「上質で手頃なピノノワールは何かない?」
「マルサネの赤はどれを選べばいい?」
そう聞かれた時、提案したいワインの紹介です。
1976年にドメーヌを立ち上げ、ジュブレ・シャンベルタンを拠点ブルゴーニュ全域に亘って畑を所有する名門。
故アンリ・ジャイエ(ピノノワールの神様)の愛弟子であり、モダンなワイン造りを実践する生産者。
実際口にした消費者の皆様の口コミ評価も非常に高く、お値段以上のポテンシャルを感じたので紹介する事にしました。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 フィリップ シャルロパン マルサネ レ シェゾ―
《価格》
【5200~6500円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マルサネ
《生産者》 シャルロパン
《特徴》
ピュアで豊かな香りと果実味
複雑で優雅な飲み口
このワインの特徴的な所は、ブルゴーニュにしては豊潤な果実味で、洗練された透明感のある品質であること。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■リュット・レゾネ■
ブドウの質がワインを決めると考えるシャルロパンは、自然の力を邪魔しないように、極力農薬や化学肥料は使用しないリュット・レゾネ(減農薬農法)を実践し健全な土壌を育て、そのありのままの土壌の豊かな成分を吸い上げた上質なブドウが育てます。
■完熟を待つ■
完熟ブドウになるまで収穫しないため、豊潤な果実味を持ったワインになります。
■厳しい選果■
ブドウの一粒一粒を厳しく選別し、洗練された雑味の無いワインが生まれます。
■完全除梗■
アンリ・ジャイエの教え同様に、ブドウの梗(果実の付いた枝のような部分)は一切使用しない事もシャルロパンの大きな特徴。
そうする事で、より洗練度の高い透明感溢れる品質になります。
※ただしDRCなどの極一部のトップ生産者は、ワインの複雑性や熟成能力を高めるために、梗の部分を全て使用する全房発酵を行っています。
■低温浸漬■
果実の香りや色の要素を抽出する工程(マセラシオン)を1週間ごく低温で行うことで、純度やフレッシュ感を保つことを可能にしています。
■ほどよい樽香■
以前は樽の風味が反映しやすい新樽の使用比率100%で熟成していましたが、近年はその比率を下げることで、果実の繊細な風味も感じつつ、樽の風味も感じられるワインを生んでいます。
他にも様々な取り組みがありますが、以上のようなことで上質で人気の高いワインを生みだしているわけです。
【外観】
輝くルビーレッド
【香り】
チェリーやラズベリーのような生き生きとした果実香に、カシスやプルーンのような甘やかな果実香も感じられ、バラの華やかさや樽に由来するバニラのニュアンスもほどよく感じられます。
【味わい】
清潔感のあるピュアな果実味は豊かに広がりコクもあります。
絹のように滑らかなタンニンはなめらかな質感を表現し、美しい酸味は味わいを引き締めた後、果実香にバニラや土など複雑な風味を残したエレガントな余韻が続いていきます。
※熟成するほど成分は溶け合いコクとまろやかさが増し、若々しいフレッシュなニュアンスは減り、円熟味のある品質へと成長してゆくでしょう。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
14℃程度にすれば、美しい酸味が感じやすくフレッシュなベリー系果実の風味が感じられる軽快さのある飲み口になります。
温度を上げるほど酸味は穏やかに感じられ、その分甘味や旨味などの複雑な風味が豊かに広がる味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなります。
ブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
美しい外観と香りを持ち、複雑な風味のワインです。
香りが取りやすく温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ラムチョップ
鴨鍋
など、上質でコクのある料理に合わせることで、複雑な風味とコクの広がる上質なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ブルゴーニュでコスパの良い上質ピノノワールを求める方にはおすすめしたいですね。
ジュブレ・シャンベルタン、ジャンボール・ミュジニ-、ヴォーヌ・ロマネなどはその知名度だけでも付加価値が加わり、価格も高額になりがちですが、シャルロパンのマルサネは品質は劣らないにもかかわらず、価格は非常に手頃です。
ほどよいコクを持った上質な料理に合わせても、ワンランクもツーランクも上のマリアージュが楽しめそうです。
また、このようなマルサネ・ルージュは市場であまり見かける事もないでしょう。
ワインに詳しい方にプレゼントにしても、「マルサネかぁ。おもしろいなぁ。ありがとう。」となりそうですし、味わいも含めて満足度は高まりそうです。
《こんな場合には不適切!?》
バランスの良いワインで、あまり向かない場面も想像しにくいです。
あえて言うなら、南フランスのグルナッシュ、オーストラリアのシラーズ、カリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンなど、温暖な産地の濃縮されたジューシーでパワフルな果実味を持ったワインが好みの方には、少しだけ薄く感じてしまうかもしれません。
それから、上質なピノノワールですから、あまりカジュアルすぎる場面にはミスマッチかもしれません。
ワインに興味の無い人達との集まりで、とんちゃんでも囲みながらビールのコップでこのワインを飲んでしまっては残念でしょう。
「マルサネ?あ、そう。そんな事よりこのニュー柳屋のとんちゃんうめーな!!」
と、なります。
ワインの良さがわかる人と、ちょっとお洒落な場面で楽しみたいですね。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「ベリー系果実の若々しい香りにドライフラワーに紅茶もあります。味わいはふくよかで、ほどよい酸味が心地よいですね。ずっとかいでいられるような心地よい香りを持った素敵なワイン。3年目の2015。」
「7年目の2012。濃い目のガーネット、ベリー系果実に樽、熟成を感じる土のニュアンスもある。口当たりは結構強めの果実味でニューワールドを思わせるほどだが、引き締める酸はやはりブルゴーニュだと感じる。時間経過でなめらかさも増し心地よい飲み口になった。好みのワインだ。」
「6年目の2012は果実香は落ち着きを見せ、ナッツにマッシュルームにトリュフ、それから革製品を感じる熟成香。味わいはやさしくエレガントな果実味とタンニン。飲み頃で期待通り。5000円前後でこれほどのワインは私は知りません。」
【悪い口コミ】
「3年目の2015は香りも弱くまだまだ硬い。温度を上げたりグラスを変えたりしましたがダメ。最後の一杯頃ようやく本来の味わいが現れたと感じたけど、遅いですね。これから飲まれる方は開けてから時間の必要なワインだと知っておいた方が良いでしょう。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 10%
美味しい 53%
普通 37%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
非常に好印象の方が多い印象で、お値段とのバランスを考えると素晴らしいという事で、感動している様子の方もちらほら見えました。
マイナスコメントはちょっと早すぎて硬かった、というもの以外は見当たらず、隙の少ないバランスにも優れた傾向も読み取れました。
3年程度の熟成の場合まだ硬いという意見と、既においしいという意見が両方ありました。
6年以上熟成させたものは熟成感も加わり、とても評価も高かったですから、それくらい熟成させるのも選択肢に入れておくべきかとも思いました。
以上です。
個人的には、なかなか興味深いワインだと思います。
アンリ・ジャイエの片鱗が感じられる。
かも。しれませんし、そうでなくとも高い品質である事は揺るぎないでしょう。
取り扱い業者も少なく、下のリンク先も売り切れの可能性もありますが、記憶に残しておくべきワインではないかと思います。
そんなシャルロパンのマルサネに出会うかどうかはあなた次第ですが、ここまで読み進めて下さっているという事は、何かしらの興味があるという事でしょう。
シャルロパンのマルサネはあなたの経験値をアップさせ、いつも選択肢に入れるワインになるかもしれません。
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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