オレンジワインの元祖でありトップ生産者。
その味わいの完成度が高いことは多くの口コミからも伝わるもので、オレンジワインを語る上でも外せない生産者だと感じました。
多くの自然派ワイン生産者に影響を与えたグラヴネルの紹介です
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》グラヴネル ビアンコ ブレッグ
《価格》
【8000~9000円】
《ブドウ品種》
・シャルドネ
・ソーヴィニョンブラン
・ピノグリ―ジョ
・リースリングイタリコ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>フリウリ ヴェネツィア ジューリア州
《生産者》 グラヴネル
自然派ワインの先駆けであり、イタリア最高の白ワイン生産者とも評されるグラヴナーは、フリウリ ヴェネツィア ジューリア州のオスラヴィアにあるワイナリーです。
創業は1901年。現当主であるヨスコ グラヴネル氏はステンレスタンクやバリック(フランス製の小樽)を使用するなど、最新設備や技術を駆使した様々なワイン造りに挑戦しますが、結果たどり着いたのは人為的な手法ではなく、ブドウ本来の味わいを表現する昔ながらのワイン造り。
農薬や化学肥料を使わない栽培や、より自然な醸造ができると考えるアンフォラでの醸造を行うなど自然派ワインの先駆けとなる手法を実践するようになりました。
その品質は世界的にも高く評価されるようになり、同じフリウリのラディコン、ラ カステッラーダ、ラ ビアンカーラ、エディ カンテ、ムレチニック、ダミアンなど、現在の自然派ワインを牽引する生産者達にも影響を与えてきました。
以下はグラヴネルの信条が伝わる言葉で、熱意あるインポーターであるヴィナイオータ様のページを引用させていただいております。
意図的に、そして技術を駆使して生み出される美味、仮にその味筋が時流に乗るものだったり、大多数に好まれるものだとしても、もはや自分は興味がない。
美味しいよりも何よりもワインはワインとして真正(ホンモノ、伝統に則った、真っ当)でなければならない。
真正なワインたらしめるためには、母なる大地への畏怖の念と偉大なワインの歴史に対しての敬意を忘れてはならない。
その畏怖の念と敬意を持ち合わせていたのならば、畑では自然を観察しようと努め、自然界との調和の取れた農業のあり方を模索するだろうし、セラーでも“造り手”としての我を殺し、ただただブドウ、ワイン、微生物たちにとって居心地の良い環境を創出することだけを心がけ、自然の流れやリズムに身を委ねるような醸造方法を採用するはず。
このような考えのもとに生まれたワインには、ブドウ、テロワール、ヴィンテージの個性が余すことなく表現される。
それら個性は、自然の持つ多様性、神秘性が表出したものとも言え、それこそがワインが持つべき“美しさ”(=美味しさ)である。
《味わいの特徴》
オレンジワインの代表格
果実感が抑えられた
ドライで複雑な味わい
このワインの特徴は、通常のワインとは違った外観と個性的な味わいであること。
ブランデーを思わせる琥珀色に近い色合いはインパクトがあり、味わいもフルーティーさは控えめで、自然のエキスを吸い上げたような旨味を伴った複雑でドライなテイストで個性的。
とは言え、ワインとしての完成度の高さを感じさせる洗練度やバランスも持っており、トップクラスのオレンジワインの味わいが楽しめます。
【外観】
ブランデーを思わせる琥珀色に近いオレンジ
【香り】
オレンジやアンズを思わせる果実香に黄色い花の華やかさ、紅茶、レーズン、キノコ、ハーブなど様々な要素が加わった複雑で芳醇な香りが広がります。
【味わい】
平均的なワインのようなフルーティーなニュアンスは抑えられドライな印象で、凝縮感のある旨味や骨格あるタンニンが感じられるミデアム~フルボディの飲み口。適度な酸味が味わいのバランスを整えると、落ち着きある複雑な風味を伴った長い余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■自然なワイン造り■
大いなる自然から生まれるブドウの味わいをそのまま表現しようとしており、その具体的取り組みの例は以下の通りです。
《農薬や化学肥料は使わない》
栽培においては農薬や化学肥料は使いません。
また、畑も耕さず雑草もそのままにして、時間をかけて自然に堆肥化させるようにしています。
そうすることで土地の天然酵母など様々な微生物などの働きが加わり、健全で成分豊かな土壌が育まれ、そのエキスを吸い上げたブドウが育ちます。
《長期マセラシオン》
通常の白ワインはブドウを搾り、果汁だけで発酵させますが、グラヴネルは皮ごとなんと8~9ヶ月もかけて発酵させます。
この皮ごと漬け込みエキスを抽出する工程をマセラシオン(醸し)と呼び、通常は5~14日程度。
この長期間のマセラシオンが独特の色調を生み、同時に酸化が進むことで果実感が抑えられたドライで複雑なテイストを生む要因になっています。
《アンフォラ発酵》
樽やステンレスタンクではなく、土製の甕であるアンフォラで発酵(8~9ヶ月)しており(2001年以降)、アンフォラの特徴は以下の通りです。
・余計な風味をワインに与えない。
・微量の酸素が供給されワインが呼吸できる。
※少しずつ酸素に触れることで酸素に対する抵抗力が付き、抜栓後急激な変化にも耐えうるワインができると生産者は考えています。
《大樽で6年熟成》
アンフォラで発酵を終えたワインは絞られると再びアンフォラに戻し半年熟成。
その後は大樽で6年間熟成されると、無清澄、無ろ過でボトリングされており、長期熟成による落ち着きある複雑な風味が反映されたワインが生まれます。
《飲む時の適正温度》
【10℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
飲み頃はブドウ収穫年から12~20年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【中庸で膨らみのあるグラス】
香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、膨らみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※売り切れの場合がほとんどですが、グラヴナー専用のグラスもあります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
豚肉のハーブグリル
通常の白ワインには無い味わい深さがあります。
合わせる料理もコクのある素材や味付けの施されたものが良く、野性味あるジビエとの相性も良いでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
飲むたびに印象が違って非常に面白いワイン。ヴィンテージやボトルによって違いがあるのかもしれないけど、いつもの味を求めるワインではないでしょう。
【良い口コミ】
経験の浅い私には全部を掴むのは難しいですが、複雑で美味しいことだけは確か。13年熟成の07はフレッシュ果実の香りはなく、オレンジや紅茶の香りを主体にドライフルーツやナッツ系のニュアンスなど、いろんな要素が入り組んだ複雑な芳香。味わいも甘味のある果実味は無く非常にドライな印象ですが、ほんのりトロミのある質感で旨味もしっかり。白だけど渋味も感じられ複雑でとても美味しかった♪
13年熟成の07。オレンジワインの完成形とも言えるボトルが8000ならかなり安い。これは日を追うごとの変化も楽しみたい素晴らしいワインだ。
オレンジワインはあまり得意ではないけど、これは美味しいと思います。12年熟成の08は熟成で円熟された大人っぽい味わいで嫌なクセもない。これは並のオレンジワインとは一線を画す銘柄です。
目をつぶって飲んだら赤ワインかと思うような飲み口。果実感は弱くスパイシーな感じが良くて、オレンジワインの中でもタンニンは強めで余韻も長い。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 17%
美味しい 60%
普通 23%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
まずは非常に経験豊富なワインラバーの方々ばかりが口コミされている事が印象的でした。
オレンジワインという普通とは違うニュアンス満載のワインで、ネガティブコメントもあるのでは?と、勝手ながらに想像しましたが、調べる限りではほぼゼロ。個性的ではあるものの洗練され滋味深い味わいに高い評価を与える方が最も多い印象です。
※とは言え、上品でサラリとした白ワインを求める方にはおすすめしません。
数あるオレンジワインの中でも最も先駆けであるグラヴネルは品質も確かで、最高峰のオレンジワインを選ぶ時には外すことのできない生産者だと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
グラヴネル ビアンコ ブレッグは
【価格】
8000~9000
【味】
オレンジやアンズを思わせる果実香に黄色い花の華やかさ、紅茶、レーズン、キノコ、ハーブなど様々な要素が加わった複雑で芳醇な香りが広がる。
平均的なワインのようなフルーティーなニュアンスは抑えられドライな印象で、凝縮感のある旨味や骨格あるタンニンが感じられるミデアム~フルボディの飲み口。適度な酸味が味わいのバランスを整えると、落ち着きある複雑な風味を伴った長い余韻がある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から12~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
オレンジワインという普通とは違うニュアンス満載のワインで、ネガティブコメントもあるのでは?と、勝手ながらに想像したが、調べる限りではほぼゼロ。個性的ではあるものの洗練され滋味深い味わいに高い評価を与える方が最も多い印象。
以上です。
グラヴネルの味わいのイメージは広がりましたでしょうか。
オレンジワインには赤とも白ともロゼとも違った独特の滋味深さが感じられ、個人的には非常にオリエンタルなニュアンスを強く感じます。
都会的とか近代的なニュアンスが無くて、古代文明が思い浮かぶような味わい?
ともかく、オレンジワインを追求するのであれば、先駆けでありトップ生産者であるグラヴネルは押さえるべきでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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