・ボルドー最高価格のワイン
・メルローで世界最高
・元祖シンデレラワイン
以上の条件を満たしたワインの紹介です。
ボルドーにおいてメドック格付け第1級の5大シャトーを凌いでの最高価格、そしてメルロー主体のワインとしては、世界最高品質かつ最高価格。
格付けも無い無名ワインが、このような奇跡を起こした元祖シンデレラワインとしても有名です。
今回はそんなシャトー・ペトリュスについて解説します。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 シャトー ペトリュス
《価格》
【32万~170万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》
・メルロー
・カベルネフラン微量
《ボディ》フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ボルドー>ポムロール
《生産者》シャトー・ペトリュス
《特徴》
あまりのスケール感は
ワインを超越し神話の領域に
ペトリュスの伝説は1889年のパリ博覧会から始まります。
同会で金賞ワインに輝いた事から始まり、20世紀半ばからのオーナーであるマダム・ルーバの尽力によりさらに注目は高まり、やがてアメリカのケネディやロックフェラーなどの有力者にも愛されるワインに成長し、上流階級の嗜むシンボル的ブランドになっていきました。
このように無名ワインが一躍頂点に上り詰めたストーリーは、まさしくシンデレラストーリーのようで、シンデレラワインという言葉が初めて使われたのがこのペトリュスなのですね。
ペトリュスのワインの特徴は、そのあまりにも大きいスケール感にあると言われます。
メルロー主体という事で柔らかで早いうちから楽しめるイメージを持つ方もいらっしゃるでしょうが、ペトリュスともなるとその成分の豊かさにより最低でも10年、ヴィンテージによっては20~30年の熟成によってようやく成分が落ち着き、広がりある味わいが現れるようになるのです。
そのようなワインが生まれる理由には、厳しい生産管理はもちろんですが、最もメルローに適した土壌を持つポムロールにおいても、さらにペトリュスの所有する畑にしかない特殊な粘土質の土壌がある事が挙げられます。
その土壌から生まれるメルローには比類なき肉厚さがあり、粘り気を持つような強く濃縮されたクオリティの高い果実味は優雅であり、熟成によてトリュフや腐葉土を思わせる官能的な香りも生まれ、ヴェルベットのように滑らかな舌触りは至福の時間を与えてくれます。
様々なワインを経験された方でも、やはりペトリュスを口にした時の印象は鮮烈に残るほどで、それほどのスケールを持つワインといえます。
一生飲む事がない方も多いでしょうが、この記事にたどり着いた方ならば、いつかは口にしてみたい世界最高のワインのひとつなのです。
エチケットに書いてある肖像は、聖ペテロが天国への鍵を持っている事を意味しています。
ワインを愛する我々にとって、ペトリュスを手にするという事は天国へのカギを渡されたも同然という事なのでしょう。
【外観】
若いうちは深い紫色。
熟成が進むほどレンガ色に近づきます。
【香り】
若いうちはイチゴジャムやベリー系果実にバラや煙草のニュアンスも加わります。
熟成が進むほど果実のフレッシュさは落ち着き甘やかになり、土やトリュフを思わせる官能的な香りが増していきます。
【味わい】
若いうちは凝縮された果実の風味に、バニラやスモーキーなニュアンスが加わった複雑さがあり、タンニンは豊富で骨格を感じさせます。
熟成が進むほど果実味は円熟味を増し甘やかで、トリュフや土を感じさせる複雑な風味は官能的。ワインに溶け込んだタンニンと酸味はなめらかさを増し、素晴らしいバランスを保っており、至福の余韻が続きます。
※熟成度合いによっても香り・味わいは変わるため、平均的な風味の指標にしてもらえると良いでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで洗練された香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当り年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から10~50年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど飲み頃の期間は短くなりますが、比較的早くから楽しめます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1970年 3
1971年 3
1972年 0
1973年 2
1974年 0
1975年 4
1976年 2
1977年 0
1978年 2
1979年 3
1980年 1
1981年 3
1982年 5
1983年 4
1984年 1
1985年 3
1986年 3
1987年 3
1988年 3
1989年 5
1990年 5
1991年 1
1992年 1
1993年 3
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 3
1998年 5
1999年 3
2000年 5
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 3
2005年 5
2006年 3
2007年 3
2008年 5
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 2
2014年 4
2015年 5
2016年 5
2017年 4
また、パーカー100点を獲得した年は、
《1900年代》
21・29・47・61・89・90
《2000年代》
00・09・10
以上です。
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
上質な和牛サーロインステーキ
トリュフを使った料理
など、特に上質な素材などを使用しコクのある味わいの料理と合わせる事で、洗練された複雑な風味の広がりを体感できる至福のマリアージュを楽しめるでしょう。
まさしく天国にいるかのような時間なのでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「1955のペトリュスはレンガ色がかったガーネットの美しさ。タンニンは十分に溶け込みシルクのような質感、ダークチェリーの風味。心地よい余韻にはハーブもあるわ。やさしくそしてスケールの大きさを感じる素晴らしいワイン。」
「2011のペトリュスをグラスで。深いガーネット、バニラ・エスプレッソ・シガーなどの深い香りに熟した果実の甘やかな風味。若さを感じるタンニンではありますが、全体の調和は秀逸でハーブを伴った長い余韻があります。美味しいと表現するより酒質の素晴らしさを持ち、揺るぎなさを感じさせますね。」
「ガーネットを帯びたルビー。コーヒーにカラメル、熟した果実の甘やかな香りが広がる。口にするとその果実の甘味が十分に感じられ、ヴェルヴェットのように滑らかな質感でメルローのやさしさがあり、酸は低め。1967はまさに飲み頃だね。」
【悪い口コミ】
「凝縮感・野性味・複雑な香り・上質なタンニン・コクと旨味など全てにおいて凄いクオリティなのはわかるが、価格と評判からすると本領発揮はされていない。過去に飲んだペトリュスはもっと突き抜けており、それと比べると閉じ気味。1994。悪くはないが。」
「しまった~!!期待しすぎた~。1983・・・でもね。めちゃ旨い。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、
感動的!! 53%
美味しい 47%
普通 0%
良くない 0%
という結果でした。
やはり、突き抜けた品質が伝わる口コミが多かったですね。
とは言え価格もかなりで、期待が膨らみ過ぎてしまう事で思っていたほどではなかったり、ヴィンテージによってはスケールが以前飲んだものよりも小さかったという口コミも見られました。
ですから購入される場合は、ヴィンテージの評価とその飲み頃も知っておく必要があると感じました。
以上です。
いかがでしたか?
ペトリュスの官能的でスケール感溢れる品質がイメージできましたか?
このワインを口にできる方は非常に少ないでしょうが、不可能でもありませんね。
そんな天国へのカギを手にするかどうかは、あなたの選択に委ねられているのです。
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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