絶好の立地で造られるお手頃なボルゲリ。
エントリークラスで比較的手軽な価格のボルゲリはいくつかありますが、リカーゾリとグラッタマッコに並んで評判が良いと感じたのがカンポ アル マーレ。
若いワイナリーではありますが、なるほど名門フォロナリ家と世界屈指のコンサルタントであるミシェル ロラン氏が手掛けるだけのことはあると感じるものでした。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ボルゲリ カンポ アル マーレ
《価格》
【3000円前後】
《ブドウ品種》
・メルロー
・カベルネ フラン
・カベルネ ソーヴィニヨン
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>トスカーナ州>ボルゲリ
《生産者》 カンポ アル マーレ
カンポ アル マーレはボルゲリで注目を集める新鋭ワイナリー。
2003年に設立された新しいワイナリーで、所有者はフォロナリ家。
このフォロナリ家はワイン造り2世紀以上の歴史を持っており、キャンティクラシコで有名なノッツォーレなど、トスカーナに6つのエステートを所有している名家です。そしてコンサルタントには、フォロナリ家と親交が深いミシェル ロラン氏を起用。
このロラン氏はボルドーのいくつもシャトーに携わった人物で、シャトー ル パン、シャトー ヴァランドロー、シャトー モンペラなどを飛躍させたことで非常に有名なコンサルタントです。
そんなカンポ アル マーレへの評価は年々高まっており、今回紹介しているボルゲリロッソへの評価の一例は以下の通り。
2015年 JS94点 WS93点
2018年 JS93点
WS=ワインスペクテーター
JS=ジェームズ サックリング
《味わいの特徴》
ボリューム感と清涼感を両立
適度な複雑さや深さを持った
バランス型ボルゲリ
このワインの特徴は、ボリューム感のある果実味を持ちつつ、ハーブのニュアンスや豊富な酸も持ち合わせた爽やかな清涼感も持ち、ほどよいコクや樽の風味なども加わった複雑さもあるところ。
唸るような奥深さこそありませんが、適度な深さとバランス感覚を持ち合わせたボルゲリらしさが楽しめます。
【外観】
深く濃い赤紫
【香り】
カシス、プルーン、ブラックベリーなど熟した果実の香りに、ミントやタイムを思わせるハーブのニュアンス。樽に由来するバニラやコーヒーの香りもほのかに加わり、複雑で心地よい香りが広がります。
【味わい】
凝縮感のある果実味はじんわり広がる旨味を伴い、中程度のタンニンと豊かな酸が引き締めるミディアム~フルボディの味わい。
ハーブや樽の風味も加わった複雑さはボリューム感のある味わいではありますが、後半にかけて伸びる酸味はスッキリとした上品さも表現しており、それらの風味を残した長い余韻があります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■恵まれた立地条件■
所有する畑は、ボルゲリ地区の最高峰と呼べる「サッシカイア」と「オルネライア」の畑に挟まれた絶好の立地で、メルロー、カベルネ ソーヴィニョン、カベルネ フランなどのボルドー品種に最適な土壌や気候条件が整っています。
温暖な気候はブドウの熟度を高め、豊潤な果実味をもたらしますが、酸と果実味のバランスが良いタイミングで収穫。
ボリューム感と上品さを両立したワインを生んでいます。
■小樽で熟成■
ステンレスタンクで発酵後、古樽のバリック(小樽)で1年熟成されます。
大樽に比べて樽の風味が付きやすく、酸やタンニンがマイルドになるのが小樽の特徴。
また、新樽に比べ樽のニュアンスは抑え気味になるのが古樽の特徴で、ブドウの風味とのバランスを考慮した適度な樽感が反映されます。
■フォロナリ家のこだわり■
ザックリとした言い方になってしまいますが、自社の畑のブドウだけを使用し、量より質にこだわるのがフォロナリ家のこだわり。
そして、世界屈指のワインコンサルタントであるミシェルロラン氏の力も加わることが、優れたワインが生まれる要因の一つになっていると言えます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち軽快な印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、ボリューム感のある味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、ボルゲリのヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 4
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5WS93点 JS94点
2016年 5
2017年 3
2018年 3JS93点
JS=ジェームズ サックリング
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと味わいをバランス良く感じ取れます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
グラタン各種
豚肉のハーブグリル
など、適度なコクのある料理との相性が良く、バランス良いワインと料理の味わいが互いをを引き立て合います。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
3年熟成の2013は、まだまだ硬い印象。もっと熟成させるべきでしたね。
3年熟成の2013をボトルで。甘味を連想させるカシスやチェリー系のフルーティーな香りに期待が高まる。ところが、一口含むと酸っぱさが前面に。。1時間ほど経過した頃ようやく酸も落ち着き、タンニンも丸みを帯びて果実の甘味が感じらえるようになり、とても美味しくなったが、既に残りわずか。。。急がなければ良かった。。。
【良い口コミ】
上級ボルドーを彷彿させるボルゲリ。この値段ならこの味わいは凄いですよ。4年熟成に2011は開けたてはタンニンの硬さが目立ったけど、翌日はマイルドな飲み口になり、カシスやスミレの豊潤な香りが心地よい。
優しく豊潤な果実味と柔らかな飲み口が魅力のモダンなワインが好きな方にはおすすめしにくいが、果実感は抑え気味で骨格あるタンニンが感じられ、男性的でダンディな味わいが魅力のクラシカルなワインが好みの方に向いている。5年熟成の2014は、杉やミントなどの青い植物のニュアンスに少しのカシスの香りが加わります。適度な果実味を豊富な酸とタンニンが引き締めるドライな飲み口で、渋味を舌に残した長い余韻へ。価格も考慮すればコスパ良いかも。
3年熟成の2013は、濃厚なのに余韻に爽やかさがあってバランスが良いですね♪
体格良くスマートで男性的な気品ある貴族がボルドーなら、体格の良い田舎の男前なリーダーがボルゲリかな。どちらも人生経験豊富で懐の深さが魅力。3年熟成の2017は率直に旨いですね。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 3%
美味しい 47%
普通 47%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
やや男性的でドライな味わいで人気を集めるボルゲリという印象。
厚みのある果実味ではありますが、酸やタンニンが強めなため甘味は抑えられた傾向で、そのような男性的なスマートさが魅力だと感じました。
若い段階から中々良いと感じる意見も多いですが、その強めの酸とタンニンに硬さを感じる方もチラホラ。時間経過でマイルドに変化し良くなったというコメントが多い銘柄でした。
感動的評価こそ稀なものの、価格帯を考慮すれば満足度の高いコスパワインだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ボルゲリ カンポ アル マーレは
【価格】
3000円前後
【味】
ボリューム感のある果実味を持ちつつ、ハーブのニュアンスや豊富な酸も持ち合わせた爽やかな清涼感も持ち、ほどよいコクや樽の風味なども加わった複雑さもある。
唸るような奥深さこそ無いが、適度な深さとバランス感覚を持ち合わせたボルゲリらしさが楽しめる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
ボルゲリのヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 4
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5WS93点 JS94点
2016年 5
2017年 3
2018年 3JS93点
JS=ジェームズ サックリング
【口コミ】
やや男性的でドライな味わいで人気を集めるボルゲリという印象。
若い段階から中々良いと感じる意見も多いが、その強めの酸とタンニンに硬さを感じる方もチラホラ。時間経過でマイルドに変化し良くなったというコメントが多い銘柄。
感動的評価こそ稀なものの、価格帯を考慮すれば満足度の高いコスパワインだと感じた。
以上です。
私は個人的にノッツォーレのキャンティクラシコが好きなので、このボルゲリも興味深いと感じました。
あなたはどのように感じましたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント