あなたはシャンパーニュの味わいに何を求めますか?
爽快な泡、美しい酸、凛としたミネラル、果実のボリューム感、複雑な芳香性に味わい、洗練された雑味の無い透明感。
など様々ですが、そのどれか一つでも欠けてしまうと味わいのバランスが崩れます。
つまりシャンパーニュに限った話ではありませんがバランスは大切。
なぜそのような事を言うのか。
アンリオにはそのようなバランス感覚が特に備わっていると感じているからです。
さて、シャンパーニュを手掛ける生産者は数知れませんが、その中でも多くの日本の消費者の方々に飲まれ(口コミされ)、そして口コミ評価の高い銘柄はどれか。
私はそれを信憑性の高い口コミが見られるVinicaを使って調べてみました。
その結果日本で購入可能で主要なおよそ100の生産者の中でも、特に高評価を獲得していると感じたのは25の生産者達。
今回紹介するアンリオ ブリュット スーヴェランは、私を含め多くの方に飲まれて(口コミされて)おり、そのバランス感覚に優れた品質は一定の高い満足度を与えている傾向が読み取れました。
比較的手頃なスタンダードキュベであり、凄みのある品質ではありませんが、シャンパーニュらしいエレガンスを楽しめるという意味では、様々な場面で活躍が見込める優れ者であると感じています。
それでは始めましょう。
《ワイン名》 アンリオ ブリュット スーヴェラン
《価格》
【4000~6000円】
《ブドウ品種》
・ピノ・ノワール
・シャルドネ
・ムニエ(微量)
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>シャンパーニュ地方
《生産者》 アンリオ
【ここで簡単にプロフィール】
アンリオは1808年創業の老舗生産者。
オランダ王室やオーストリア・ハンガリー帝国皇室御用達シャンパーニュ、あるいは多くの3ツ星レストランでの採用などの実績も持つ。
品質向上に努めてきた長い歴史もあり、「家族の名前を汚すようなシャンパーニュは造らない」という信念の元、エレガントで洗練された繊細さを持ったスタイルを追求している。
《味わいの特徴》
洗練された質感
高次元のバランス感覚
このワインの特徴は、キメの細かな泡に上品な芳香性、上質な果実味にミネラルや酸にコクなど成分が、高次元のバランス感覚で表現されている点にあり、質の高いブドウに由来する洗練された質感は上品かつ繊細であり、エレガントさが際立つシャンパーニュです。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■上質なブドウ■
このワインに使用されるブドウは、シャンパーニュにおける最高格であるグランクリュ、あるいはそれに次ぐプルミエクリュのブドウを主体にしています。
質の高い果実味や酸などの成分を持ったブドウからは、洗練された上質なシャンパーニュが誕生します。
■2種のブドウ■
ムニエを微量使用しますが、シャルドネとピノ・ノワールをほぼ同じ比率で使用。
・シャルドネからは、美しい酸や凛としたミネラル感などの気品ある上品さ。
・ピノ・ノワールからは、コクのある果実感などの力強さ。
が感じられ、それらの特徴が溶け合う事で上品かつ力強さも感じられる品質になります。
■長期瓶内熟成■
ノンヴィンテージのシャンパーニュの瓶内熟成の規定は最低15ヶ月ですが、アンリオは36ヶ月~48ヶ月の長期熟成を実施しており、旨味や奥深さを生みだす澱との接触期間を長くしています。
※ただしどの生産者も規定よりも長く熟成期間を設けている場合がほとんどです。
【外観】
輝く淡いレモンゴールド。
豊かで細かな泡立ち。
【香り】
青リンゴや柑橘類の爽やかさに白い花の華やかな香りを主体に、ほんのり蜜の甘やかさやナッツにトーストの芳ばしいニュアンスも感じられます。
【味わい】
クリーミーな泡は優しい口当たりで、ふくよかな果実味は仄かな甘味を伴い上質な酸が味わいをまとめます。
凛としたミネラル感は気品を感じさせると同時に心地よいコクも持ち合わせ、少しの苦味に果実や仄かなトーストの香りを伴った余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【4℃~12℃】
酸味や凛とした味わいが際立つ低めの温度では、キレ味の良い上品な味わいが楽しめます。
風味の広がりを感じやすい少し高めの温度では、果実感や複雑な風味の広る優雅な味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃は【購入後1年以内】
飲み頃のタイミングで販売されるシャンパーニュですから、購入後1年以内に飲んだ方が良いでしょう。
適切に保存すれば2年程度は楽しめますが、不適切な保存や長く熟成させすぎると風味は抜け、どこか枯れた印象の味わいになってしまいます。
ですから買ったら早めに飲んだ方が良く、常温で長く放置されているようなお店では、買わない方が良いでしょう。
当たり年は【ありません】
いくつかのヴィンテージのワインをブレンド(アッサンブラージュ)して造られるもので、年による品質の差はほとんどありません。
当たり年を意識すべきなのは、単一年のブドウだけで造られたヴィンテージシャンパーニュ(ミレジメ)の場合のみという事です。
《適正グラス》
【フルート型グラス】
シャンパーニュの華やかさは、グラスの美しい外観によってもさらに引き立ちます。
美しい泡立ちを見れる形状ですし、空気に触れる部分も少なく、炭酸も抜けにくいと同時に温度も上がりにくい効果があります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
鮮魚のカルパッチョ
天ぷら各種をレモンと塩で
など、バランスの良いアンリオ ブリュット スーヴェランは食前酒にも適しますし、比較的繊細な味わいの料理との相性が良いですが、軽やかな発泡性と美しい酸は口の中を洗い流す効果もあり、強めの味わいを持った料理にも適応力を発揮します。
また、皮目をパリッと焼いた地鶏や揚げたての天ぷらなど【パリッ】【サクッ】とした食感の料理には、【シュワツ】としたシャンパーニュはとてもよく合います。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「アンリオ単発で飲むと深さが足りないかな。料理がある事でバランスが良くなる印象。無難で良いシャンパーニュだが、個人的には4700円が割高に感じてしまう。」
「以前は安かったから好きだったのに・・・。」
「悪くはないがちょっと苦手。ランソンほどではないけどね。」
【良い口コミ】
「想定以上のボリューム感に複雑性とバランス感覚。このところいろんなシャンパーニュを口にしてきたから、舌が肥えているから期待してなかったけど、有名どころはやはり品質も高いですね。とても満足できました。」
「透明度の高い輝くゴールド。細かな泡立ちは持続性がある。柔らかで甘い香りはジャスミンを連想させるもので、爽やかな柑橘類や青リンゴに、蜜やトーストのニュアンスも加わります。しなやかな飲み口で、少しの甘味を豊富なのになぜか優しい酸がまとめ、適度な旨味やほろ苦さも加わった飲み口はスレンダーな印象だけど、余韻は長い。言葉で伝えるには難しいのですが、好みで大好きです。」
「アンリオは安定感があるね。この飲み心地の良さは飲み続けてしまう危険性がある。(笑)」
「フレッシュな果実や白い花。爽やかな酸と華やかな芳香性に、酵母?を連想させるナッツやバターの風味。好きな感じです。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 53%
普通 47%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
多少好みからズレるコメントや、もっと安ければいいのにというマイナスコメントも見受けられましたが、そのような方でも品質自体を良くないと評価するものではありませんでした。
反対に感動を覚えるほどの奥深さや凄みは、この価格帯のシャンパーニュにはやはり無い事も同時にわかります。
多かったのは、美しい酸や適度な果実味に複雑性、そしてコクを持ったバランス感覚に優れた味わいに好感を持った方々でした。
5000円前後のシャンパーニュの中でも、モエやヴーヴ・クリコほどの口コミ量はありませんでしたが、それらに次ぐコメントの多さからも、安定感のある名門である事がわかり、オーソドックスでバランスの良いシャンパーニュをお探しの方には、安心しておすすめできるような銘柄であると感じる結果となりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
それでは最後に情報整理です。
アンリオ ブリュット スーヴェランは
【価格】
4000~6000円
【味】
キメの細かな泡に上品な芳香性、上質な果実味にミネラルや酸にコクなど成分が、高次元のバランス感覚で表現されている。
【飲み頃と当たり年】
飲み頃は【購入後1年以内】
当たり年の概念は無い。
【口コミ】
悪い評価や感動的評価はほぼ無く、美しい酸や適度な果実味に複雑性、そしてコクを持ったバランス感覚に優れた味わいに好感を持った方が多い。
※ちなみにスーヴェランは【至高】を意味するそうです。
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