高くて秀逸なワイン=特別な場面に最適
安くて軽快なワイン=気軽な日常消費に最適
今回は、日常消費にはちょっと背伸びが必要で、特別な場面にも何とか使えるかも!?
そんな絶妙なカテゴリーに属する人気ブルゴーニュ・ピノの紹介です。
さて、私は広域ブルゴーニュ・ルージュ(赤)を生み、日本で購入可能な主要生産者を90程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
その結果、非常に多くの方に飲まれ、高い満足度を獲得していると感じた生産者の一つにグロ・フレール・エ・スールあました。
その他に特にそのような条件を満たしていると感じたのは、
■ジョセフ・ロティ
■ダヴィド・デュバン
■フィリップ・ルクレール
■ジェラール・ラフェ
■マーシャル・ド グラモン
以上の生産者達でした。
※他にも《フーリエ》《ドニ・モルテ》《フレデリック・コサール》《シモン・ビーズ》《フレデリック・マニャン》など多くの生産者が高評価を得ていましたが、価格も考慮して上で、あえて絞り込んだ場合、上記の生産者が特に優れた評価を受けていると感じました。
ヴォーヌロマネにおいて、伝説の醸造家として知られるジャン・グロ氏。
彼の造るワインは、『これぞブルゴーニュ赤ワインの模範』と言われるほど有名で秀逸でした。
1996年。ジャン・グロ氏の引退に伴い、ドメーヌの畑はミシェル氏(長男)、ベルナール氏(次男)、そしてアンヌ・フランソワーズ女史ら3人の子供に分割・譲渡されることとなります。
どのドメーヌもそれぞれの個性を発揮し、現在も素晴らしい品質で飲み手を魅了し続けており、今回は次男ベルナール氏が手掛けるブルゴーニュ・ルージュの紹介というわけです。
そんなグロ・フレール・エ・スールも2016年以降はベルナール氏も一線を退き、息子のヴァンサン・グロ氏がドメーヌを担うようになり、新たな時代の幕開けをしています。
《ワイン名》 グロ・フレール・エ・スール ブルゴーニュ ルージュ
《価格》
【3500円前後】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ライト~ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ
《生産者》 ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール
《味わいの特徴》
芳醇でエレガント
心地よい旨味はワンランク上の
広域ブルゴーニュ
ベルナール・グロ氏はボルドー・ワインが好きという事もあり、兄ミシェルの造るエレガントなスタイルとは異なり、力強く凝縮感溢れるワインを生み出しています。
このワインは広域ブルゴーニュという事で、ベルナール氏が手掛ける上級クラスのワインのような凝縮感はありませんが、他の生産者が手掛ける広域ブルゴーニュと比較すれば、しっかりとした果実味や旨味が感じられます。
その理由の一つには、高級ワインを生むヴォーヌロマネにシャンボール・ミュジニーやモレ・サン・ドニの区画のブドウが使用されている事も影響しています。
そして2016年以降は息子ヴァンサン・グロ氏の代に変わり、全房発酵のブドウを使用するようになり、その比率はヴィンテージによって異なりますが、土地の特性を最大限に表現したワインを生もうとしています。
■全房発酵とは■
一般的にはブドウの粒のみを発酵させるのが主流ですが、粒の付いた枝のような部分を梗(こう)と呼び、その部分も含めて全て発酵させることも特徴的です。
それによって、滑らかなタンニンが得られ長期熟成に耐える事や、梗由来の独特の苦味や風味が加わり、複雑な味わいになります。
※この全房発酵は非常に難易度の高い手法としても知られ、適切に行わないと青臭さ・酸味・ギスギスしたタンニンが出てしまいます。
そのためには、梗の部分までしっかりと熟している状態にさせなくてはならず、菌の付きやすい梗を無農薬で健全に保つには非常に管理が緻密でなければなりません。
そのためこの手法を実践しているのは、DRCなどの極一部のトップ生産者のみというわけです。
【外観】
透明感のある美しいルビーレッド
【香り】
イチゴやラズベリーのフレッシュさに、ブラックベリーやプルーンのフルーティな果実香も感じられ、バラの華やかさや、ほのかな樽のニュアンスも複雑性を高めます。
【味わい】
厚みのある果実味は透明感があり、出汁の効いたような旨味を伴います。
キレイな酸と程良いタンニンは構造を形成しつつ味わいのバランスを整え、心地よい果実や樽の風味を伴った余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【12℃~18℃】
低めの温度すれば酸味やフレッシュ感が際立ち軽快な飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や複雑な風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
芳醇な香りと、複雑な味わいを持った上質ワインです。
香りが取りやすく温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすい形状に設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
鴨鍋
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、バランスの良いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑でエレガントな風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
カジュアルすぎず、高級すぎない、程良い価格でブルゴーニュピノを選ぶのであれば、多くの方を納得させているこのワインを候補に入れても良いと思います。
上品で複雑な香りに、エレガントかつ豊潤な果実味や出汁の効いたような旨味は、ブルゴーニュらしさを体感できる品質です。
ちょっと優雅な気分を味わいたい時、ワインに興味がある方への手土産などに使っても、活躍が見込める良質ワインと言えるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
赤ワインであり、広域ブルゴーニュワインとしては比較的豊かな味わいがありますが、ニューワールドのカベルネやボルドー格付けワインのような凝縮感はありません。
そのようなワインが好みの方には薄く感じるでしょうし、深いコクを持った和牛を使った料理や、濃厚なソースを使った料理などに合わせても薄く感じてしまいそうです。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「2年熟成の2015は抜栓直後少し青臭い。少し時間置いて素晴らしく変化したけど。」
「毎年飲むグロだけど、2年目の2016はまだ果実味が控えめで、タンニンが主張気味かな。価格も考慮すれば全然OKな品質だけど、もう少し熟成させるべきなのかもしれませんね。」
「5年熟成の2012をあえてバーベキューに持って行き、そして失敗!!いつもの美味しさが微塵も感じられない。青臭い!!でもね。残ったワインを次の日飲んだら普通に旨いんだね(笑)。シチュエーションも重要である事を学んだよ。」
【良い口コミ】
「際立つ部分は無いけど素直に美味しいワインってとこかな。3年熟成2016は香り高く、果実味もしっかり目。酸は適度で旨味もしっかり。広域ブルゴーニュワインとしては上出来だ。」
「3年熟成の2016です。抜栓直後から広がる香りだけで幸せ💛果実味は強めで酸は穏やか。出汁の効いたような旨味は円熟を感じます。皆様が高評価を与えるのにも納得できる経験でした。」
「可愛らしさと美しさを両立した味わいはバランス良く飲みやすい。広域クラスとは言え、ブルゴーニュらしさをしっかり押さえられています。5年熟成2014、これはちょっとレベル高いですよ。」
「結構果実味は強いけど、雑味無く透明感があるから軽快に飲めてしまう。香りも心地よく、酸は穏やか。3年熟成の2015は、濃い目のACブルゴーニュを選ぶ時の筆頭に今昇格したね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 60%
普通 37%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ヴィンテージによって多少個性は違いますが、広域ブルゴーニュワインとしては充実した成分を持っており、上級クラスのピノほどの優雅さはありませんが、価格も考慮すれば十分満足できると感じる方が中心でした。
マイナスイメージを感じた口コミは、2年程度のワインの抜栓直後がやや硬く、やや青臭いと感じるというもので、その傾向も時間経過で解消していますから、バランス感覚に優れた味わいは万人受けしやすいとも感じました。
とは言え昨今のブルゴーニュ高騰の波は必然なのか、数年前は2000円台で購入できていたこのワインも、現在は3000円は超えてきますから、そのような部分が若干満足度を下げるのでは!?とも思いますが・・
以上です。
2020年3月現在、コロナコロナでプロスポーツも無観客試合が行われています。
仕事の全てに言える事ではありますが、その光景はスポーツも仕事も、お客様あって初めて成り立つのだと感じる瞬間でした。
そして、このような私の記事に目を通していただけることにも、改めて感謝申し上げます。
先行きが不透明な現在ですが、美味しいワインを楽しく飲めることに感謝しつつ、発信を続けていこうと思う回となりました。
皆様にとっても良き方向に事が運ぶように、また、そうなるように行動することで、幸運を引き寄せるのではないかとも感じています。
世界は今頑張りどころなのだと思います。
そして乗り越えた時の勝利の美酒は格別なのでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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