「憂いを払う」「悲しみを遠ざける」そんな意味を持つシャトーで、このワインを飲む事で憂鬱な気分から解放される・・
かも・・・。
格付けは2003年からクリュ・ブルジョワ・エクセプショネルに昇格。
しかしながら実際の評価は格付け第3級に匹敵すると言われ、人気の高いシャトーで、神の雫にも登場していますね。
ちなみにメドックの格付けは、格上から
- クリュクラッセ1級
- クリュクラッセ2級
- クリュクラッセ3級
- クリュクラッセ4級
- クリュクラッセ5級
- クリュブルジョワエクセプショネル(ここです)
- クリュブルジョワシュペリウール
- クリュブルジョワ
- 村名AOC(ポイヤック、マルゴーなど)
- 地区名AOC(メドックとオーメドック)
- 地方名AOC ボルドーシュペリウール(こういうのもあります。ボルドーだけよりちょっと規定が厳しく上質です)
- 地方名AOC ボルドー
※別枠でクリュアルティザン
(小規模で良いワインを生む生産者)
実際飲まれた方の評価も高く、試す価値の高いワインだと感じましたので紹介させていただくことにしました。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 シャトー シャス スプリーン
《価格》
【4000~3万円】
5000円前後が多いです。
※2000年より前の古酒が高価ですが、飲み頃は20年程度の評価をされていますから、古酒好きの方以外は注意が必要です。
《ブドウ品種》
・カベルネソーヴィニヨン主体
・メルロー少し
・プティヴェルト微量
《ボディ》フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ボルドー>メドック>ムーリス
《生産者》シャトー・シャス・スプリーン
《特徴》
力強さ・やさしさ・複雑さを持つ
ボルドーらしいバランス型
シャス・スプリーンの存在するムーリスは、メドックでも最も小さいAOCであり、土壌の多様性が特徴的なAOCです。
カベルネに適した砂利土壌に、メルローに適した粘土質土壌などが存在し、それぞれ良質なブドウが収穫されます。
そのような良質なブドウから造られるワインは、カベルネの持つ骨格ある力強さと、メルローの持つ柔らかでまろやかな品質を併せ持っており、ボルドーらしい複雑さを表現しています。
そして、成分豊かなこのワインは若いうちでも楽しめますが、熟成にも向いており、むしろ10年以上熟成したワインで評価の高い傾向があります。
それから後で詳しく紹介していますが、ヴィンテージで品質評価の波が結構ありましたので、そこを理解して選ぶ注意が必要とも感じています。
【外観】
若いうちは深いルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
若いうちはチェリーやベリー系果実のピュアな香りに、バラや樽に由来する煙草やバニラのニュアンスも加わります。
熟成させるほど果実香は円熟味を感じさせる熟した果実香になり、ドライフルーツや土を思わせる熟成香も加わり落ち着きある印象になります。
【味わい】
若いうちはプラムやベリー系果実のなどの果実味が豊かで、豊かなタンニンは骨格を形成し、美しい酸味は味わいを引き締め長い余韻があります。
熟成のポテンシャルを感じさせる味わいは、力強くやや硬いと思う場合もあるでしょう。
熟成が進むほど、果実味は落ち着きある甘やかなニュアンスになり、タンニンや酸味などの成分がワインに溶け込むことで、しなやかな質感と飲み口になり、力強さというよりはエレガントさを感じさせるワインに成長していきます。
※熟成度合いによっても香り・味わいは変わるため、平均的な風味の指標にしてもらえると良いでしょう。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで複雑な香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど飲み頃の期間は短くなりますが、比較的早くから楽しめます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 5
2001年 3
2002年 3
2003年 4
2004年 3
2005年 5
2006年 3
2007年 3
2008年 4
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 3
2013年 2
2014年 4
2015年 5
2016年 5
2017年 4
【パーカーポイントが高かった年】
2003 90点
2009 90点
2010 90点
2014 91点
【パーカーポイントが低かった年】
2011 78点
2013 78点
94以前の評価は不明ですが、ピークは過ぎているでしょう。
95・96・99・00・01・04・05・08・12・15
以上のヴィンテージは80点代の平均的得点です。
97・98・02・06・07
の得点は不明です。
良くない可能性が高いでしょうから、避けた方が無難だと思います。
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ホタテ醤油バター
うなぎの蒲焼
など、上質な素材などを使用しコクのある味わいの料理と合わせる事で、豊かで複雑な風味の広がりを体感できる上質なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「プラムやベリー系果実の熟した香りが心地よい。2013は6年目で若々しさを感じるタンニンと酸味ですが、それでも十分に楽しめる品質。ビッグヴィンテージを試してみたくなりました。」
「10年目の2008。パーカー曰くメドック格付け見直しがもしあるとすれば、確実に入閣すると言われるシャス・スプリーン。若干の若さを感じさせるものの、じっくり飲んでいたら開いてきた。タンニンは溶け込みシルキーで妖艶な味わいで満足度の高い味わいだったよ。」
「9年目の2009は樽香がほどよく感じられ心地よい。タンニンは溶け込みシルキーで、甘味・酸味のバランスも素晴らしく、エレガントさも感じさせるボルドーです。」
【悪い口コミ】
「ほぼ30年物の1989。やさしい味わいでしたが、ちょっとだけ枯れてしまったかな。」
「5年目の2013はまだ早すぎるわ!!渋味・酸味が強すぎるのよ!!これでは憂いは払えない。」
「2014は4年目という事で早いかと思ったが、まあまあ飲める感じ。香りはやや浅い。ボルドーらしい味わいで良いのだが、コスパは良いとは言えないね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 6%
美味しい 47%
普通 44%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
早く開けすぎたり、熟成させすぎてしまった方がもったいない事をした印象ですが、適切なタイミングで飲まれた方は、感動するほどではないが良い品質で納得している印象の口コミが多い傾向でした。
口コミを総じてしまえば、
なかなかクオリティの高い、ボルドーらしさを持った厚みのある熟成型赤ワイン。
このようなワインだと推測されるでしょう。
以上です。
シャス・スプリーンはヴィンテージで違いのあるワインですね。
ワインは星の数ほどあり味わいも様々ですが、同じワインでも毎年違うのですからもう全部知るのは不可能ですね。(苦笑)
そうは言っても、そのように同じワインが存在しない事がまたワインの醍醐味とも言えます。
毎年全く同じ味わいのワインを生産するとしたらそれはそれで凄いのでしょうが、おもしろみが無いと思う人も多いでしょう。
苦しみ、悩み、試行錯誤を繰り返し造られた一期一会のワイン。
苦しみ、悩み、試行錯誤を繰り返して稼いだお金で飲むワインにこそ価値があるのかもしれません。
そんな苦しみ、悩みをちょっとだけ払ってくれるのがこのワインなのかもしれませんね。
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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