「あなたが未だバシュレ・モノを知らなかったならば、今が知るべきその時なのです。」
ワインアドヴォケイト誌のコメンテイター、ニール・マーチン氏はそう語ります。
今回は2005年に設立された、若き新鋭ドメーヌの紹介です。
フランスのワイン誌や評論家にも高く評価され、注目度の高い生産者ですが、私がこのワインを紹介しようと思ったのは、あくまでピュリニー・モンラッシェのワインで日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果に由来するものであり、その品質の高さは皆様の口コミの量と質からからも感じ取る事ができ、紹介すべきワインだと思いました。
簡単に経緯を解説します。
ドメーヌ・バシュレ・モノは、2005年マランジュのデジーズ村に設立された若きドメーヌ。
祖父と父のワイン造りを引き継ぐ形で、マルクとアレクサンドル兄弟の2人が醸造学校やワイン造りの修行を各地で積んだ後立ち上がったドメーヌで、今回紹介するピュリニー・モンラッシェなど、コート・ド・ボーヌ南部の畑のワインを生産しています。
そんな若き新鋭のワインは品質が優れると評判になり、フランスの権威あるワイン誌や多くの評論家からも高い評価を獲得、日本でもワイナート73号で取り上げられています。
以上です。
ルフレーヴにソゼ、オリヴィエ・ルフレーヴにフランソワ・カリヨンなども素晴らしいワインを生んでいますが、バシュレ・モノも知っておきたい生産者と言えるでしょう。
そう・・
今こそ知るべきその時なのですから。
《ワイン名》 ドメーヌ・バシュレ・モノ ピュリニー・モンラッシェ
《価格》
【8500~10000円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ピュリニー・モンラッシェ
《生産者》 ドメーヌ・バシュレ・モノ
《特徴》
芳醇な香り
洗練された品格ある味わいは
バランス感覚に優れる
このワインの特徴は、豊かな果実の香りに加え、樽に由来するやわらかで芳醇な香りが感じられ、ピュリニーらしい豊富なミネラルや美しい酸を持った味わいは、洗練された凛とした品格を感じさせる点にあり、それらの要素のどれが主張しすぎる事なく支え合う事で、バランス感覚に優れた味わいを表現しています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優秀なテロワール■
ピュリニー・モンラッシェには気候や土壌など、優れたシャルドネを生むテロワール(ブドウを取り巻く自然環境の全て)が整っており、豊かな果実味、凛としたミネラル、美しい酸など充実した成分を持ち併せたワインが生まれます。
■リュット・レゾネ■
化学肥料や農薬を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を実践することで、微生物の働きなどにより健全で成分豊かな土壌が育ち、その土地の成分を吸い上げた上質なブドウが実ります。
■手摘み収穫■
ブドウを傷付けない丁寧な手摘み収穫により、よりクオリティの高い洗練された果実が得られます。
■新樽30%■
樽のニュアンスが反映されやすい新樽の使用比率は30%。
軽くトーストされた樽に由来する芳ばしい風味と、果実の繊細な風味の両方が楽しめるワインを生んでいます。
近年樽のニュアンスを抑え気味の多くの生産者に比べると、比較的樽のニュアンスは感じられる傾向です。
【外観】
輝くレモンゴールド。
熟成が進むほど濃いゴールドの色調に変化していきます。
【香り】
グレープフルーツにラフランスや白い花など清潔感ある香りが広がり、樽に由来するバニラやナッツ類の香りも広がりを見せ、ミネラルを予感させる鉱物的なニュアンスも感じられます。
熟成が進むほど熟した果実に黄色い花などの落ち着きある風味が現れ、円熟を思わせるニュアンスが強まります。
【味わい】
柑橘類などの美しい酸を持った果実味は透明感を感じさせるピュアな味わいで、凛としたミネラル感は品格ある味わいを表現し、樽のやわらかなニュアンスや白い花に果実の風味を残したエレガントな余韻が続きます。
熟成が進むほど果実味は黄桃などの熟した果実のニュアンスが強まり、酸やミネラル分などの成分もワインに溶け合う事でなめらかさとコクが増し、円熟を感じる味わいが広がります。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントさのある飲み口になります。
温度を上げるほど果実や樽などのボリューム感ある風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 4
2006年 3
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
地鶏のグリル
天ぷら各種をレモンと塩で
など、ほどよくコクのある料理などと合わせることで、ボリューム感のある風味とコクの広がる優美なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
歴史ある生産者ではなく若き新鋭という事で、新しもの好きで好奇心旺盛な方にも向いているのではないでしょうか。
もちろん品質も高く、バランス感覚に優れたワインですから、特別な場面を彩る力も持っていますし、プレゼントや贈り物にも向いているワインと言えるでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「7年熟成の09はみんな美味しいって言ってたけど、私個人としては好みではないかな。」
「いいワインなんだろうけど、3年目の2012は思いのほか樽感が強めかな。」
【良い口コミ】
「2013らしいふくよかな果実感からはムルソーを連想させる。3年熟成のこのワインは樽も効いており、フレッシュな酸が引き締める質感はピュアで綺麗な造りをしているね。熟成後も楽しみな一本だ。」
「3年熟成の2016。フレッシュで上品でありながら濃厚な果実味。全体のバランス感覚に優れた美味しいワイン。」
「3年熟成の2015は淡いイエロー。ラフランスにパイナップルに岩塩を思わせるミネラル香。この香り・・たまんなく良い(笑)。味わいはふくよかな果実味を爽やかな酸が引き締めるバランス。これまた・・良い。バシュレ・モノ気に入りました。」
「3年熟成の2012は樽と柑橘類の香りが心地よく広がり、鉱物的なミネラル感が芯のある味わいを表現。優しい果実味はそれを包み込み長い余韻へと続く。いいんじゃないかな。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 64%
普通 33%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ヴィンテージによって多少個性は異なりますが、透明感と気品ある美しいバランス型ワインと言った印象で、村名ワインという事で感動を覚えるほど突き抜けた品質でないようですが、完成度の高い綺麗な造りに好感を持った方が多いといった印象を受けました。
若い段階での口コミがほとんどで、熟成後の円熟味が増すであろう品質への評価が無かったことが気がかりでしたが、そこはお楽しみというポジティブシンキングをしていただければ幸いです。(笑)
そして、ごく少数の方が好みではなかったようですが、具体的にどのような部分が好みではなかったのかは表現されていなかったという事で、ほんのり謎が残りました。
とは言え、大半の方が好感を持った若き新鋭という事で、これからの進化にも期待でき、心得ておくべき優良生産者ではないかと感じる結果となりました。
以上です。
バシュレ・モノのイメージは広がりましたでしょうか。
ここまで読み進めていただきありがとうございます。
今こそバシュレ・モノを知ったその時。
なのかもしれません。(笑)
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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