メドック格付け第5級ワインは18銘柄ありますが、その中でもパーカー氏や実際に飲んだ一般消費者の方々の評価が高く、しかもお手頃なワインの紹介です。
生産量も少なくあまり有名とは言えませんが、コスパの良い上質なワインを生むこのシャトーは、ワインを志す方であれば知っておくべきと感じましたので紹介させていただくことにしました。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 シャトー オー バタイィ
《価格》
【6000~15000円】
※1万前後が多い
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》
・カベルネソーヴィニヨン主体
・メルロー少し
・カベルネフラン微量
※ヴィンテージによって使用比率は変動します。
《ボディ》ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ボルドー>メドック>ポイヤック
《生産者》シャトー・オー・バタイィ
《特徴》
柔らかくエレガント
その品質は女性的と形容される
シャトー・オー・バタイィのオーナーのグザヴィエ・ボリー氏は、格付け第2級の筆頭格であるデュクリュ・ボーカイユのオーナー、ビルーノ・ボリー氏の実兄で、数年前まではデュクリュ・ボーカイユを仕切っており、現在は弟に任せているということです。
現在はオー・バタイィとグラン・ピュイ・ラコストに専念するようになり、2級筆頭格を仕切っていただけあり、この2つのシャトーは品質の目覚ましい向上を実現し、5級の中でも特に高評価を受けるようになりました。
グラン・ピュイ・ラコストは別の回で解説しますが、オー・バタイィの特徴は一言でいえば「女性的」であることです。
タンニンは存在感はあるもののしなやかで、ほど良く豊かな果実味を包み込むような柔らかさがあり、気品ある繊細さが感じられます。
ヴィンテージの良くない年でも、比較的安定して良いワインを造り続ける堅実さを持つことでも知られるシャトーで、価格も抑えられています。
万が一口に合わなくても精神的ダメージは比較的少ないでしょうから、試してみる価値はあるのではないでしょうか。
【外観】
若いうちは美しいルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づきます。
【香り】
若いうちはカシスやベリー系果実の香りに、杉・樽のニュアンスも加わります。
熟成が進むほど果実香は落ち着きを見せ、ドライフルーツのような甘やかな香りに、革製品・バニラ・煙草などの複雑なニュアンスも加わります。
【味わい】
若いうちはベリー系果実などのほどよい果実味が感じられ、ほど良いタンニンが品格を表現し、美しい酸が味わいをまとめ心地よい余韻があります。
熟成が進むほど果実味・タンニン・酸味などの成分が馴染み合う事で、よりなめらかで心地よい旨味とコクを持ったエレガントな味わいに成長していきます。
※熟成度合いによっても香り・味わいは変わるため、平均的な風味の指標にしてもらえると良いでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで洗練された香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《当たり年と飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど飲み頃の期間は短くなりますが、比較的早くから楽しめます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 4
1996年 4
1997年 2
1998年 3
1999年 3
2000年 5
2001年 3
2002年 3
2003年 4
2004年 3
2005年 5
2006年 3
2007年 3
2008年 4
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 3
2013年 2
2014年 4
2015年 5
2016年 5
2017年 4
【パーカーポイントが高かった年】
1996 90点
2000 90点
2005 93点
2010 91点
2012 91点
2014 91点
【パーカーポイントが低かった年】
1986 80点
1988 83点
※1989以降でここに載っていないヴィンテージは85~89点の良い品質です。
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
和牛すき焼き
うなぎのかば焼き
など、上質な素材などを使用しコクのある味わいの料理と合わせる事で、豊かで複雑な風味の広がりを体感できる、上質のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「2007です。深さのあるガーネット。ベリー系果実の香りに樽香も加わり、タンニンもなめらかで心地よい果実味。思ってた通りの上品さがあります。飲み頃ですね。」
「30年熟成のオー・バイィ。これくらい熟成させるとブルゴーニュの上質ピノノワールのようなしなやかさがあるんですね。」
「オフヴィンテージこそシャトーの実力と目指す品質が感じられます。甘やかな果実香に煙草、濃すぎずバランスの良い果実味で酸が味わいをまとめます。2004は飲み頃ですね。オーバイィはオフヴィンテージで安いものが狙い目なのではないでしょうか。」
【悪い口コミ】
「2000年のオーバイィは、紅茶・キノコ・肉などの複雑な香りでブルゴーニュを思わせるニュアンスもある。果実味はほどよくタンニンもしなやかでスルスル飲めて、飲み疲れしないバランス型ワイン。悪く言えば特徴があまりなく、印象が薄い。私としてはまた1万以上出して購入はしないでしょう。」
「ブラインドで。革・獣・青っぽさ。スパイシーな味ですね。2007のオーバイィは私にはワイルド過ぎて渋味も強めに感じました。悪くはないから開いてからいただいてみたかった。」
「2007と2013の飲み比べをさせていただきました。2007は飲み頃でしたが、2013はまだ若いかな?と、思いました。悪くはありませんがもっと熟成させるといいのでしょうね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 3%
美味しい 75%
普通 19%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
とてもバランス感覚に優れた品質で、早く開けすぎてしまった方以外は、ものすごく感動している方はほとんどいらっしゃいませんが、とても心地よく美味しく飲めたというニュアンスが伝わってくるニュアンスの口コミが多かったです。
ですから、オーバイィは若くしても飲めますが、10年以上熟成させるとより優れた品質に成長してゆく傾向が読み取れました。
以上です。
シャトー・オー・バタイィの味わいがなんとなく想像できましたでしょうか。
試しやすい価格ですから、まずは飲んでみるのも良いでしょう。
女性的なボルドーと呼ばれる味わいを知ってみてはいかがでしょうか。
様々なワインを口にする事で、経験値が増えさらにレベルアップする事で、あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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