百獣の王=ライオン
ワインの王=バローロ
ライオンをあしらったボトルデザインそのままに、風格漂う味わいは日本の一般消費者の方々を魅了。
口コミ(vinica)からは経験豊富なワインラバーの皆様を満足させている事がわかり、トップクラスのバローロであることがよくわかりました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ラ スピネッタ バローロ カンペ
《価格》
【17000円前後】
《ブドウ品種》ネッビオーロ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>ピエモンテ州
《生産者》 ラ スピネッタ
ラ スピネッタはモダン派バローロのリーダー格と呼ばれる有力生産者。 1977年にジュゼッペ リヴェッティ氏によって設立され、1980年代後半に高く評価されたモスカート ダスティで名声を獲得。
2020年現在当主である息子のジョルジュ氏が後を継ぐと、野心的な同氏はバローロ、バルバレスコに進出。ランゲ地方の小規模生産者をまとめた協会を造り、バローロの近代化運動を牽引するようになり、さらにはトスカーナにも進出し新たな挑戦も続けています。
そんなラ スピネッタはイタリアのワイン誌『ガンベロ ロッソ』で、最高賞であるトレビッキエリを何度も獲得。その回数はガヤに次いで多く、バルバレスコにおいてはガヤとの双璧と呼ばれるまでになりました。 今回紹介しているバローロ カンペは2000年に初めてリリースされた銘柄で、年間わずか8000本生産される希少キュベ。
一家の野心が集結したバローロとして位置づけられており、様々なワイン誌や評論家から90点代後半の高得点を獲得しています。 ちなみにスピネッタのエチケットにあしらわれたサイの絵は特徴的ですが、これはルネサンス時代のドイツの偉大な画家アルブレヒト デューラーによるもの。
サイは一度決意したら、迷うことなく走り続ける動物と言われ、優れたワインを造り続けるというスピネッタ社のシンボルとなりました。
そして、バローロ カンペにあしらわれたライオンは、百獣の王であるライオンの威厳と風格をワインの王であるバローロに重ねているものです。
《味わいの特徴》
複雑で綿密
風格漂うバローロの
トップクラス
このワインの特徴は、ワインの王と呼ばれるバローロらしい風格漂う男性的味わいにあります。
明るく若いと言うよりは落ち着きある大人っぽい果実味や、存在感ある豊富なタンニンや上質な酸がしっかりと感じられ、それらの一つ一つの要素は洗練されており、複雑な風味と相まってスケール感のある味わいが表現されています。
また、熟成によって成分が溶け合い真価を発揮するワインでもあり、トップクラスのバローロの味わいがあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
バローロに使用されるネッビオーロは、ピノノワールに近い透明感のある色調。そして強めの酸と収斂(しゅうれん)性のあるタンニンが特徴的で、適度な果実味と出汁の効いたような旨味が感じられます。
長期熟成で酸やタンニンはワインに溶け込むことでしなやかさが増し、タバコ、トリュフ、革製品など複雑な風味を伴った深い味わいが現れてきます。
■優れた環境■
豊富な日照を得られる南向きの畑。
ブドウに豊富なミネラル分を供給し、水はけの良さで果実に成分を凝縮させる効果のある石灰質土壌。
など、ブドウ栽培において非常に恵まれたテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)がある畑のブドウが使用されています。
■ヴィエイユ ヴィーニュ■
若い樹と比べると土壌の成分を吸い上げる能力が高いなど、優れたブドウを実らせる古木(ヴィエイユ ヴィーニュ)から造られるワインで、その平均樹齢は2020年現在45年~60年です。
■ビオディナミ農法■
化学肥料や農薬を使用しないことはもちろん、天体の動きに合わせて緻密な農作業を行うビオディナミ農法を実践。
※2020年現在畑の75%で実践
天然酵母など様々な生物の営みが反映された土壌は、健全で成分豊かな状態になり、その成分を吸い上げたブドウは土地の個性を反映した、ピュアで滋味深い味わいをワインにもたらします。
■収量制限■
剪定などで収穫量を抑え、残されたブドウに成分を集中させます。
【外観】
透明感のあるガーネット
熟成するほど淡いレンガ色に近づいていきます
【香り】
ブラックベリーやラズベリーなどの果実香にスパイス。レーズンやドライフラワーのような乾いたニュアンスに、樽に由来するカカオやタバコの香りも感じられ、それらが一体となって複雑かつ芳醇な香りを放ちます。
【味わい】
凝縮感のある果実味。豊富なタンニンは風格や存在感を示しつつシルキーな飲み口を表現し、上質な酸が味わいのバランスを整えます。
一貫して深い旨味が感じられ、複雑な風味と相まった気品ある長い余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、甘味や風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から約10~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、ピエモンテ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 5ファーストヴィンテージ
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
香りが取りやすく、甘味を感じやすい形状に設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
鴨のみそ鍋
和牛サーロインステーキ
など、風格あるバローロには上質で味わい深い素材がマッチします。
複雑で奥深い味わいは野性味のあるジビエ料理にも合いますし、上質で存在感のあるタンニンは、上質な脂質と結合し味わいを見事にまとめてくれる効果もあります。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
6年熟成の2011はベリーやチェリーに花やインク、ほんのり樽香も加わりとても良い香り。若いワインという事で、飲む2時間前に2度のデキャンタージュした効果もあり、酸やタンニンは馴染みつつあります。とはいえ、まだまだこのワインはこんなものではないとわかる。飲み頃に達したならどれほどのものかと思う結果となりました。
7年熟成の2011はガチガチのタンニンの中に素晴らしい甘味や旨味がある。このタンニンが溶け込んだ時、素晴らしいワインになるだろう。。。
【良い口コミ】
8年熟成の08はレンガを帯びたガーネット色。ラズベリーやブラックベリーの豊潤な果実香に、ミントやスパイスに樽のニュアンスも添えられています。抜栓直後はややタンニンの渋味が主張気味の味わいだけど、だんだんとワインに溶け込んでいき酸や甘味とのバランスが整っていく感じで、複雑で長い余韻も素晴らしい♪現時点でも飲み頃と言えるでしょうが、さらなる熟成も楽しみな一本ですね。
バローロの頂点ってこれでしょ!?前にも2000年のカンペを飲んで満点だと感じけど、15年熟成の2003もまた素晴らしい!!ポートワインを思わせる芳香から、重厚な果実味とスパイス感。それでいてシルキーでしなやかな飲み口。
存在感のある力強い香りはまさにライオン。デキャンタージュから1時間経過した12年熟成の04は、複雑な香りとタンニンが広がりますが、ビロードの如く妖艶な舌触り。まだ若いとも取れますが、私としては感動的味わいです。
7年熟成2012。これは凄い。若いけどめっちゃ美味くて深い!!10年後えらいことになるの確定だ。(笑)
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 20%
美味しい 63%
普通 17%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
まず感じたのは、このワインを口にしているのは経験豊富なワインラバーの方々ばかりだという事。
そんな分析能力も高い方々を納得、あるいは感動させているワインだと感じました。
若い段階ではポテンシャルは感じるものの硬いと感じる場合も多い傾向。15年程度の熟成を経ることで成分は溶け合い、より満足感は高い傾向が読み取れました。
ガヤ、ジャコモコンテルノ、ルチアーノ サンドローネと比べると口コミ満足度は若干劣る印象ですが、2000年がファーストヴィンテージで比較的若いワインしか口にされていないことも要因にあると考えられます。
よって、バローロのトップクラスである事は間違いないと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ラ スピネッタ バローロ カンペは
【価格】
17000円前後
【味】
ワインの王と呼ばれるバローロらしい風格漂う男性的味わい。
明るく若いと言うよりは落ち着きある大人っぽい果実味や、存在感ある豊富なタンニンや上質な酸がしっかりと感じられ、それらの一つ一つの要素は洗練されており、複雑な風味と相まってスケール感のある味わいを表現している。
【飲み頃と当たり年】
・飲み頃
ブドウ収穫年から約10~30年
※一般的傾向や口コミから推測
・当たり年
ピエモンテ州のヴィンテージチャートは以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 2
1992年 2
1993年 3
1994年 2
1995年 3
1996年 5
1997年 4
1998年 4
1999年 4
2000年 5
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
【口コミ】
分析能力も高い経験豊富なワインラバーの方々を納得、あるいは感動させているワインだと感じた。
若い段階ではポテンシャルは感じるものの硬いと感じる場合も多い傾向。15年程度の熟成を経ることで成分は溶け合い、より満足感は高い傾向が読み取れた。
以上です。
非常に貫禄ある味わいのイメージが広がるバローロで、特別な場面や特に上質な料理に合わせるワインとして知っておきたい銘柄だと感じました。
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