餅は餅屋。(何事においても専門家に任せるのが一番)
ワインにもそのようなことわざが当てはまる場合もよくあり、例えばブルゴーニュにおいても、村ごと(あるいは地区ごと)に特化した生産者が存在し、優れたワインを生む傾向は確認済みです。
今回紹介するワインは、クレマン・ド・ブルゴーニュに特化し、クレマン・ド・ブルゴーニュしか造らない生産者の作品です。
男の中の男みたいなものでしょうか。
なんか違う。。。
さて、私はクレマン・ド・ブルゴーニュを生み、日本で購入可能な主要生産者を40程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれかを客観的視点から調べてみました。
その結果、そのような条件を満たしていた生産者の一つがポール・ショレでした。
ちなみに、ポール・ショレ以外でそのような条件を満たすクレマン・ド・ブルゴーニュを生む造り手は、
■ルー・デュモン
■フランソワ・ミクルスキ
■ラ・メゾン・デュ・クレマン
■シモネ・フェブル
以上の生産者でした。
《ワイン名》 ポール・ショレ クレマン・ド・ブルゴーニュ
《価格》
【3000円前後】
《ブドウ品種》
・ピノ・ノワール
・シャルドネ
・アリゴテ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ
《生産者》 ポール・ショレ
ここで簡単にプロフィール。
ポール・ショレは1955年創業の、サヴィニー・レ・ボーヌに本拠地を置く歴史あるドメーヌ。
冒頭で申し上げた通り、スティルワイン(通常の赤・白ワイン)を造りつつクレマンを手掛ける生産者も多い中、クレマン・ド・ブルゴーニュに特化しクレマン以外は生産しない造り手です。
1975年にクレマン・ド・ブルゴーニュはAOCワインに認証されましたが、その認証運動の功労者である事も知られており、クレマンを深く語るには外す事の出来ない生産者とも言えます。
現当主はジル&ジョエル・レミー兄弟、並のシャンパーニュに引けを取らないと評価される品質で、これからの進化にも期待したい生産者です。
《味わいの特徴》
豊潤さ・上品さ・キレ味
それらの要素を持ち合わせた
ワンランク上のクレマン
このワインの特徴は、ほんのり甘味を感じるような豊潤な果実味を持ちつつ、キレの良い酸味や、雑味の無いクリアーで上品な旨味も持ち合わせた品質にあり、並のシャンパーニュに引けを取らない味わいは、ワンランク上のクレマンの佇まいです。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種特性■
このワインはピノ・ノワール主体に、シャルドネとアリゴテがブレンドされます。
・ピノ・ノワールは果実味の豊潤さやふくらみのある味わい。
・シャルドネは繊細で上品な味わい。
・アリゴテはキレのあるフレッシュな味わい。
それぞれの品種の個性が一体となり、バランスの良い味わいを表現します。
■熟した果実■
スパークリングワインでは、あまりブドウを完熟させる手法は取りませんが(リスクが大きい)、あえて熟したブドウを使用することで、果実感豊かで豊潤な風味を持ったクレマンを生んでいます。
■丁寧な手摘み収穫■
コストが掛かる手摘み収穫ですが、ブドウは傷つくことなく健全な状態が保たれ、雑味の無いクリアーな品質になります。
■瓶内二次発酵■
もっとも手間が掛かり、キメの細かい泡やコクを持った上質なワインを生む製法が瓶内二次発酵。
これはシャンパーニュと同じ製法であり、そのような製法を実践することで優れたワインを生んでいます。
スパークリングワインの製法について知りたい方はコチラ。
■熟成期間の長さ■
クレマン・ド・ブルゴーニュの瓶内発酵期間の規定は最低9ヶ月ですが、
14~18ヶ月間という長期間の発酵をさせます。
そうすることでキメの細かい上質な泡が生まれ、旨味や奥行きをワインにもたらす澱との接触期間も長いので、旨味の乗った品質になります。
【外観】
少しのピンクを帯びたレモンイエロー
豊かで細かな泡立ち
【香り】
柑橘類や青リンゴに白い花の爽やかで華やかな香りに、白桃やラフランスのフルーティさや、パンを思わせるイーストのニュアンスも感じられます。
【味わい】
熟したリンゴに柑橘類を思わせる豊かな果実味が広がり、細やかで豊富な泡とキレのある酸味が味わいを引き締め、ほどよいコクも感じられます。
適度な厚みを持ったミディアムボディの味わいで、果実感やイーストのニュアンスを伴った余韻が続きます。
《飲む時の適正温度》
【4℃~10℃】
よく冷やせば酸味が際立ちキレのある爽快な飲み口が楽しめます。
少し温度を上げれば豊かな風味が広がり、ふくらみのある味わいになります。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
購入からおよそ1年以内
フレッシュさやふくらみのある果実感を楽しむワインです。
長く熟成させるとフレッシュな風味は弱まり、どこか枯れた印象の味わいに変化してしまいます。
《適正グラス》
【フルート型グラス】
美しい泡立ちを見れますし、温度も上がりにくいように設計されています。
スパークリングワインの華やかさは、グラスの美しい外観によってさらに引き立ちます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
バーニャカウダ
天ぷら各種
など、ほどよいコクのある料理との相性が良いですが、爽快な泡は口の中をサッパリさせる効果もあるので、どのような料理にも適応する万能性があります。
また、シュワッとした飲み口はサクッとした食感とも相性が良いので、天ぷらなどの揚げ物との相性も良いですね。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
優れたクレマン・ド・ブルゴーニュを選ぶのであれば、後発型で素晴らしいクレマンを生むルー・デュモンやフランソワ・ミクルスキも良いですが、AOC認定の功労者であり、クレマンだけを造る専門家であるポール・ショレは必ず選択肢に入れるべきでしょう。
品質も高く価格も抑えられていますから、シャンパーニュまでいかなくても、ちょっと美味しい泡を飲みたい時の候補にもおすすめです。
《こんな場合には不適切!?》
上級シャンパーニュのように、熟成で華開くワインもありますが、このワインはそのような熟成に耐えるワインではありません。
購入後はできるだけ早く飲んだほうが、生き生きとした味わいを楽しめます。
もし短期でも保存する場合は適切な保存は必須、日光が当たるような場所に長く放置するのは不適切です。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「良い泡だと思いますが、個人的にはもう少し酸が抑えられてた方がいいかな。普通で・・。」
【良い口コミ】
「ブルゴーニュの利き酒師集団が認めたタストヴィナージュ。クレマン・ド・ブルゴーニュをAOCに押し上げた功労者であり、クレマンだけを生産するスペシャリスト。これが宣伝文句のようですが、確かに言うだけの事はあり品質も高い。シャンパーニュと間違えそうな味わいでコスパよし。」
「2500円でこれなら満足すぎる~🎵シャンパーニュと間違えそうな美味しい泡ですね~~。」
「ちょっと酸が強めなところは賛否が分かれそうですが、私には好きな味です。果実味も豊潤で印象深い一本になりました。」
「ピノ・ノワールによるふくよかさが感じられ、既定の倍の期間に相当する18ヶ月熟成。なるほど美味しいわけだ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 7%
美味しい 37%
普通 56%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
価格に対する品質の高さに満足感を覚える方が非常に多かったことが印象的でした。
中にはシャンパーニュと間違えそうだと感激する方も見受けられ、品質自体を悪く評価する方は見受けられませんでした。
あえて弱点を言うなら、悪いという意味ではありませんが酸が強い傾向がありますから、強めの酸が苦手な方にはおすすめできない事くらいでしょうか。
ブルゴーニュにおいては珍しいクレマンの専門家として歴史あるポール・ショレは、クレマン・ド・ブルゴーニュを選ぶ時の選択肢から外す事のできない、優れた生産者である事を確認する結果となりました。
以上です。
クレマン専門家の手掛けるクレマンの味わいのイメージは広がりましたでしょうか。
本当にシャンパーニュに引けを取らないのか!?
その答えは結局飲んでみることでしかわからないのが事実。
様々なワインを飲んで経験値を上げていくのもドラクエみたいで楽しいですね。
このような比較的手頃なクレマンを週末に飲めば、ホイミスライムにホイミをされるくらい回復するかもしれません。(笑)
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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