いちばん安い価格帯(4000円台)のブルネッロの中で一番人気。
口コミ(vinica)からは、ボリューム感とエレガンスを両立した味わいはバランス良く、感動するような凄みこそありませんが、コスパの良さで際立つブルネッロだと感じられました。
※私も何度かこのブルネッロを使用しており、皆様の口コミ内容にも共感できる部分が多かったです。
「とりあえずブルネッロを手軽に試してみたい。」
そのような方にもおすすめできる、ハイコスパブルネッロの代表格と言えるでしょう。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ブルネッロ ディ モンタルチーノ イル ヴァレンティアーノ
《価格》
【4000~5000円】
《ブドウ品種》サンジョベーゼ(ブルネッロ)
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>トスカーナ州
《生産者》 イル ヴァレンティアーノ
イル ヴァレンティアーノは、モンタルチーノで代々農業を営む家系に生まれたファビアーノ チャッチ氏によって、2001年に設立されたワイナリー。長年培った農学の知識に加え、ファビアーノ氏の妻で生物学者でもあるヴァレンティーナ女史のアプローチ。そして、モンタルチーノで多くの醸造所に携わるパオロ ヴァガッジーニ氏をコンサルタントに迎えワイン造りを営んでいます。
歴史は浅くともその評価は高く、イギリスの権威あるワイン誌「デカンター誌」の2009年のブルネッロのバレルテイスティングで、サルヴィオーニやチャッチ・ピッコロミーニ・タラゴーナに続き、最高評価ワインのひとつに選ばれています。
ちなみにワイナリー名はファビアーノ氏と妻のヴァレンティーナ女史の名を合わせたものです。
《味わいの特徴》
ボリューム感と
上品さを両立した
バランス型コスパブルネッロ
このワインの特徴は、特筆するような充実感や風格こそありませんが、良質なブルネッロらしい厚みのある味わいや複雑さが感じられ、雑味の無いピュアな味わいからは上品さも感じられるところ。
また、そのようなバランス良いブルネッロが非常に手軽な価格帯である事も見逃せない特徴と言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
ブルネッロはサンジョベーゼの別名で、厳密にはサンジョベーゼの亜種にあたるサンジョベーゼ グロッソを指します。
フレッシュで軽快な味わいを生む傾向のサンジョベーゼと比較して、サンジョベーゼ グロッソは分厚い果皮がある事からタンニンも豊富。
繊細さと力強さを両立し、長期熟成に耐えるワインを生みます。
■畑の環境■
所有する畑はモンタルチーノの丘の南西側の斜面にあります。
豊富な日照量はブドウの熟度を高め、豊潤な果実味を持ったワインを生みます。
また、風通しの良さはブドウ病害を防ぎ健全な果実が実るのと同時に、爽やかな風はブドウに適度な酸味をもたらし、熟した果実のボリューム感と綺麗な酸の上品さを両立したワインを生みます。
■自然派のワイン造り■
自然を尊重したワイン造りがファビアーノ氏の信条。
栽培においては農薬や化学肥料は使用せず、土地の天然酵母など様々な生物の営みが反映された土壌が育まれます。
その豊かな成分を吸い上げたブドウは、土地の個性を反映した豊かなワインを生みます。
■抽出は控えめ■
ブドウのピュアな果汁を抽出するために、圧搾(あっさく)は低い圧力で行っており、充実感のある果実味は感じられつつ、雑味の無い透明感も持ち合わせたワインが誕生します。
■大樽で熟成■
熟成には伝統的と呼ばれるな大樽を使用します。
適度な樽の風味が反映され、長期熟成にも向くワインを生むのが大樽の特徴。
反対に、モダン(現代的)と呼ばれる小樽(バリック)は樽の風味が豊かで、酸やタンニンを和らげる効果もあるため早飲みにも向く傾向です。
【外観】
ガーネットを帯びた深みのあるルビーレッド
【香り】
カシスやブラックベリーやプルーンといった、熟した果実の豊潤な香り。ブラックペッパーやシナモンなどのスパイスや、樽に由来するバニラやチョコレートのようなニュアンスも適度に加わります。
【味わい】
円熟した黒系果実の豊潤な果実味はフルーティーでボリューミーですが、雑味の無いピュアな味わいと美しい酸が相まって上品さも表現。タンニンは豊富ながらシルキーで、果実の心地よい旨味やスパイスや樽の風味を適度に残した余韻が続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちエレガントな飲み口に。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から6~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、モンタルチーノのヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
適度な複雑さがある心地よい香りとバランス良い味わいを楽しむには、香りが取りやすく甘味を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
イベリコ豚のハーブグリル
天然ブリの照り焼き
適度なボリューム感と複雑性を持ち合わせたバランス良いワインです。
合わせる料理も適度なコクを持ったものが適切で、ワインと料理が互いを高め合うマリアージュが楽しめます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
6年熟成の2013は、なんとなく芯のあたりがいまひとつ。普通に美味しくは飲めますが。。熟成で良くなるのかな?
【良い口コミ】
8年熟成の2010を前日抜栓。期待に応える美味しさでした♪熟した果実やチョコレートの香りで、力強くも柔らかな味わいです。
8年熟成の2010。アルコール感なく飲みやすい良質ブルネッロなのに5000円以下なのでありかも。複雑さはさほどないけどイタリアらしい陽気な香りで柔らかな飲み口。心地よい甘味があり丸みのあるタンニンと酸のバランスも良いですね!!
力強さとエレガンスを両立した安旨ブルネッロ!!9年熟成の2010は果実、スパイス、樽の香りが広がり、明るくパワフルな印象。香りから想像される通り豊潤な果実味ではありますが、繊細さも感じられ、しなやかな余韻が心地よい。熟成後が期待できる味わいだが、時間をかけて飲めば今飲んでも十分に楽しめる優れ者です!!
渋味も適度にあるので、お肉ともよく合いました!!美味しかったで~す♪♪
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 3%
美味しい 60%
普通 37%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ボリューム感と上品さを両立した、バランス型良質コスパブルネッロが第一印象。
4000円台のワインなので唸るような深さは無く、感動的評価はほとんどありませんが、適度な深みとバランスに優れた味わいに好感を持つ方が大半。
その価格に満足する方も少なくありませんでした。
若くしても楽しめる印象ですが、時間経過で広がる味わいが楽しめるコメントも多く、10年を超える熟成物へのコメントはありませんでしたが、長期熟成も期待できそうです。
数あるブルネッロの中でも最も手軽な4000円台ですが、その中では頭一つ抜けた印象で、手軽にブルネッロを楽しむなら必ず押さえておきたいと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ブルネッロ ディ モンタルチーノ イル ヴァレンティアーノは
【価格】
4000~5000円
【味】
円熟した黒系果実の豊潤な果実味はフルーティーでボリューミーだが、雑味の無いピュアな味わいと美しい酸が相まって上品さも表現。
タンニンは豊富ながらシルキーで、果実の心地よい旨味やスパイスや樽の風味を適度に残した余韻が続く。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から6~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
モンタルチーノのヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
【口コミ】
4000円台のワインで唸るような深さは無く、感動的評価はほとんど無いが、適度な深みとバランスに優れた味わいに好感を持つ方が大半で、価格に満足するコメントも少なくない。
若くしても楽しめるが、時間経過で味わいは向上する傾向で、10年を超える熟成物にも期待できる。
数あるブルネッロの中でも最も手軽な4000円台だが、その中では頭一つ抜けた銘柄。
以上です。
ブルネッロといえば、バローロやスーパートスカーナと並んでイタリアを代表する高級ワイン。
しかし、イル ヴァレンティアーノのブルネッロは手が届きやすく、品質も良いところが魅力ですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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