フランスの権威あるワイン誌
《ル・メイユール・ヴァン・ド・フランス2015年版》
で満点3ツ星に昇格。
因みに、2015年に3ツ星生産者に選ばれた生産者は、DRCやルロワにルフレ―ヴなど、超有力な17の生産者でした。
新世代の最有力生産者の呼び声高い若手醸造家の生み出す広域ブルゴーニュは、果たしてどのようなものでしょう。
さて、私は広域ブルゴーニュ・ルージュ(赤)を生み、日本で購入可能な主要生産者を90程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
その結果、多くの方に飲まれ、高い満足度を獲得していると感じた生産者の一つがダヴィド・デュバン。
その他に特にそのような条件を満たしていると感じたのは、
■グロ・フレール・エ・スール
■ジョセフ・ロティ
■フィリップ・ルクレール
■ジェラール・ラフェ
■マーシャル・ド グラモン
以上の生産者達でした。
※他にも《フーリエ》《ドニ・モルテ》《フレデリック・コサール》《シモン・ビーズ》《フレデリック・マニャン》など多くの生産者が高評価を得ていましたが、価格も考慮して上で、あえて絞り込んだ場合、上記の生産者が特に優れた評価を受けていると感じました。
《ワイン名》 ダヴィド・デュバン ブルゴーニュ ピノ・ノワール
《価格》
【3000円前後】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ライト~ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ
《生産者》 ダヴィド・デュバン
それではここで簡単にプロフィール。
ワイナリーの設立は1965年、先代ピエール・デュバンはブドウを栽培し、協同組合にそれを売るスタイルを行っていました。
1971年生まれのダヴィド・デュバン氏は、1990年に学校を卒業後ワイン造りに関わるようになり、1995年にピエール氏の引退に伴いワイナリーを継承します。
この時から、栽培から醸造までを一貫して行うドメーヌスタイルを開始。
それからの躍進は目を見張るもので、めきめきと頭角を現し、遂に2015年にはフランスの権威あるワイン誌《ル・メイユール・ヴァン・ド・フランス2015年版》にて、満点3ツ星に昇格。
これはルロワやルフレーヴにコシュ・デュリなど、超一流生産者に並ぶ最高評価であり、もちろんその品質は高く、有名レストランからも引く手あまたの生産者に上り詰めたわけです。
その活躍は若手醸造家の中でも筆頭の存在感を放っており、その人気ゆえに価格が上昇してしまうのではないかと懸念されています。
ちなみにこのダヴィド氏はイケメンでも知られるようで、ダヴィドだけにダビデ像のような男前ぶりなんですね(笑)。
《味わいの特徴》
上品で心地よい飲み口
ワンランク上の
薄旨ブルゴーニュピノ
このワインの特徴は、ピュアで繊細な果実味と美しい酸が主体の上品で心地よい飲み口を持った品質にあり、凝縮感や奥深さはありませんが、適度なタンニンに出汁の効いたような旨味や上品な樽の風味も加わった品質は安っぽくもなく、ワンランク上の薄旨ブルゴーニュピノと言えます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優れた畑のブドウ■
このワインに使用されるブドウは、シャンボール・ミュジニーとモレ・サン・ドニの村のブドウ。
言わずと知れた偉大なグランクリュを持つ村であり、良質なブドウを生むテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)があり、ブルゴーニュのピノノワールらしい繊細さや、美しい酸などの成分を持ったワインが誕生します。
■ヴィエイユ・ヴィーニュ■
土地の成分を吸い上げる能力が高いなど、上質な果実を実らせる樹齢40年~60年古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)のブドウを使用しています。
■自然派思想■
栽培においては、極力農薬や化学肥料を使用しない自然派農法を実践しており、そのため自然酵母などの微生物の働きも活発化し、健全で成分豊かな土壌が育まれます。
ブドウはその成分を吸い上げピュアで成分豊かな果実を実らせます。
醸造においても、ブドウのありのままをボトルに詰め込むために、梗(こう)つまり果実の付いた枝のような部分も一緒に発酵させる《全房発酵》を実施し、澱引きも必要以上は行いません。
■ほどよい樽感■
樽のニュアンスが反映しやすい新樽の使用比率は30%。
広域ブルゴーニュとしては高い比率で、主張しすぎる事はありませんが程良い樽のニュアンスが反映されています。
【外観】
透明感のある美しい赤紫色
【香り】
イチゴやラズベリーなどの赤い果実のフレッシュな香りに、ブルーベリーやブラックチェリーなどのフルーティさ、バラの華やかさや、ほのかな樽のニュアンスも感じられます。
【味わい】
ほんのり甘味を伴った果実味は繊細ではありますが、キメの細かいタンニンと心地よい旨味と共に広がりを見せます。
美しい酸が味わいをまとめた後、上品な果実や樽の風味を伴った心地よい余韻へと導かれます。
どの成分が主張しすぎる事はありませんが、それぞれの成分が支え合うように融合することで、バランスの良い味わいを表現しています。
《飲む時の適正温度》
【12℃~18℃】
低めの温度すれば酸味やフレッシュ感が際立ち軽快な飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や複雑な風味の広がりある味わいを楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~6年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
上品な香りと、バランスの良い味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすい形状に設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ラザニア
鴨鍋
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、バランスの良いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、心地よい風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
濃厚で奥深いワインというよりは、疲れた体にスッと染み込むような軽快で上品なワインです。
「今日はサラッとしたワインが飲みたいな。」
そんな時はただサラッとしているだけでなく、上品な旨味も持ち合わせたこのワインを候補にすべきです。
《こんな場合には不適切!?》
察しの通り、比較的カジュアルな薄旨系のワインであり、凝縮感や品格を求めてはいけません。
凝縮された果実味を楽しむなら、カリフォルニアやチリにオーストリアワインの方が良いですし、ブルゴーニュ・ピノで奥深さを求めるなら、もう少しお金を出して上級ワインを楽しみましょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「苦味と酸味がある食べ物との相性が良いワイン。また買おうとは思わないけど。」
「暑いからという事で冷蔵庫で冷やしてしまいました。そして冷やしすぎない方が良い事がわかりました。」
「スッキリ系の味わいで、ジャムっぽいチャーミングな甘味があり酸も豊富でタンニンは穏やか。日ごろ飲むには適度ですが、甘味と酸味は一体感が無いというかバラけた印象で浅めの印象、ニュイサンジョルジュのような深さや凝縮感は無い。2016。」
【良い口コミ】
「3年目の2015は結構樽も効いてるんですね。味わいは薄旨系で酸も穏やかでタンニンもほど良くスイスイ飲めちゃう心地よさです。」
「3年熟成の2016。人気が高まっている事が納得できる品質。さらに上のクラスを試したくなる出来栄えだよ。」
「軽快でフレッシュな飲みやすいワイン。3年熟成の2016は時間経過で紅茶のようなニュアンスも出てきて美味しい。高級感は無いけど、むしろこのくらいが私には丁度良いのです。」
「へ~。シャンボールミュジニーとモレサンドニのブドウ使ってるんですね~。もう飲み終わってから知ったけど(笑)。3年熟成の2016は淡めの色調で、ふんわり広がる花束のような香りが心地よい。味わいは赤系果実のフレッシュさがあり、酸やタンニンは適度で上品さがあります。7日かけて飲みましたが、へこたれない味わいは芯の強さを感じるもので、価格以上のポテンシャルを感じましたね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 47%
普通 53%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
手頃な広域ブルゴーニュという事で、奥深さやスケール感は無く、感動レベルのコメントをされる方はいませんが、綺麗で心地よい薄旨系の味わいに価格以上の価値を感じた方が多い傾向です。
やや浅いと感じる方もおられますが、そのような方でも普通程度の評価で、良くないと感じる方は見受けられませんでした。
とは言えニューワールド系の果実味や、上級ワインの奥深さを求める場合には全くおすすめできない品質ではあり、そっと寄り添うような薄旨系の味わいは、サラッとしたワインを気軽に楽しみたい時におすすめしたい品質だと言えます。
以上です。
アルマン・ルソーやジャック・フレデリック・ミュニエも、その品質の高さ故に高騰した生産者。
ダヴィド・デュバンもそうなる可能性のある生産者。
今のうちに購入すべき生産者なのかもしれません。
コロナの影響も大きく、自宅で過ごす事も多いこの頃。
かしこまらず、自宅でワインを楽しむ時には上級すぎないワインが丁度良かったりするもの。
自宅でかわいい猫と遊ぶのは楽しいですが、トラとじゃれ合うのは命がけですね。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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