「借金地獄に陥るまで、アルマン・ルソーを買い続ける!」
これはロバート・パーカー氏の言葉で最大級の賛辞。
フランスで最も権威あるワイン評価本【メイユール・ヴァン・ド・フランス】では最高評価の三ツ星を獲得し、さらに手に入れにくいワインになりました。
20世紀初めに設立されたドメーヌで、当時はタブーとされていた、ワインを自らボトルに詰めるという事を始めたドメーヌでもあります。
なぜそうしたか。
ジュヴレ・シャンベルタンの人気は昔から高く、ジュヴレ・シャンベルタンとボトルに書いてあるだけで品質に関わらず売れる時代がありました。
その結果不正にブレンドされた偽ジュヴレ・シャンベルタンが横行してしまい、ワインの信頼・評判は落ちてしましました。
そのような事に心痛めたアルマン・ルソーは、不正をさせず本物のジュヴレ・シャンベルタンを復活させるために、自ら造ったワインを自らボトルに詰める事を実現したわけです。
このような常識破りの行動は苦労も多かったでしょうが、ジュヴレ・シャンベルタンを守りたいという思いは、結果としてブルゴーニュワインの品質向上と信頼回復に大きく貢献することとなったのです。
現在でもその功績は認められており、一目置かれる生産者となっているわけです。
所有する畑は、ジュヴレ・シャンベルタンに9つあるグランクリュのうち6つを所有。
有名プルミエクリュのクロ・サン・ジャックも所有し、村名畑も少しあります。
そして格付けに関係なく徹底的に品質にこだわる姿勢により、どのクラスのワインも秀逸。
今回紹介する村名ワインは、実際飲まれた方の口コミ評価(vinica)も非常に高く、プルミエやグランクリュももちろん秀逸な評価を得ていましたが、価格も考慮して総合的に評価した場合、この村名ワインが特に優れるのではないか(個人的見解です)と感じたので選ばせていただきました。
ジュヴレ・シャンベルタンの最高峰を感じたい方、特別な日に特別なワインを選びたい方などにおすすめしたいワインと言えます。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 アルマン ルソー ジュヴレ シャンベルタン
《価格》
【4~6万円】
そもそもあまり売っていません。
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ジュヴレ・シャンベルタン
《生産者》 アルマン・ルソー
《特徴》
土壌とブドウのピュアな味わいは
エレガントでスケール感溢れる
「各畑独自のテロワールは、土壌が与えてくれるもの。人間が “目指して”造りだすものではありません。」
これは《ワインの8割はブドウで決まる》という信念を持つアルマン・ルソーの言葉で、健全な土壌から得れれる純粋なブドウの味わいを表現する事にこだわっていると言えるでしょう。
そのため畑においては農薬を排除し、ありのままの健全な土壌を維持しており、熟成用の樽も、樽香が反映されやすい新樽の使用比率ををあえて低くすることで、樽香を抑えブドウ本来のピュアな風味を表現する造りを実践しています。
また、ブドウの完熟を嫌い、他の生産者に比べてほどよい熟度での収穫をすることで、よりエレガントでフレッシュな風味を残した品質になる事も特徴と言えます。
【外観】
若いうちは輝くルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
イチゴやラズベリーなどのフレッシュな果実香に、ブルーベリーやカシスのようなフルーティな果実香も感じられ、バラの花束を思わせるフローラルな香りが豊かに広がります。
熟成が進むほど果実香は落ち着きある甘やかさが現れ、土や革製品を思わせる熟成香も加わり、円熟味を感じられるでしょう。
【味わい】
ピュアで洗練された果実味は瑞々しく、上品な甘味と深いコクを感じます。
存在感はあるものの、シルクのように滑らかなタンニンは心地よく、美しく豊かな酸味は味わいをまとめ、華やかな風味をいっぱいに残した余韻がいつまでも続くようです。
熟成が進むほど成分は溶け合いなめらかさが増し、旨味たっぶりで複雑性も増した味わいになり、妖艶で官能的な品質に成長してゆくでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで洗練された香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5年~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
美しい外観と香りを持ったスケール感あるワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がり甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
上質な和牛ヒレステーキ
キンキの煮付け
など特に上質な素材でコクの深い味わいの料理に合わせる事で、華やかで複雑な風味の広がる極上のマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
【ジュヴレ・シャンベルタンの最高峰を味わいたい方】
アルマン・ルソーはジュヴレ・シャンベルタンの最高生産者と呼べるでしょう。
そのような生産者の造る村名ワインは、通常の村名ワインの次元を遥かに凌ぐ、最高峰の味わいを体感できるでしょう。
【贈り物などに】
ワインに詳しい方ならば、アルマン・ルソーをもらって喜ばない人などいないのではないでしょうか。
稀少性も高く、その味わいも含めて別格の存在は、大切な方への贈り物や、特別な日に特別な方と楽しむワインとしても、十分に力を発揮してくれるのではないでしょうか。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「バラの花束の如く優雅な余韻。出汁が効いたような凝縮感ある旨味。多くは語りませんがルソーの作品はアートのようです。今回は5年目の2013。」
「3年目の2016とあって開けてよいものか戸惑ったが開けた。若い質感ではあるが、主張しすぎる酸やタンニンではない。赤系果実の華やかな香りが広がり、芯のある骨格を感じるが滑らかで、酸味とタンニンの質の高さを窺わせる。既に幸福感満載の素晴らしいワインだが、飲み頃を迎えた頃を想像すると鳥肌ものだね。」
「ガーネットを帯びたルビーレッドの色調。ジュヴレらしい硬さを感じる果実香は、時間と共に落ち着きある様相に。瑞々しい果実の甘味・旨味はどんどん広がっていき、形容し難い幸せいっぱいの風味が口の中を支配し、余韻がいつまでも続く。9年目の2009。これは村名ワインの領域を遥かに超えていますね。」
【悪い口コミ】
「これは素晴らしいワインだ。注意すべきは、若くしてこのワインを空けた場合デキャンタージュ、あるいはじっくりと時間をかける必要がある。そうすることで別格の味わいが引き出されるだろう。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 27%
美味しい 66%
普通 7%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
さすがジュヴレ・シャンベルタンのスーパースターで、ブルゴーニュを代表する生産者のワインだと感じさせるコメントが多く、若すぎる以外のマイナスコメントは何もありませんでした。
とは言っても、若くして開けた場合もそのポテンシャルの高さに驚く方も多く、時間をかけて飲めばどんどん良くなる傾向も読み取れました。
お値段も村名ワインの領域を超えていますが、品質もその領域を超えており、様々な上級ワイン経験者の方々も非常に満足している事がわかりました。
非常に完成度の高い、ブルゴーニュを代表するピノノワール生産者と言えるでしょう。
以上です。
やはりジュヴレ・シャンベルタン、いや、ブルゴーニュを代表する生産者だけあって解説も長めになってしまいました。
味わいを表現するのは意外と難しいものですから、あれやこれやを使って説明していると長くなってしまうという事でしょうか。
いろいろ言いましたが、飲めばわかるでしょう(笑)
ブルゴーニュワインが好きな方や、ピノノワールの最高峰を体感してみたい方は、アルマン・ルソーは外す事ができない生産者で、それほど人気もあり信頼の厚い生産者と言えます。
ですからお値段もなかなかなのですね・・。
あなたの素敵なワインとの出会いがある事を願っています。
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