驚くほどの感動は無くても、一定の合格ラインを超えていて安心できるワイン。
高額すぎずバランス感覚に優れたピュアな味わいは口コミ評価(vinica)も中々。
口コミの量から考えると、そこまで知名度は高くないように思いましたが、私も含めて好感を抱く方も少なくなく、その価格帯も魅力的だったので紹介しようと思いました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》カッシーナ バラリン バローロ
《価格》
【5000~6000円】
《ブドウ品種》ネッビオーロ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>ピエモンテ州
《生産者》 カッシーナ バラリン
カッシーナ バラリンはピエモンテ州で代々農業を営む家族経営のワイナリー。
伝統派やモダン派という概念にとらわれず、良い方法を取り入れ土地やブドウの個性を忠実に表現する事に力を注ぐ生産者です。
1928年からブドウを含めた農業を営みつつワインを造っていましたが、1993年からワイン造りに集中。
2020年現在では『ジェームズサックリング』で90点以上の高得点を何度も獲得する生産者となりました。
ちなみにワイナリー名である《カッシーナ=農家》《バラリン=農園の名》を意味します。
19世紀後半にバラリンという名の農園で働いていた曽祖父は、「バラリンで働くおじいちゃん」と呼ばれていたことに由来するとのことです。
そしてピエモンテ方言でバッラーレは踊り子(バレリーナ)という意味があり、ダンスが得意な祖父がいたこともあり、ラベルには踊る2人があしらわれています。
《味わいの特徴》
ヒュアで上品で複雑
バランス感覚に優れた
コスパバローロ
このワインの特徴は、強すぎず弱すぎず、雑味の無いピュアな味わいを持ったバランス感覚にあります。バローロらしいタンニンや酸、ドライフラワーやスパイスなどの複雑な風味も適度に感じられ、若くしても熟成させても楽しめる点も特徴的で、バローロの中でも比較的手軽な価格である事も嬉しい特徴と言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
バローロに使用されるネッビオーロは、ピノノワールに近い透明感のある色調。そして強めの酸と収斂(しゅうれん)性のあるタンニンが特徴的で、適度な果実味と出汁の効いたような旨味が感じられます。
長期熟成で酸やタンニンはワインに溶け込むことでしなやかさが増し、タバコ、トリュフ、革製品など複雑な風味を伴った深い味わいが現れてきます。
■豊富な日照■
このワインに使用されるのは、南東から南西向きの斜面のブドウです。
豊富な日照を得られる畑ではブドウの熟度が高まるなど、充実した成分を持ったブドウが育ち、長期熟成にも耐えるワインが生まれます。
■バランスを重視した醸造■
・土地やブドウの個性を忠実に表現すること。
・若くても熟成させても楽しめるワインを生むこと。
そのような信条の下で造られるバローロで、《大樽を使用する伝統派》《小樽(バリック)を使用するモダン派》の概念にとらわれず、ワイン毎の個性に応じてどちらも使うスタイルを実践しています。
【外観】
透明感のあるガーネット
熟成が進むほど淡いレンガ色に近づきます
【香り】
バラやスミレの華やかさに、ラズベリーやチェリーなど赤い果実の芳香。ドライフラワー、スパイス、革製品などの香りも加わり、複雑でエレガントな香りが広がります。
【味わい】
出汁が効いたようなコクを伴った果実味は雑味なくピュアなミディアムボディ。適度なタンニンが構造ある味わいを表現すると、美しい酸が味わいのバランスを整え、バラ、果実、スパイス、ドライフラワーなど、複雑でエレガントな風味を残した余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、甘味や複雑な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、ピエモンテ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 2
1992年 2
1993年 3
1994年 2
1995年 3
1996年 5
1997年 4
1998年 4
1999年 4
2000年 5
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
複雑な香りと、深みのある味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく、甘味を感じやすい形状に設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
鴨鍋
複雑でピュアな味わいを持ったバローロで、料理とワインが互いを高め合うマリアージュが楽しめるでしょう。
合わせる料理も適度なコクを持ったものが適切で、ワインの複雑な風味は野性味のあるジビエ料理ともマッチします。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
ちょっと酸も気になるし硬い印象。悪くはないけど6年熟成の08は少し早すぎたかな。。。
【良い口コミ】
ラズベリーなど赤い果実にバラの華やかさも加わった芳香。5年熟成の2011は注ぎたてはアルコール感が前面に出てしまいましたが、それが落ち着くと品の良い香りが広がり爽やかさも垣間見える。味わいは酸やタンニンの調和が心地よく、力強さよりも自然なブドウの味わいが伝わってくるようなピュアさがあります。
6年熟成の09を飲みました。なんだか大人っぽい味わいで、不機嫌がご機嫌に変化します♪
24年熟成の93は良い熟成してますね♪美味しいです。そして、さらなる熟成だって期待できると思います。
若いバローロだけど気難しさが無くて飲みやすい!!5年熟成の2011はチェリー、バラ、樽の香りが心地よく、ピュアで軽やかな味わいです!!
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 63%
普通 37%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
特筆するほど感動やスケールを感じるコメントはありませんが、否定的な意見も非常に少ないバローロでした。
若い段階では硬いと感じる方もいましたが、若くても美味しいと感じる方のほうが多数。
10年以上の熟成酒に対するコメントは2件しかありませんでしたが、どちらも高評価という事で、熟成後も楽しめる傾向です。
私自身もこのワインは体験しましたが、力強さよりもブドウのナチュラルな美味しさを表現した、ミディアムボディのバローロといった印象。皆様の口コミ内容も的を得ていると感じました。
価格面においてもバローロの中では手頃な部類で、若くても熟成させても良いという事で、外さないコスパバローロと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
カッシーナ バラリン バローロは
【価格】
5000~6000円
【味】
強すぎず弱すぎず、雑味の無いピュアな味わいを持ったバランス感覚。
バローロらしいタンニンや酸、ドライフラワーやスパイスなどの複雑な風味も適度に感じられ、若くしても熟成させても楽しめる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 2
1992年 2
1993年 3
1994年 2
1995年 3
1996年 5
1997年 4
1998年 4
1999年 4
2000年 5
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
【口コミ】
特筆するほど感動やスケールを感じるコメントは無いが、否定的な意見も非常に少ない。
若い段階では硬いと感じる方もいるが、若くても美味しいと感じる方のほうが多数。
10年以上の熟成酒に対するコメントは2件しかなかったが、どちらも高評価で熟成後も期待できる。
- ピュアで複雑なバランス型
- 早飲みも熟成も適応
- 結構手頃な価格
以上の特徴を兼ね備えた、とても安心感のある良質バローロという印象でした。
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