安くて旨い!!
そんなワインは日常消費用にもってこいでありがたいですね。
しかし、重要な接待や、とてもお世話になったワイン好きの方への贈り物などには、安くて旨い1000円台のワインは使いにくい事もあるでしょう。
そんな時は、お値段は高いですが味もすごく旨い!!
そんなワインが必要な時もあります。
今回紹介するクロ ド タールはモレ・サン・ドニにあるグランクリュのひとつで、約900年もの歴史を持っており、一切の分割・譲渡なく、脈々と受け継がれてきた稀有なモノポール(単独所有)です。
あのロマネ・コンティでも過去に分割された歴史があるほどで、900年間という長きにわたって、所有者は変わったものの一貫してモノポールを維持している事は非常に稀であり、一貫して土壌と品質の管理が行われ続けているのが最大の特徴と言えます。
2016年までの85年間はモメサン家が所有し、2017年からはシャトー・ラトゥールのオーナーであるフランソワ・ピノー氏一族が所有しています。
モレ・サン・ドニで特に有名かつ実際に飲まれた方の評価が高いワインはないか。
そう思い調べてみた結果、私はこのワインに自然に辿り着いたわけです。
モレ・サン・ドニの最高峰そしてブルゴーニュのトップクラスをお探しでしたら、このワインを選択肢に入れてもよいのではないかと感じました。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 クロ ド タール グランクリュ
《価格》
【4万~14万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>モレ・サン・ドニ
《生産者》 モメサン社(2017年以降は、シャトー・ラトゥールのオーナーであるフランソワ・ピノー氏一族がオーナーです。)
《特徴》
圧倒的凝縮感とエレガンス
スケール感溢れる味わいはまさに
グランクリュ
さすが歴史あるグランクリュで、スケール感溢れる品質です。
洗練された豊かな果実味にシルクのようなタンニン、美しい酸味に様々な要素を感じさせる複雑味も加わり、その圧倒されるような奥深さはまさにグランクリュの風格があります。
それではそのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■グランクリュとあって、まずは立地条件は抜群です。
東南東向きのなだらかな斜面の畑は日当たりも良く、成分豊かなブドウが育ちます。
■上質なブドウを実らせる古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)が植えられており、平均樹齢60年で中には100年を超える樹も存在します。
■7.53haということで、グランクリュとしてはかなり広大な畑です。
その中には土壌も含めて大きく6つの区画に細分化され、それぞれ微妙に違った特色を持ったブドウが得られます。
この微妙な違いこそがワインの味わいに複雑性をもたらし、奥深い味わいを生みだしています。
■畑での作業は昔ながら全て手仕事による丁寧なもので、ブドウの質を高める努力を惜しみません。
また、醸造に関しては全ての工程でステンレスタンクを使用します。
つまり、伝統的手法・最新の技術の良い部分を取り入れ、柔軟な姿勢で上質なワインを生んでいます。
そのような事もあり、2016年からは農薬や化学肥料を使わず、さらに天体の動きを含めた自然環境の要素を元に種をまいたり農作業を行うビオディナミ農法も採用し、健全な土壌あるいはその成分を吸い上げたピュアで成分豊かなブドウを育てています。
その他にも様々な人的要素の理由などもありますが、そうして造られた洗練された成分豊かなワインは、熟成によってその豊かな成分が溶け合う事で、より滑らかで奥深く魅惑的なワインに成長し、ヴィンテージによっては50年以上の熟成にも耐え、世界中のワインラバー達を魅了し続けているのです。
【外観】
美しいルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
若いうちは野イチゴやラズベリーなどの赤系果実のフレッシュな香りに、バラの華やかさにスパイスのニュアンスも感じられます。
熟成するほど果実香は落ち着きある熟した果実やドライフルーツの香りになり、紅茶や腐葉土などの熟成香も加わり、複雑で妖艶な香りになっていきます。
【味わい】
凝縮感のある果実味はハッキリとしたストラクチャーで、存在感のあるタンニンは骨格を形成し、生き生きとした酸味は溌溂とした印象でポテンシャルの高さを感じます。
熟成が進むほどタンニンや酸などの成分はワインに溶け込み、なめらかさや熟成によって現れる複雑な旨味が増し、味わい深く優雅で魅惑的な品質は偉大なグランクリュである事を理解できるでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで洗練された複雑な香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から10年~50年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなります。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1978年 5
1979年 3
1980年 2
1981年 2
1982年 2
1983年 3
1984年 1
1985年 5
1986年 4
1987年 4
1988年 5
1989年 4
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りとエレガントで複雑な味わいを持った格別なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で複雑な風味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
和牛ヒレステーキを赤ワインソースで
など、豊かなコクのある味わいの料理に合わせる事で、エレガントで深いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がる極上のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ピノノワールの最高峰選ぶのであれば、このワインを候補にしてもおもしろいですね。
DRCにルロワやアルマン・ルソーも有名で素晴らしいですが、ちょっと意外性があり秀逸なこのワインは、特にワインにくわしい方の知的好奇心をくすぐらせる絶妙な選択となり得るのではないでしょうか。
そんなクロ・ド・タールは、特別な日に特別な方と飲む事で、その味わいも含めて忘れられない思い出の1本になるでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「鉄っぽいニュアンスが強く感じられる。時間経過でわずかに馴染んできたかのような熟した果実を感じたが、味わいはまだまだ硬く成分がバラけている。4年熟成では仕方なし。ポテンシャルの高さはもちろん感じるがね。」
「非常に洗練され雑味が一切ないピュアな味わい。フレッシュな味わいは潜在能力を感じさせるものであり、本来の味わいを感じるには相応の時間が必要だろう。つまり5年目の14では若すぎるのである。」
【良い口コミ】
「32年物。ドライフルーツにブランデー、腐葉土に樽もあり複雑な香りと味わいで、長い余韻もあり幸せな時間を過ごせました。」
「9年目の08という事で、このレベルのワインにしてはまだ早いのでしょうが、お祝いの席がありましたので飲んじゃいました!!(笑)
時間経過と共に広がる香りと味わいは何て言えばいいの?フィネス?優雅?とにかく感動してしまいました!!」
「3年目の15は赤系果実の溢れんばかりのアロマ。上質な酸とタンニンは品格を感じさせ、繊細ではあるがとても長い余韻がある。久しぶりに興奮したぜ!!」
「熟成を感じるレンガ色。カツオ出汁のような香りにミルクティーのような甘美さもあり、円熟味と上品さが共存するような心地よい味わい。これは料理と合わせるというよりは、ワイン単体で楽しみたいです。43年物ですもの。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 23%
美味しい 60%
普通 17%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
さすがグラン・クリュだけあって、そのポテンシャルの高さが伝わってくるような口コミが多かった印象で、若すぎてまだ閉じているというマイナスイメージのコメント以外に、このワインを低評価する方は見当たりませんでした。
20年以上熟成させたものは特に感動が大きいようですから、飲むタイミングも考えるべきワインだと感じました。
最低10年かな?
と皆様の口コミを見て私は感じました。
以上です。
ここで豆知識。
ワインに関わっていると、クロってよく出会いますね。
クロ=壁に囲まれたブドウ畑の事なんですね。
昔壁があって、今はない場合も名は残している場合もあります。
クロ・ド・タールはしっかり壁で囲まれています。
それだけの話でした。
ちょっとした話題の小ネタになるかもしれないので、あなたの知恵袋の片隅にしまっておいてもいいかもしてません。
一生しまいっぱなしかもしれませんが。(笑)
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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