「ボージョレ・ヌーボーって、なんかチャーミング過ぎていまいちなんだよな~」
そんな方も多いのではないでしょうか。
そんな時、私はこう言います。
「ちょっとそのセリフ、待ってもらえませんか。私が紹介する6つの生産者のボージョレも飲んでからにしてもらえませんか?」
それでも同じセリフであれば、私はもう2度とおすすめしないでしょう(笑)。
そのようなプチ妄想はさておき、
私はボージョレ・ヌーボー(ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー)を生み、日本で購入可能な主要生産者を30程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
その結果、とても多くの方に飲まれ、高い満足度を獲得していると感じた生産者の一つにジャン・フォイヤールのボージョレ ヌーヴォーがあました。
その他にそのような条件を満たしていると感じたのは、
■ルー・デュモン
■パカレ
■ドミニク・ローラン
■ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌ
■ルロワ
以上の生産者達でした。
並のボージョレの味わいを越えた味わいは、多くの飲み手を感心させています。
《ワイン名》 ジャン・フォイヤール ボージョレ ヌーヴォー
《価格》
【3000円~4000円】
《ブドウ品種》ガメイ
《ボディ》 ライト~ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ボージョレ
《生産者》 ドメーヌ・ジャン・フォイヤール
情報量の少ない生産者ですが、
ここで簡単に経歴を解説します。
現当主であるジャン・フォイヤール氏は、ワインを瓶詰めする会社で務めていたが、1981年に義父が畑仕事を辞めることをキッカケに、畑を譲り受けワイン造りをスタート。
以前から生産者との交流が深かったジャン氏は、フランス自然派ワインの父とも呼ばれるマルセル・ラピエールをはじめとする、自然派ワインの生産者を手本とし成長していき、現在ではボージョレ自然派ワインの代表格の一人として活躍しています。
《味わいの特徴》
心地良い飲み口
スルリと飲める雑味の無さは
ワンランク上のボージョレ
このワインの特徴は、ボリューム感ある味わではありませんが、程良い果実味主体の味わいで、スッと口の中を流れるような雑味の無い繊細さがあるところです。
そして、まろやかな酸や渋味に旨味が適度に感じられる味わいは複雑さもあり、その透明感と奥行きは、ワンランク上のボージョレの味わいを表現しています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■自然派農法■
農薬は一切使用しない事で微生物の働きが活発になり、健全で成分豊かな土壌が育ちます。
ブドウはその豊かな成分を吸い上げ、豊富な成分を果実に蓄えます。
また、醸造においても清澄や濾過はせず、酸化防止剤も極力使用しない事で、ブドウ本来のピュアな味わいを表現しています。
■ヴィエイユ・ヴィーニュ■
土地の成分を吸い上げる能力が高いなど、上質な果実を実らせる樹齢30年~70年の古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)のブドウを使用しています。
■厳しい選果■
傷んだブドウはワインに悪影響をもたらします。
そのため、粒単位で厳しい選果を実践しており、健全な果実のみで造られるワインは雑味無く透明感があり、スッと口の中を流れるよう名上品さがあります。
■低温長期発酵■
5℃~10℃の低温で1ヶ月間の長期発酵をする事で、余計な雑味が出ず、美しい成分はしっかりと抽出する工程を踏んでいます。
※通常の赤ワインは25℃~30℃で5~15日程度。
【外観】
深みのある赤紫色
【香り】
イチゴやラズベリーなどの赤い果実のフレッシュな香りに、バラやスミレの華やかさも広がりを見せます。
【味わい】
甘味の抑えられたフルーティな果実味は透明感があり、女性的な繊細さが感じられます。
穏やかなタンニンと心地よい旨味も広がり、適度な酸が味わいをまとめた後、心地よい余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【12℃~18℃】
低めの温度すれば酸味やフレッシュ感が際立ち軽快な飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や豊かな風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ0年~3年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
心地よい香りと、綺麗な味わいを持ったワンランク上のボジョレーです。
香りが取りやすく、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
カプレーゼ
ロールキャベツのトマト煮
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、繊細なワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、心地よい風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ワンランク上のボージョレヌーボーを選ぶ時の候補におすすめする一本です。
出しゃばりすぎることの無い飲み口は、スルスル飲めるような心地よさがあり、気軽な食事の場面などを華やかに彩ってくれる力があります。
様々な生産者のボジョレーを飲む時のアイテムの一つにしても、違いが分かって楽しそうです。
《こんな場合には不適切!?》
ワンランク上のボージョレとは言え、やはり若さを楽しむワインです。
奥深い味わいや円熟味を楽しみたい方には、このワインに限らずボージョレはおすすめできないでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「ブショネだ・・」
【良い口コミ】
「樹齢70年のブドウから小量生産の贅沢な逸品。よくあるキャンディー系のチャーミングさがいい意味で抑えられており、このエレガンスは並のヌーボーの域を超えているね。」
「まとまりのない酸や果実感じゃなくって。丁寧に成分が収納され、まとまってる感じ。2日目になるとさらに奥行きも出てきて、過去最高のボージョレと言ってしまっていいでしょう。」
「2019は清潔感のあるベリー系果実香が広がり、わざとらしい甘さではなくピュアな果実実で、ミネラリーな味わいはブドウの力のようなものを少し感じます。かわいらしくも美しい良いワインです。」
「ボージョレらしいラズベリー系の香りで、味わいも優しくて美味しい。2日目になってもその優しさは残っており、複雑性などは求めない限り、丁寧に造られたことが伝わる良質ワインと言えるだろう。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 14%
美味しい 43%
普通 40%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
主張しすぎず綺麗で、ほどよい深さがある事が伝わってくるようなコメントが中心で、際立つほどではありませんが、スルリと飲めるような心地よさは、ちょっと上質なボージョレという傾向が感じられました。
残念なブショネ以外で具体的に悪く表現するコメントは無く、丁寧に造られたこのボージョレは、ワインを見極める力を持った方にもおすすめしやすいヌーボーだと感じる結果となりました。
気になったのは、7年熟成を経たこのワインの樹木やキノコに漢方系の香りと、出汁系の旨味の効いた味わいに、非常に高い評価を出されている方がみえたことです。
そのようなチャレンジもしてみる価値があるのか!?無いのか!?
答えはやってみなければわからないですが、それだけのポテンシャルを秘めているのかもしれません。
以上です。
いかがでしたでしょうか。
一味違うボージョレのイメージは広がりましたでしょうか。
愛情いっぱいの家庭環境で健全に育ち、学業をしっかり修め、社会人になりたての初々しい女性といったイメージ・・・。
そんな感じでしょう(笑)
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
コメント