「コルトン・シャルルマーニュの生みの親」
「コルトンの帝王」
200年以上の歴史を持つ家族経営の生産者であり、19世紀後半にフィロキセラ(ブドウの木の根を食い荒らすアブラムシ)によって壊滅的被害を受けたピノノワールの代わりに、当時誰も思いつかなかったシャルドネの栽培を始めた事は画期的で、その結果「コルトン・シャルルマーニュ」を誕生させた事は有名です。
ボーヌに本拠地を置くネゴシアン兼ドメーヌであり、コルトンやコルトン・シャルルマーニュをはじめとする、コート・ドールで最大のグラン・クリュを所有しており、「コルトンの帝王」とも呼ばれています。
グランクリュであるコルトンの中で、多くの方に飲まれそして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、ルイ・ラトゥールのコルトンは最も多くの方に選ばれ、そして満足度の高いワインである事が伝わってきました。
コルトンのワインを選ぶのであれば、間違いなく候補にすべきワインであると確信しております。
《ワイン名》 ドメーヌ・ラトゥール コルトン グラン・クリュ
《価格》
【10000~15000円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>アーロス・コルトン>コルトン
《生産者》 ルイ・ラトゥール
《特徴》
芳醇で複雑
落ち着きあるピノ・ノワールの
スケール感
このワインの特徴は、ピノ・ノワールらしい豊かで複雑な芳香性と味わいで、グランクリュらしい成分の充実を感じさせる品質にあり、熟成を経る事で真価を発揮するワインである事です。
どちらかと言うと華やかと言うよりは、土や獣のニュアンスといった落ち着いた風味を持っているところも特徴的です。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■コルトンのテロワール■
200以上のコルトン所有者の中でも最大面積を所有するルイ・ラトゥールは、テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)を表現する事を重視する生産者です。
石灰岩でカルシウムを多く含む泥炭土の土壌を持ったコルトンにおいては、「鎧兜をまとったような剛健なワイン」が生まれると言われ、タンニンなどの成分が充実した長期熟成型で、華やかと言うよりは土や革製品といった落ち着いたニュアンスを持ったワインが生まれます。
■有機農法■
農薬を最小限に抑えるることや化学肥料の排除するなどの取り組みを実践し、微生物の働きも加わった健全で成分豊かな土壌を育て、その成分を吸い上げた上質なブドウが得られます。
■厳しい選果■
丁寧に収穫されたブドウは、厳しい選果によって良質なブドウのみが発酵へと進んでいきます。
■ほどよい樽香■
ルイ・ラトゥールは自社で樽を生産する数少ない生産者の一つです。
洗練度が高くブドウのエレガンスを感じられるワインを生むための樽を生産しており、樽のニュアンスを反映しやすい新樽の使用比率は半分以下に抑えることで、ブドウの繊細な風味を残しつつ、ほどよい樽を感じられるワインを生んでいます。
【外観】
深いルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやブラックチェリーなどの果実香に、スミレの花の華やかさに加え、甘草や樽などの落ち着いたニュアンスも持ち合わせます。
熟成が進むほど落ち着きある熟した果実や、ドライフルーツにドライフラワーのような円熟味が現れ、獣や甘草に紅茶などの熟成香も広がりを見せます。
【味わい】
若いうちの凝縮感のある果実味と豊富なタンニンは、ポテンシャルを感じさせるもので、凛としたミネラルと美しい酸が味わいをまとめます。
熟成が進むほどタンニンや酸はワインに溶け込み穏やかな印象になり、円熟を感じさせる果実味と複雑な風味を伴った味わいはエレガントで、長い余韻へと導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントさのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある優雅な味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かで複雑な香りと、エレガントで優雅な味わいを持ったグランクリュです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ラザニア
アワビバター
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、複雑でエレガントな風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
比較的お値打ちにブルゴーニュ・ピノのグランクリュを選びたい時は、候補にしても良いのではないでしょうか。
ヴォーヌ・ロマネやシャンボール・ミュジニーなど、コート・ド・ニュイのグランクリュは高額で手が届きにくいですが、コルトンは比較的手頃で品質も決して低くありません。
贈り物や記念日など特別な場面でもグランクリュという事で、存分に力を発揮してくれるコスパグランクリュと言えるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
ヴォーヌ・ロマネやシャンボール・ミュジニーのように華やかで優雅なワインを求める場合は不向きかもしれません。
私の勝手なイメージかもしれませんが、ヴォーヌ・ロマネやシャンボールミュジニーが華やかで優雅な都会的なワインだとすると、コルトンやニュイ・サンジョル・ジュにモレ・サン・ドニなどはどこか土っぽく田舎っぽい傾向にあると考えます。(あくまで個人的見解です)
とは言え、どちらにも良さがあるのであり、そのような特徴を知った上で場面や気分、あるいは料理に合わせて適したワインを楽しんでいただければ幸いです。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「初めは華やかな風味で、味わいは比較的甘味は少なめでドライな印象。17年目の2000年は良いワインだと思うが、後半味わいが抜けてしまったかな。」
「19年熟成の98はアウトー!!そうです、ピークアウト―!!香りは良いのだけど、梅のような酸っぱさだけがが主張してくるよー。」
「怪しいほどの価格で購入した2001は17年経過。これは!!スッカスカ。おぉ。これほど風味が飛んでしまうとは・・。どんな保存だったのだろう。」
【良い口コミ】
「素人な私にもこのワインが熟成している事はわかります。11年熟成の07は成分は充実していますが、しなやかでスルスル飲めるような透明感もあり、重くて軽いのです(笑)」
「7年熟成の2011は思いのほか強い味わいで、凛としたミネラルが支えている。開く時間が必要なワインではあったが、さすがグランクリュと言えるだろう。」
「17年経過した飲み頃の01。平均的な年ではありますが香りが素晴らしく、獣臭的な要素がやみつきになりそうですね。落ち着きある素敵なワインです。」
「13年物の2004はドライフラワーに蜂蜜にスパイス、土っぽさもある香り。成分は溶け合い心地よい味わい。感動レベルには至らないが、素晴らしいワインである事は確か。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 7%
美味しい 57%
普通 29%
良くない 7%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
まず感じたのは、この地区を代表する生産者だけあってか、非常に多くの方に選ばれており、私のリサーチではコルトンでは最も飲まれているがルイ・ラトゥールでした。
グランクリュにしては比較的お手頃価格という事で、品質も感動レベルの評価をされる方は少なかったですが、それでもやはりグランクリュの風格も感じさせる部分もあるようで、その複雑で豊かな味わいに高評価を与える方が多い傾向でした。
注意したいのは、20年程度でピークを越えてしまっているという意見もちらほらですから、購入されるまでの保存状態や、購入してからの保存にも注意して、劣化は避けていただきたいと感じました。
以上です。
ルイ・ラトゥ―ルは大規模生産者であり、アサヒビールが輸入業者という事で、スーパーでもよく見かけます。
そして、このコルトンをスーパーで見かけたことはありませんが、ネット上では大体どこかで売っています。
という事で、安定した品質と在庫を持ったルイ・ラトゥールは、飲食店様もオンリストしやすいのではないかと思います。
ちょっとだけマイナーで、コート・ド・ニュイのとは違った魅力を持つコルトンのピノを知るという事は、さらにワインの経験値をアップさせるのではないかと思っています。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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