
若い樹に比べ土地のエキスを吸い上げる能力が高いなど、上質なブドウを実らせるのが古木の特徴です。
■収量制限■
剪定や間引きなどで収穫量はあえて抑えます。
1本の株にわずか400gのブドウとしており、残された良質なブドウに成分が集中することで凝縮感溢れるワインが生まれます。
■完熟ブドウ■
ジャンフランコはブドウを少し乾燥気味にしても良いと考えています。
より熟し糖度の高いブドウを収穫しており、非常に凝縮感ある果実味を持ったたワインが生まれます。
また、アルコール発酵はブドウの糖分がアルコールに変化する発酵であるため、糖度の高いブドウはアルコール度数の高い(16.5%)パワフルなワインを生みます。
■丁寧で自然な醸造■
収穫は日の出から10時半までとしており、収穫されたブドウは冷蔵車でワイナリーへ移動し醸造に入ります。
この事は温度によるブドウの劣化リスクを抑えるため。
醸造や熟成においても常に清潔を重視した造りを実践しており、雑味の無いクリーン味わいを目指しています。
■樽熟成■
9ヶ月間の熟成にはフレンチオークに小樽(バリック)を使用し、新樽比率は50%。
樽の風味が反映しやすいのは小樽>大樽、新樽>古樽で、強めに樽の風味を効かせますが、ブドウの充実した風味とのバランスを考慮した強さと言えます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸や凛としたミネラルが際立ち引き締まった印象。エレガントな飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、ボリューム感のあるリッチな味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年。またはそれ以上。
【当たり年】
プーリア州のヴィンテージチャートは不明ですが、ワイン誌によるEsの評価も実績はは以下の通りです。
・ガンベロロッソで最高賞トレビッキエリを2006~2012まで連続受賞。
・イタリアの5大ワインガイドの総合得点で2009,2010,2011と3年連続でイタリアNO1の評価を受ける。
・イタリアのワインガイド「ルカマローニ」で2011が97点。2015、2016、2017が98点。
・世界的ワイン誌ワインアドヴォケイトで2013が95点を獲得。
というように、ほぼ全てのヴィンテージで高い評価を受けている事がわかります。
《適正グラス》
【ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと味わいをバランス良く感じ取れます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
フォアグラのポワレ
和牛すき焼き
など、上質で深いコクのある料理との相性が良く、パワフルでジューシーなワインの味わいが料理と溶け合い、互いを引き立て合います。
また、ワイン単体でも十分に楽しめる存在感がありますが、塩味の強いブルーチーズと合わせるとワインの甘美さが際立ち、より互いの味わいを引き立てます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
3年熟成の2017はまだまだ先が飲み頃でしょうね。開けてから2日間は果実味たっぷりだけどスパイシーでアルコールが主張気味で、やや渋味も目立つ印象。3日めでようやく滑らかさが出てきた感じです。
【良い口コミ】
5大シャトーやグランクリュなどの一流ワインには香りの複雑さでは劣るものの、非常に印象深いワインです。5年熟成の2014は果実味の凝縮度では私史上では過去最高。そして、ただ濃いだけではなく酸とタンニンによってしっかりと構造が形成されており、バランスも良く素晴らしいと思います。
温かい南の産地らしい溢れんばかりの果実味に満足です♪プリミティーボ特有のジャムのようなニュアンスたっぷりでありつつ、クドさやわざとらしさもなく、ボリューミーかつ上品な味わいですね。
4年熟成の2015は果実を煮詰めたかのような重厚な味わいで、カカオや黒糖にハーブのニュアンスが加わり複雑。濃厚だけどいい感じで酸がまとめてくれるのでバランスも良いですね。
飲み物なのに噛めそうなほど厚みのある果実味。3年熟成の2015は黒系果実のコンポートに樽や革製品の香りに、クローヴなどの暖かみのあるオリエンタルスパイスの香りも加わり複雑。甘味のある重厚な果実味にシルキーなタンニンが溶け込んでいて、角の取れた酸がまとめてくれます。なんとアルコール16.5%ですが、そう感じさせない柔らかな余韻も素敵です♥
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 20%
美味しい 57%
普通 23%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
非常にパワフルな味わいへの満足度が高い銘柄でした。
溢れんばかりの凝縮された果実味と、16%を超えるアルコール度数がある濃密でバランス良い味わいに感動される方も少なくなく、満足される方が最も多い傾向。
プリミティーボらしい甘味に対するネガティブコメントもあるのではないかと思いましたが、見る限りではそのような意見はなし。
濃密で甘美なニュアンスはありつつ酸やタンニンとのバランス、そしてクドさの無い洗練されたエレガントさも持ち合わせている事が窺い知れました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ジャンフランコ フィノ Es(エス)は
【価格】
8000~9500
【味】
心地よい甘味とコクを伴った濃密な果実味を、適度な酸とタンニンが支えるパワフルな味わいで、雑味の無い清潔感によりクドさや引っ掛かりの無いエレガントな飲み口を両立している。
果実の充実ぶりに樽やスパイスに熟成のニュアンスも加わった複雑な味わいで、最初の一口から余韻に至るまで魅惑的な味わいに包まれる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年。またはそれ以上。
【当たり年】
ワイン誌によるEsの評価も実績はは以下の通り。
・ガンベロロッソで最高賞トレビッキエリを2006~2012まで連続受賞。
・イタリアの5大ワインガイドの総合得点で2009,2010,2011と3年連続でイタリアNO1の評価を受ける。
・イタリアのワインガイド「ルカマローニ」で2011が97点。2015、2016、2017が98点。
・世界的ワイン誌ワインアドヴォケイトで2013が95点を獲得。
というように、ほぼ全てのヴィンテージで高い評価を受けている。
【口コミ】
非常にパワフルな味わいへの満足度が高い傾向。
溢れんばかりの凝縮された果実味と、16%を超えるアルコール度数がある濃密でバランス良い味わいに感動される方も少なくなく、満足される方が最も多い。
プリミティーボらしい甘味に対するネガティブコメントもあるかと思ったが、見る限りではそのような意見はなし。
濃密で甘美なニュアンスはありつつ酸やタンニンとのバランス、そしてクドさの無い洗練されたエレガントさも持ち合わせている事が窺い知れた。
以上です。
調べる限りジャンフランコ フィノはプーリア州で最高品質のワインを造っており、プリミティーボにおける世界最高峰の銘柄がESだと感じました。
※格上のESリゼルヴァが頂点かと。
果実味の凝縮感という意味では世界でもトップあるいはトップクラスの印象で、カリフォルニアや南フランスの充実した果実味のあるワインが好きな方に是非知っていただきたいワインだと感じました。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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