30年を超える熟成赤ワインがすぐに楽しめ、しかも中々お手頃。
ボトル毎に個体差があり、口コミではブショネや劣化と思われる低評価もありましたが、健全なボトルへの感動評価も同時に見受けられ、全体的には満足度の高い銘柄だと感じました。
ややギャンブル性のあるワインで、ここは外せないという場面にはおすすめできませんが、劣化は承知のうえで熟成古酒を手軽に楽しんでみたいという場合に候補に入れたい銘柄だと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》サン イシドロ グランレゼルバ
《価格》
【3500~8000】
※古酒ほど高額
《ブドウ品種》モナストレル(ムールヴェードル)
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 スペイン>フミリア
《生産者》 ボデガス サン イシドロ
ボデガス サン イシドロはDOフミリアにあるワイナリーで、1934年に設立されたスペイン初の協同組合です。 フミリア最大規模でスペイン全土で見てもトップワイナリーのひとつとされており、特にモナストレルの研究においてはスペインを牽引するリーダー的存在です。 今回紹介しているグランレゼルバは、モナストレル100%で造られたワインをワイナリーで大切に貯蔵した後にリリースされる銘柄で、長期熟成酒ながらかなりお値打ち。日本の一般消費者からも支持を集める銘柄です。
《味わいの特徴》
長期熟成により
円熟し滑らかな飲み口
複雑さのある味わい
【外観】
落ち着きのあるレンガ色
【香り】
プルーンやカシスなどの熟した果実の香りに、レーズンやドライフラワーのような乾いたニュアンス。シェリーや紹興酒を思わせる独特の風味にスパイスの香りも加わり複雑さがあります。
【味わい】
円熟した果実味は仄かな甘味と旨味が感じられるミデアムボディの飲み口で、熟成で溶け込んだシルキーなタンニンはしなやかな口当たり。穏やかな酸がバランスを整えると、複雑な風味と上品な旨味を残した落ち着きある余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
100%使用されるモナストレル(フランスではムールヴェードル)の品種個性は以下の通りです。
小粒で果皮が暑く糖度も高くなる品種で、果実味もタンニンもアルコールも豊富なため長期熟成にも耐える力があります。
濃厚で力強い味わいを生み、酸は比較的穏やかで、土や動物など野性的なニュアンスが垣間見えるのも特徴的です。
■減農薬農法■
農薬や化学肥料を極力使用しない(ほぼゼロ)減農薬農法(リュット レゾネ)を実践しています。
土地の天然酵母など、様々な微生物などの働きが加わった土壌は健全で成分豊かな状態になり、そのエキスを吸い上げたブドウはピュアで滋味深いワインを生みます。
■長期熟成■
丁寧な手摘み収穫後、天然酵母だけで発酵を終えたワインはアメリカンオークで24ヶ月熟成し、その後ボトリングされたワインは温度管理された熟成室で数十年熟成されます。
上記で解説したようにモナストレルは若いうちは濃厚でパワフルなワインを生む傾向ですが、熟成により成分が溶け合いしなやかで上品な味わいに変化し、円熟した魅力を発揮します。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち引き締まった印象になり、上品な飲み口。
温度を上げるほど穏やかな印象になり、果実感や複雑な風味が広がる味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から25~45年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【大ぶりのグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたブルゴーニュやボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く香りと味わいを感じ取れます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
赤身のステーキ
クリーム系パスタにトリュフを乗せて
など適度にコクのある料理にマッチし、円熟したワインの味わいが料理に寄り添い互いの味わいを引き立てます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
32年熟成の1988。古酒ってどんな感じか期待したけど、紹興酒みたいな感じで果実感がほぼゼロ。ん~~、これは状態が悪かったのかな?ちょっと残念。。。
88ヴィンテージの美味しさが忘れられず87にチャレンジ。結果はちょっと残念で、美味しいですが少し粗さを感じます。
1974,1977,1988,1989を皆で垂直。ところが全部リコルクで味もいまいちで、本物かと疑いたく味わいでした。全部とは言えませんが、古酒で安価なリコルクワインは避けるべきかも。
【良い口コミ】
33年の熟成を思わせるレンガ色を帯びたルビーの外観で、アルコールを感じさせないしなやかな飲み口。円熟した果実の優しい甘味のエントリーから紅茶を思わせる味わいと渋味の後口。チーズ(モンドール)との相性も素晴らしく、一緒に飲んだ仲間も味わいの深さに感銘していました。1988はこの味わいで4500円。これはかなりの当りを引いたのでしょうね♪
1977ヴィンテージは40歳とは思えないピュアな果実感があります♪太陽の下で元気に育ったんだな~って想像できる感じ。飲み口は優しい印象で酸とタンニンのバランス良くスパイス感も加わります。スルスル飲める系の美味しいワインでした!
さすがに43年熟成はもうダメかとも覚悟していましたが、74はまだ生きていた。。。レンガ色からブランデーを思わせる芳香は、やがて甘草やドライフラワーを思わせる甘味を伴った印象に。円熟した液体は全ての角が取れた味わいでしなやか。甘味も適度に感じられ、状態の良い熟成酒でした!
熟成ボルドーとは違った魅力が楽しめるスペインの古酒。狙ったかのようなシェリー感があり、柔らかで落ち着きある味わいで酸も枯れていない。今回は32年熟成の88ですが、手軽だし買って損は無いかな。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 50%
普通 36%
良くない 7%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
賛否の分かれるワインという印象です。
30年を超える熟成物で個体差が大きい傾向で、ブショネや劣化気味と思われるボトルに残念な思いをされた方もチラホラ。
円熟した味わいを楽しめた意見が最も多く、特に状態が良いボトルに感動された方も見受けられました。
ややギャンブル性のある銘柄ですが古酒としては手軽な価格のため、それを考慮すると満足度は高い傾向です。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
サン イシドロ グランレゼルバは
【価格】
3500~8000
※古酒ほど高額
【味】
円熟した果実味は仄かな甘味と旨味が感じられるミデアムボディの飲み口で、熟成で溶け込んだシルキーなタンニンはしなやかな口当たり。
穏やかな酸がバランスを整えると、複雑な風味と上品な旨味を残した落ち着きある余韻がある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から25~45年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
賛否の分かれるワインという印象。
30年を超える熟成物で個体差が大きい傾向で、ブショネや劣化気味と思われるボトルへの低評価もチラホラ。
円熟した味わいを楽しめた意見が最も多く、特に状態が良いボトルへの感動評価も見受けられた。
ややギャンブル性のある銘柄だが古酒としては手軽な価格のため、それを考慮すると満足度は高い傾向。
以上です。
チャレンジ精神旺盛な方には好奇心を擽る銘柄で、そんな方々の集まるワイン会などに持ち込んでもおもしろそうなスペインワインでした。
ワインは人生を楽しくする飲み物。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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