さて、アルザスと言えば白ワイン。
実にワイン生産量の94%が白ワインで(2017年現在で泡を含む)、辛口から甘口まで非常に多くの銘柄が消費者を楽しませていることが口コミ(vinica)からも伝わってきました。
それじゃ赤で評判の良いワインは無いの?
そのような疑問はやはり自然と出てきましたので調べてみました。
予想通り生産量自体が少ないので、市場に出回っている銘柄自体が少なかったのですが、そんな中でも存在感を放つ口コミ評価を受ける銘柄が2つ見つかりました。
一つは比較的手頃な価格帯で好評のビネール。
そしてもう一つが今回紹介するアルベール マンのアッシュ。やや高額で口コミの量こそ少ないながら、飲み手の満足度は非常に興味深いものでした。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》アルベール マン ピノノワール アッシュ
《価格》
【9000円前後】
《ブドウ品種》ピノ ノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>アルザス地方
《生産者》 ドメーヌ アルベール マン
ドメーヌ アルベール マンはアルザス屈指の優良生産者。17世紀に始まる歴史の長い生産者ですが、名声を得たのは2020年現在当主であるモーリスとジャッキー バルテルメ兄弟が、1970年にワイナリーを引き継いでから。クオリティへの強いこだわりを持っていた2人はコツコツお金を貯め、先代から引き継いだ畑を守りつつ、優れたグランクリュを少しずつ買い足し、現在ではアルザスでは大規模と言える21ha所有する生産者となりました。
テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)ごとの味わいを表現する事を大切にする生産者で、区画ごとにワインを生産するためラインナップは豊富なものの量が限定的なところも特徴的。その品質への評価も高く、その実績の例は以下の通り。
・ワイン評論家のロバート・パーカー氏から最高ランクの5ッ星生産者の評価
・フランスの権威あるワイン誌レヴュ デュ ヴァン ド フランスでは「最優秀生産者賞」を獲得
など、高い評価を獲得。生産量の少なさに対して需要が多いことから、入手困難なワインとなっています。
《味わいの特徴》
充実した果実味を持つ
アルザスピノの最高峰
このワインの特徴は、上級ブルゴーニュを思わせる充実した果実味や上質な酸、凛としたミネラルや適度なタンニンに上品な樽の風味も持ち合わせた味わい深さにあり、並のアルザスピノノワールとは一線を画すポテンシャルが感じられるところです。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優れた畑■
アルザスの格付け最高位であるグランクリュ(特級畑)にピノノワールを植えたもので、恵まれたテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)に由来する豊富な果実味、美しい酸、凛としたミネラルなどを持ちあわせたワインが誕生します。
※アルザスのワイン法では、グランクリュを名乗れるのは白ワインだけであるため、ボトルにはグランクリュの記載はありません。
■自然派農法■
テロワールの表現を重視する生産者で、土地の成分を減少させてしまう農薬や化学肥料は使用しません。
そうすることで土地の酵母などの微生物の働きも加わった健全な土壌が育まれ、その成分を吸い上げたブドウは土地の個性を反映したワインを生みます。
■収量制限■
剪定などにってブドウの収穫量をあえて抑えます。
そうすることで残されたブドウに成分が集中し、より凝縮度の高いワインが誕生します。
■適度な樽■
樽の風味が反映しやすい新樽の使用比率は25%。
ブドウの繊細な風味を感じられる程度に樽のニュアンスをワインに与えます。
【外観】
透明感のあるルビーレッド
【香り】
ラズベリーやイチゴジャムを思わせる甘酸っぱい果実香がいっぱいに広がり、樽に由来するバニラのニュアンスや石灰質土壌から来るミネラリーな香りも程良く感じられます。
【味わい】
ベリー系果実の甘酸っぱいニュアンスを持ったボリューム感のある果実味は心地よい旨味を伴い、キレイな酸が味わいを引き締めます。適度なタンニンはキメが細かくシルキーな飲み口を表現し、豊潤な果実香や適度な樽の風味を残したエレガントな余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントな印象に。
温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある優雅な味わいを楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~20年
※一般的傾向から推測
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
香りが取りやすく甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
鴨鍋
地鶏のグリルをベリーソースで
など、上質でほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、エレガントなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
3年熟成の2017は、飲み始めよりも最後の方が複雑味が出てきて美味しかった。ゆっくり飲んだ方がもっと楽しめたのかも?
【良い口コミ】
4年熟成の2011は、抜栓直後から広がるフルーティーな香りがとってもお気に入り♪酸味や樽の効かせ方も適度。ボロネーゼとの相性も抜群で、とても幸せな時間を過ごす事ができました。
アルベール マンはテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)の表現を重視する生産者。区画を細分化して土地ごとの味わいを表現しており、ラインナップは多いものの銘柄ごとの生産量は非常に少ない。パーカー5ッ星など専門家の評価も高く、リリースを待たずして売り切れてしまう傾向だ。3年熟成の2016は、イチゴなどベリー系果実の香り主体で、豊潤な果実味に満ちたエレガント系ピノの佇まい。
アルベールマンのワインを飲むと、天才なの!?って感じるんです。若き2年熟成の2011は若干の還元的要素を含んだ力強いピノ。ブルゴーニュのグランクリュクラスと比肩するテイストです。もちろん白も良いものを造りますが、このピノは特に素晴らしい!!アルザスの格付け階層はグランクリュが最高位ですが、それは白ワインだけが名乗れるもの。これだけのピノが生まれるようになったのですから、赤だってグランクリュを名乗れるように法改正した方が良いでしょうね。
グランクリュの畑にピノを植えて造られるワイン。ミネラルをもたらす石灰を特に多く含んだ土壌という事で、ミネラリーな香りがしますね。4年熟成の2011は上質で豊富な酸味と長い余韻もある素晴らしいワインですが、入手が困難である事が難点か。。。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 20%
美味しい 50%
普通 30%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
生産量が極めて少量で流通も少ない事もあり、実際口にされる方も少なく、口コミも少ないワインでした。
しかし、少ないながら飲まれた方々の満足度の高さは非常に興味深く、アルザスの赤ワインの中では最も注目すべき高品質な銘柄なのではないかと感じました。
つまり、アルザスの赤ワインの頂点は、このアッシュだと感じる結果となりました。
熟成後の口コミが無かった事は残念でしたが、ブルゴーニュの上級ピノ同様に若々しくチャーミングなニュアンスは、熟成するほどに円熟した大人っぽいニュアンスに変化していく事でしょう。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
アルベール マン ピノノワール アッシュは
【価格】
9000円前後
【味】
豊潤でエレガントなな果実香。ベリー系果実の甘酸っぱいニュアンスを持ったボリューム感のある果実味は心地よい旨味を伴い、キレイな酸が味わいを引き締める。適度なタンニンはキメが細かくシルキーな飲み口を表現し、豊潤な果実香や適度な樽の風味を残したエレガントな余韻が長く続く。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~20年
※一般的傾向から推測
【口コミ】
口コミ量こそ少ないながら飲まれた方々の満足度は非常に高く、アルザスの赤ワインの頂点だと感じた。
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