北はジュヴレ・シャンベルタン。
南はシャンボールミュジニー。
有名な2つの産地に挟まれたのがモレ・サン・ドニ。
元々無名だったこの産地をスターワインに引き上げ、ポンソと並んでモレ・サン・ドニの2大生産者と呼ばれます。
1968年がファーストヴィンテージという事で歴史は浅いですが、わずか一代でモレ・サン・ドニを牽引するトップ生産者になった実力は、一目置かれる存在感を放っています。
私がモレ・サン・ドニで優れたワインはないかと調べてみた結果、実際に多くの方に選ばれ、そして高評価を得ているワインが今回紹介する村名ワイン。
モレ・サン・ドニの優れたワインを選ぶのであれば、必ず候補に入れるべきワインだと感じました。
因みに、デュジャックというドメーヌの名は、創業者であるジャック・セイス氏のジャックを文字ったという事です。
それでは参りましょう。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 ドメーヌ デュジャック モレ サン ドニ
《価格》
【10000円前後】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>モレ・サン・ドニ
《生産者》 ドメーヌ デュジャック
《特徴》
肉厚で複雑かつエレガント
バランス感覚に優れる
このワインの特徴は、やさしく肉厚な果実味と複雑な風味を持ち、ブドウのポテンシャルの高さを感じさせる洗練された味わいと、バランスの良さにあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■ビオディナミ農法の実践■
無農薬・有機肥料で天体の動きも考慮したビオディナミ農法の採用により、健全で成分豊かな土壌、あるいはその成分を吸い上げた上質なブドウが育ちます。
■全房発酵■
一般的にはブドウの粒のみを発酵させるのが主流ですが、粒の付いた枝のような部分を梗(こう)と呼び、その部分も含めて全て発酵させるのが最大の特徴。
それによって、滑らかなタンニンが得られ長期熟成に耐える事や、梗由来の独特の苦味や風味が加わり、複雑な味わいになります。
※この全房発酵は非常に難易度の高い手法としても知られ、適切に行わないと青臭さ・酸味・ギスギスしたタンニンが出てしまいます。
そのためには、梗の部分までしっかりと熟している状態にさせなくてはならず、菌の付きやすい梗を無農薬で健全に保つには非常に管理が緻密でなければなりません。
そのためこの手法を実践しているのは、DRCなどの極一部のトップ生産者のみというわけです。
■ほどよい樽香■
樽の風味の反映されやすい新樽の使用比率は高いのですが、その新樽を数年置いたものを使用するため、ほどよい樽の風味が感じられるワインになります。
そのような理由もあって、デュジャックのワインは「デュジャックの香りがする」と言われるほど特徴的で、果実香に加え革製品にハーブや土っぽさなどが感じられ、熟成によってさらに深まる風味と成分の溶け合った妖艶な質感は、世界中の飲み手を魅了しています。
【外観】
深みのあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリー、チェリー、カシス、プルーンなどの果実香に、バラの華やかさに紅茶、スパイス、土のニュアンスも加わり複雑さが感じられます。
熟成するほど果実香は落ち着きある熟した果実の香りになり、腐葉土や革製品などの熟成香も深まり、円熟味を感じさせる香りになっていきます。
【味わい】
厚みのある果実味は優雅に広がり、存在感はあるもののシルキーなタンニンはなめらかで、ほのかな苦味がアクセントとなります。
美しい酸味は味わいを上品にまとめ、果実や樽に土などの複雑で心地よい風味を残した余韻が長く続きます。
熟成させるほどタンニンや酸味などの成分は溶け合う事で、より滑らかさの増した円熟味を感じさせる品質に成長し、旨味豊かで妖艶なニュアンスの感じられる品質に成長してゆくでしょう。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
やや低めの温度にすれば、酸味を感じやすくエレガントな飲み口が楽しめますし、温度を上げるほど甘味を感じやすく酸は穏やかな印象になり、豊かで複雑な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りとエレガントで複雑な味わいを持った上質なワインです。
香りが取りやすく温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
うなぎのかば焼き
など、豊かなコクのある味わいの料理に合わせる事で、豊かなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑でやさしい風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「3年目の2015、若いけど強くてうまうま。でもね。あん肝ポン酢・酒盗のクリームチーズには合わないぜ!!(笑)」
【良い口コミ】
「12年熟成の2005。熟したベリー系果実やカシス、バラにスパイスの香りもあります。熟成感はまだそんなに強くなく、強めの果実味と華やかな香りで余韻も心地よく、バランスの素晴らしい優秀なワイン。」
「5年熟成の2014は美しく深いルビーレッド。赤系果実に紅茶、土っぽさも感じる香り。なめらかな質感。凝縮感のある果実味は甘味のある味わいで、タンニンもほど良くスパイシーさもあり、バランスが良くモレ・サン・ドニらしい大きさを感じられる良いワインだ。」
「果実味たっぷりで土っぽいニュアンスがいいですね~。5年目の2013、美味しいです。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 8%
美味しい 84%
普通 8%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
さすがモレ・サン・ドニを代表する生産者だな、と思う結果となりました。
村名クラスのワインとあって、感動するほどの評価をする方は少なかったものの、もう少しで感動?くらいの方も多かったように感じました。
そして、私の調べた中ではワイン自体を悪く評価する方は一人もいなく、3年程度の若いうちから評価も高く、もちろん熟成させても満足度の高いワインで、非常に万能型のバランスの良い品質なのだという事が伝わってきました。
そして、優しい果実味と土っぽさを感じる方が多く、どこかホッとする田舎っぽいニュアンスがあるのだということも想像できました。
以上です。
デュジャックの味わいのイメージが広がりましたでしょうか。
ブドウの梗まで使う全房発酵がキーワードだと思います。
やりたくても管理が大変なためできない生産者が多い中、それを実行することで他には無い特有の風味を持つワイン。
いろいろ解説しましたが・・
答えは飲んで確かめるしかありません。
試す価値の十分にある生産者だと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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