広域ブルゴーニュ・ピノってどんな味!?
良く言えば軽快でサラリと飲める。
悪く言えば薄くてシャバシャバ。
受け止め方はそれぞれでどうぞ。。。
というわけで、今回は広域ブルゴーニュですが、上記のようなイメージを覆すワインの紹介です。
さて、私は広域ブルゴーニュ・ルージュ(赤)を生み、日本で購入可能な主要生産者を90程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
その結果、多くの方に飲まれ、高い満足度を獲得していると感じた生産者の一つにジョセフ・ロティあました。
その他に特にそのような条件を満たしていると感じたのは、
■グロ・フレール・エ・スール
■ダヴィド・デュバン
■フィリップ・ルクレール
■ジェラール・ラフェ
■マーシャル・ド グラモン
以上の生産者達でした。
※他にも《フーリエ》《ドニ・モルテ》《フレデリック・コサール》《シモン・ビーズ》《フレデリック・マニャン》など多くの生産者が高評価を得ていましたが、価格も考慮して上で、あえて絞り込んだ場合、上記の生産者が特に優れた評価を受けていると感じました。
《ワイン名》 ジョセフ・ロティ ブルゴーニュ ルージュ
《価格》
【4000円前後】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ
《生産者》 ドメーヌ・ジョセフ・ロティ
ここで簡単にプロフィールです。
1817年創業の歴史あるドメーヌ。
ジュヴレ・シャンベルタンなどに最も古いと言われる畑を所有し、優秀な古木も存在。
先代のジョセフ氏は1980年~90年代に「現代ワイン醸造の前駆者」と呼ばれ、ワイン批評家をはじめとする関係者から絶賛された人物です。
極端なジャーナリスト嫌いとして知られていたジョセフ氏は、ドメーヌの情報を公開せず、それ知りたければ、そのワインを飲むのが一番、というわけでした。
残念ながら2008年に亡くなったジョセフ氏の後を継ぎ、現在の当主はピエール・ジャン・ロティ氏。
偉大な父のワイン造りは継承されているかという疑問視もあったようですが、高い品質を維持し続けており、さらなる模索で進化を続けるドメーヌは、今後の飛躍にも期待できる生産者と言えます。
《味わいの特徴》
充実した成分
熟成ポテンシャルもある
上質ピノ
このワインの特徴は、並の広域ブルゴーニュには無い充実した味わいにあり、複雑な芳香性と、厚みのある果実味に豊富な酸とタンニン、鉄分を感じるミネラル感などを豊富に含んだ品質は、熟成能力も持ち合わせています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優れた畑のブドウ■
このワインを生むプレソニエ―ルという区画は、1994年までは村名ジュヴレ・シャンベルタンを名乗っていた畑。
惜しくも村名からは降格した区画ですが、ジュヴレ・シャンベルタンらしい充実感のある成分を持つワインを生んでおり、並の広域ブルゴーニュとは一線を画す味わいを表現します。
■リュット・レゾネ■
化学肥料や農薬を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を実践することで、微生物の働きなどにより健全で成分豊かな土壌が育ち、その土地の成分を吸い上げた上質なブドウが実ります。
この区画においては、ジュヴレ・シャンベルタンらしい厚みのある果実味や、豊富な酸に程よいタンニン、鉄分を感じるようなミネラル感を持ったワインが誕生します。
■ほどよい樽感■
樽のニュアンスが反映しやすい新樽の使用比率は50%。
果実や土壌の風味を感じさせつつ、ほどよい樽の風味も感じられるワインを生んでいます。
【外観】
紫がかった深いルビーレッド
【香り】
ラズベリーやイチゴのフレッシュさに、ブラックベリーやプルーンのフルーティな果実香、バラの華やかさに土っぽさや鉄分のニュアンス、そして樽に由来するバニラや芳ばしいロースト香も複雑性を高めます。
【味わい】
厚みのある果実味は少しの甘味と心地よい旨味を伴い、適度なタンニンは味わいの骨格を形成し、綺麗な酸が味わいをまとめます。
土っぽさや鉄分を感じさせる風味に、樽のニュアンスも加わった味わいは奥行きがあり、それらの風味を残した余韻が続きます。
熟成するほど酸やタンニンは溶け合い、まろやかさと旨味が増し、円熟を感じる品質に成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
やや低めの温度にすれば、酸味を感じやすくエレガントさのある飲み口が楽しめますし、温度を上げるほど甘味を感じやすく酸は穏やかな印象になり、豊かで複雑な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りとエレガントな味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
鴨のみそ鍋
うなぎのかば焼き
など、コクのある味わいの料理に合わせる事で、ワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、心地よい風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ちょっと飲み応えのあるブルゴーニュ・ピノを飲みたい時に向いています。
充実感のある男性的なピノを生むジュヴレ・シャンベルタンのブドウが使用されており、並の広域ブルゴーニュワインとは一線を画す味わいです。
ちょっとした手土産などにしても活躍してくれるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
スルスル飲めるようなピノノワールを求める方にはおすすめしにくいワインです。
充実感のある味わいは、軽快にクイクイ飲むというよりは、しっかり噛み締めるように味わう方が向いているでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「5年熟成の2011。若くてちょっと落ち着きに欠ける20歳手前の女の子。未熟な果実の酸や、粗さのあるタンニンを感じた。悪くないけど、もう少し落ち着きが出てきたらもっと良くなるのにね。」
「4年熟成の2014は酸やタンニンが主張気味に感じる。これは果実感や甘味が不足している印象。まだ早いと捉えるべきかもですが、熟成で酸やタンニンが馴染んでしまったら、なんとも平坦な味わいになるような気もしてしまう。」
【良い口コミ】
「村名ジュヴレから格下げされた畑のブドウらしいけど、なるほど広域のレベルではないね。香りも旨味の乗った味わいも格の違いを感じます。」
「4年熟成の2015。明るく陽性な香りというよりは、インクのニュアンスがほんのり感じられるような陰性の香り。ヴィンテージの影響からか、熟した果実の甘味が感じられるリッチ系の味わいで、適度な酸がある事で味わいのバランスを整える。スイスイ飲めるような軽快さではなく、じっくり向き合って楽しむような充実感がありますね。広域でこのように向き合えるワインは少ないでしょう。」
「ラズベリーの華やかさに、湿った草のような香り。果実感と旨味を酸が引き締め、タンニンも骨格を感じさせます。3000円台のワインとしては優れているでしょう。5年熟成の2012でした。」
「綺麗な酸に涼しげなニュアンス。この価格帯にしては結構楽しめると思うよ。今回は4年熟成の2012。」
「13年熟成の03は、熟したベリー系果実にミントの爽やかさ、酸も適度で旨味も乗ってる感じが心地よい。ちょっとだけ残るタンニンが気になったけど、価格も考えれば上出来です。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 50%
普通 40%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
元村名ジュヴレ・シャンベルタンの畑とあって、成分の充実ぶりはこのクラスのワインとしてはワンランク上といった印象です。
ヴィンテージによって品質の波はあるようですが、少し酸やタンニンに粗さがあると感じる方も見受けられ、スルスル飲める傾向は弱く、そのような品質に対するマイナスイメージのコメントもありました。
逆に言えばそのような酸やタンニンは、骨格ある味わいとポジティブに捉えることもでき、熟成に耐えうるところも特徴的で、10年以上の熟成物に高評価を与える方が何人もみえた事も印象深いものでした。
女性的というよりは、やや無骨さのある男性的ワインと感じる結果となりました。
以上です。
清流のようなしなやかさを持った美しいピノも素敵ですが、ちょっと不器用な所が見られるワインも、どこか人間味があって親しみやすさを感じたりするものです。
あまりにも不器用すぎるのはダメですが(笑)
完璧な人は気品があり凄いですが、ちょっと近寄り難かったりしまするもの。
しかし、ちょっとだけ不器用さが見えると、親しみやすさを感じたりするのと似ています。
というわけで、特別な場面や完璧に仕上げられた料理に合わせるというよりは、日常のホッとするような場面で楽しむ料理などに合わせることで、力を発揮するワインであると言って良いでしょう。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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