ベガシシリアと並んでスペインワイン界の頂点。
良年しか生産されないピングスは類い稀な高評価(パーカーポイントなど)を受け、ウニコと双璧な印象です。
そしてその価格もやはり一流。(2022年現在10万前後)
しかしセカンドワインのフロール ド ピングスは比較的手頃で、(それでも1万は下りませんが。。)ワイン誌などでの評価や口コミ満足度を考慮すると紹介すべき優れた銘柄だと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》フロール ド ピングス
《価格》
【1,2万前後】
《ブドウ品種》テンプラニーリョ
《ボディ》 フルボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 スペイン>リベラ デル ドゥエロ
《生産者》 ドミニオ デ ピングス
ドミニオ デ ピングスは天才醸造家と呼ばれるピーター シセック氏が手掛けるワイナリーで、ベガ シシリアと並んでスペインワイン界の頂点と呼べる生産者です。ボルドーのシャトー ヴァランドローなどで修業したピーター シセック氏が、リベラ デル ドゥエロの地でワイン造りを始め、ファーストヴィンテージは1995年。
この時登場した「ピングス」いきなりパーカー98点を獲得したことは衝撃的で注目を集め、パーカー氏はベガ シシリアと共に最高5ッ星生産者の評価も与えています。
今回紹介しているフロール ド ピングスはピングスのセカンドワイン。
セカンドとはいえ、ほとんどの年でパーカー95点以上の格別評価を受ける銘柄で、日本の一般消費者からも非常に高い支持を集めています。
《味わいの特徴》
屈指のテンプラニーリョ
複雑で充実しつつもスムース
優れたバランス感覚
【外観】
深みのある濃い赤紫色
【香り】
カシスやブラックチェリーなどの生き生きとした果実香に、クローヴなどオリエンタルスパイスやバニラのニュアンスも加わり、それらが一体となった複雑で魅惑的芳香が豊かに広がります。
【味わい】
凝縮された果実味は少しの甘味と深いコクを伴い、豊富ながらキメ細かなタンニンと共に充実しながらも滑らかでスムースな飲み口を表現。上質な酸が味わいを引き締める上品さもあり、複雑な風味と心地よい旨味を残した長い余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
このワインに100%使用されるテンプラニーリョはスペインを代表する品種。
深い赤色の色調でカシスなどの黒い果実の豊かな風味を持ち酸も豊富。
タンニンは適度でアルコール度数が高めのしっかりとしたワインを生む傾向です。
熟成にも向いており、葉巻や革製品などのニュアンスが加わり深い味わいになります。
■ビオディナミ農法■
農薬や化学肥料を一切使用しないことはもちろん、天体の動きに合わせて農作業を行うなど、非常に緻密な管理が必要なビオディナミ農法を2000年に導入し2003年に完全移行しています。
土地の天然酵母など、様々な微生物などの働きが加わった土壌は健全で成分豊かな状態になり、そのエキスを吸い上げたブドウはピュアで滋味深いワインを生みます。
■ヴィエイユ ヴィーニュ■
このワインに使用されるブドウは樹齢25~75年で、そのほとんどが1950年代中心の古木です。(2022年現在)
若い樹に比べ土地の成分を吸い上げる能力が高いなど、上質なブドウを実らせるのが古木(ヴィエイユ ヴィーニュ)の特徴です。
■収量制限■
剪定や間引きなど非常に厳しい選果を実施し収穫量を抑えており、19hl/haと世界的にも類を見ないほどの低い水準です。
残された良質なブドウに成分が集中することで凝縮感溢れるワインが生まれます。
■樽熟成■
ステンレスタンクでアルコール発酵を終えたワインは、フレンチオークでマロラクティック発酵(味わいがまろやかになる発酵)後、16~18ヶ月間樽熟成されます。
使用するのは樽の風味が強めに反映される新樽と、適度に反映される一年使用した古樽を半分づつ使用しており、ブドウの風味とのバランスが保たれた樽の心地よい風味が加わります。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸やミネラルが際立ち、引き締まった上品な飲み口。
温度を上げるほど穏やかな印象になり、果実感や複雑な風味の広がりある味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までにリベラ デル ドゥエロのヴィンテージチャートと、わかる範囲でのパーカーポイントも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 4
1996年 4
1997年 3
1998年 3
1999年 3
2000年 4
2001年 5
2002年 3
2003年 3
2004年 5(97)
2005年 4(96)
2006年 3(94)
2007年 3(95)
2008年 3(96)
2009年 4
2010年 5(92)
2011年 4
2012年 4
2013年 3
2014年 4(94)
2015年 4
2016年 5(93~95)
2017年 4(93)
2018年 5(94+)
※()内の数字はパーカーポイント
《適正グラス》
【ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計された大ぶりのボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く香りと味わいを感じ取れます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
うなぎの蒲焼
和牛ヒレステーキ
など、上質で深いコクのある料理との相性が良く、パワフルで複雑かつ上品なワインの味わいが料理と溶け合い、互いを引き立て合います。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
4年熟成の2014は若々しく溌剌とした重厚な果実香で、味わいも濃厚な果実味と豊富なタンニンがあります。美味しいワインだとは思いますが、まとまりに欠ける印象で時間が必要だと思いました。
【良い口コミ】
4年熟成の2014は若いので時間をかけて飲むことで角の取れた感じに変化していきますね!余韻に残るほのかなコーヒーのニュアンスが良いですね♪
2005ヴィンテージは16年の熟成でまさに飲み頃。パワフルな若い頃とは違い、しなやかで深いコクが広がる味わい。良い成長をしており、ファーストのピングスへの魅惑の入り口的ワインですね。
ムンムンと広がる芳香から、率直に旨い味!!(笑)濃厚だけどシルキーでスッと飲めるような上品さもあって、時間経過でクリームブリュレ感満載になり、マイルド極まりない飲み口に♪5年熟成の2014は気が付けは出来上がりタイプの危険なワインで、素晴らしいと思います!♪
ボルドーとは似て非なる味わい!5年熟成の2014は果実味も渋味もしっかりしていて、とにかく凄いワインな事はわかる!!
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 23%
美味しい 70%
普通 7%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
口コミの量こそ少なめですが、経験豊富なワインラバーの方々を納得または満足させている印象です。
5年前後の若いワインでは開くのに時間が必要な傾向ですが、それでも満足度は高め。
熟成酒に対するコメントは少なかったですが、円熟味の増した味わいへの満足度はより高まる印象です。
※海外の口コミサイト(vivino)でも、10年以上の熟成物の方が満足度は高い傾向がありました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
フロール ド ピングスは
【価格】
1,2万前後
【味】
凝縮された果実味は少しの甘味と深いコクを伴い、豊富ながらキメ細かなタンニンと共に充実しながらも滑らかでスムースな飲み口を表現。上質な酸が味わいを引き締める上品さもあり、複雑な風味と心地よい旨味を残した長い余韻がある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
リベラ デル ドゥエロのヴィンテージチャートと、わかる範囲でのパーカーポイントは以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 4
1996年 4
1997年 3
1998年 3
1999年 3
2000年 4
2001年 5
2002年 3
2003年 3
2004年 5(97)
2005年 4(96)
2006年 3(94)
2007年 3(95)
2008年 3(96)
2009年 4
2010年 5(92)
2011年 4
2012年 4
2013年 3
2014年 4(94)
2015年 4
2016年 5(93~95)
2017年 4(93)
2018年 5(94+)
※()内の数字はパーカーポイント
【口コミ】
口コミの量こそ少なめだが、経験豊富なワインラバーの方々を納得または満足させている印象。
5年前後の若いワインでは開くのに時間が必要な傾向だが、それでも満足度は高め。
熟成酒に対するコメントは少なめながら、円熟味の増した味わいへの満足度はより高まる傾向。
以上です。
ピングスの片鱗が垣間見える優れたセカンドワインだと感じました。
あなたはどのように感じましたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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