徹底的な収量制限と選果で生まれる希少なブルネッロ。
トップクラスのブルネッロの中でも、ポッジョ ディ ソットやイルパラッソ ディ マンフレディらと並んで口コミ満足度(vinica)が高いと感じた生産者です。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ブルネッロ ディ モンタルチーノ サルヴィオーニ チェルバイオーラ
《価格》
【1,6~2万円】
《ブドウ品種》サンジョベーゼ(ブルネッロ)
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>トスカーナ州
《生産者》 チェルバイオーラ
チェルバイオーラはトップクラスのブルネッロを少量生産する家族経営のワイナリー。
始まりのキッカケは農学博士であったウンベルト サルヴィオー二氏が、友人と楽しむためのワインを造り始めたこと。
その後息子であるジュリオ サルヴィオーニ氏は、妻と共にモンタルチーノの東側に位置する「ラ チェルバイオーラ」でワイン造りを本格化。
1985年のファーストヴィンテージから、イタリアの権威あるガイドブック「ガンベロ ロッソ」で最高評価をされ、現在もその品質を保ち続けています。
チェルバイオーラの特徴の1つは非常に少量生産であること。『自分の手に負える量しか作らない』
そう語るジュリオ氏の言葉通り、畑の面積は4haでワインは年間8000~9000本(ロマネコンティよりもわずかに多い程度)。
造られる銘柄は僅か2種で、ブルネッロ ディ モンタルチーノとセカンドラベルに位置付けられるロッソ ディ モンタルチーノのみ。
その生産量の少なさと品質の高さもあって入手困難で「幻のブルネッロ」とも呼ばれています。
2021年現在、3代目のダヴィデ氏も運営に参画しており、わずかに生産量も増えていますが、そのクオリティは維持。
トップクラスのブルネッロ生産者の地位を守り続けています。
今回紹介している銘柄こそがブルネッロ ディ モンタルチーノ。
ファーストヴィンテージから「ガンベロ ロッソ」で最高評価を獲得し、世界的ワイン誌「ワインアドヴォケイト」など、様々なワイン誌で高い評価を獲得している銘柄です。
《味わいの特徴》
充実感、透明感、複雑性
を持ち合わせた
希少なブルネッロ
このワインの特徴は、凝縮感のある果実味やタンニン、美しい酸やミネラル感に複雑な風味などが広がる充実した味わいでありながら、雑味の無い透明感も同時に持ち合わせているところ。
類い稀な味わい深さを持ったブルネッロの最高峰の一つで、その希少性も特徴的な銘柄です。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
ブルネッロはサンジョベーゼの別名で、厳密にはサンジョベーゼの亜種にあたるサンジョベーゼ グロッソを指します。
フレッシュで軽快な味わいを生む傾向のサンジョベーゼと比較して、サンジョベーゼ グロッソは分厚い果皮がある事からタンニンも豊富。
繊細さと力強さを両立し、長期熟成に耐えるワインを生みます。
■最良の区画■
このワインに使用される畑にはブドウ栽培に最良の条件が揃っており、その一例は以下の通り。
- 南西向きで小高い丘の上にある畑は豊富な日照があり、ブドウの熟度が高まる。
- ガレストロ(石や砂利を含んだ粘土質土壌)は、重厚感とバランス感覚に優れたブドウを生む。
- 他の生産者の畑よりも風通しが良いことでブドウの病害予防ができ、健全なブドウが育つ。
■徹底的な収量制限■
『自分の手に負える量しか作らない』
当主ジュリオ氏がそう語るように畑は小規模。
さらに1本のブドウの樹に対して1つの優れた房だけを残す収量制限を実施しています。
残された房に成分が集まる事で、充実感に満ちた成分を持ったブドウに成長。
さらに厳しい選果をクリアしたブドウは雑味なく、充実感と透明感を両立したワインを生みます。
【外観】
透明感のある深いガーネット
熟成するほどレンガ色に近づきます
【香り】
ブラックチェリー、カシス、プルーンなど熟した果実の香りに、クローヴやブラックペッパーなどのスパイス香。樽の風味に腐葉土や革製品などの香りも加わり、複雑で落ち着きある芳香が広がります。
熟成するほどドライフルーツやコンポートのような円熟した甘美さに、ドライフラワー、動物や土を思わせる野性的な香りなどのニュアンスが強まっていきます。
【味わい】
充実感のある果実味は適度な甘味と深いコクを伴ったミディアム~フルボディ。豊富でシルキーなタンニンは骨格ある味わいを表現し、上質で中程度の酸が味わいのバランスを整えると、複雑な風味や深い旨味を残した余韻が長く続きます。
熟成が進むほど成分は溶け合い、力強さよりもエレガントな味わいに成長。円熟した果実の甘美さや、革製品やスパイスに芳ばしい樽の風味などが混然一体となり、しなやかな質感と奥深い旨味の広りに包まれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちエレガントな飲み口に。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、トスカーナ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 5
1998年 4
1999年 5
2000年 4
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
充実した香り、そして力強くもエレガントな味わいを楽しむには、香りが取りやすく、甘味を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
イベリコ豚のハーブグリル
うなぎのかば焼き
など、上質でコクの深い味わいの料理に合わせると良いでしょう。
複雑で深いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立てる極上のマリアージュが楽しめます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
深いガーネットでとても健全な色調。10年熟成の2010は複雑な芳香と充実感とエレガンスを感じる味わい。非常にポテンシャルの高さが伝わり、これからがさらに楽しみな味わい。素晴らしいワインではありますが少し若く、数日に分けて楽しみたかったとも感じました。
あれ?いつもより香りがやや弱いのは気のせい?9年熟成の2012は味わいは素晴らしいのですが。。ボトル差?冬で気温が低いから?
【良い口コミ】
これは私史上一番うまい!♪31年熟成の1989は感動ものです♪
ポッジョ ディ ソット。ガヤ。ビオンディ サンティなど代表的ブルネッロの比較試飲。結論は8年熟成の2012、このチェルバイオーラが私には一番マッチする。インキーでヨーディーな香りから、非常に滑らかな舌触りで味わいのバランスが完璧。甘美な余韻がいつまでも続くようで、グラマラスでありながらエレガンスがある。何度飲んでも素晴らしく、リピート必須の銘柄です。
33年熟成の86は素晴らしい!!女性的エレガンスがあるブルゴーニュと、男性的風格があるボルドーの中間を行くようです♪
文句なしに美味い。品種がどうこうとか超越してますよ。17年熟成の99はグラスを回さずとも圧倒的に広がる芳香。充実した果実味はまだまだ生命力に溢れ、酸やタンニンはワインに溶け込みシルキー。熟成ブルネッロの力がこれほどとは。。。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 26%
美味しい 53%
普通 21%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
かなりハイレベルなブルネッロである事がわかるコメントの数々でした。
10年以下の熟成物では、ポテンシャル高い味わいに感動される方もチラホラ。
しかし経験豊富なワインラバーの方々の中には、やや閉じ気味で数日後や熟成後がさらに期待できるといった、ポテンシャルは認めつつも少々ネガティブなコメントも見受けられました。
10年以上の熟成物に対する評価は特に秀逸で、様々な要素が溶け合った味わいに特別な満足感を得ている方が多いことが印象的でした。
複雑で力強くもエレガントな味わい傾向で、上級ブルネッロを代表する銘柄の一つで間違いないと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ブルネッロ ディ モンタルチーノ サルヴィオーニは
【価格】
1,6~2万円
【味】
凝縮感のある熟した黒い果実の味わいや、力強くもシルキーなタンニン。
美しい酸やミネラル感に、芳ばしい樽、クローヴなどのスパイス、革製品、土など複雑な風味などが広がる充実した味わい。
そして雑味の無い透明感からは、エレガントさ感じられる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
トスカーナ州のヴィンテージチャートは以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 5
1998年 4
1999年 5
2000年 4
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
【口コミ】
かなりハイレベルなブルネッロである事がわかるコメントの数々。
10年以下の熟成物では、ポテンシャル高い味わいに感動される方もチラホラだが、やや閉じ気味で数日後や熟成後がさらに期待できるといった、ポテンシャルは認めつつも少々ネガティブなコメントも一部で見受けられた。
10年以上の熟成物に対する評価は特に秀逸で、様々な要素が溶け合った味わいに特別な満足感を得ている方が多いことが印象的。
以上です。
高額ではありますが、それに引けを取らないクオリティも持ち合わせたブルネッロだと感じました。
チェルバイオーラは今回紹介しているブルネッロと、セカンドラベルに位置付けされるロッソ ディ モンタルチーノの2種しか生産していません。
ロッソ ディ モンタルチーノについては記事化しませんが、ブルネッロよりもエレガントな傾向で口コミ満足度も非常に高いです。
価格もブルネッロの約半額ですから、手の届きやすい銘柄でおすすめです。
※ロッソ ディ モンタルチーノはほとんど売られていません。そしてチェルバイオーラでありチェルバイオーナではありませんから、間違えないようにしてください。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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