「熟成古酒は旨いけど、やっぱり高いよな~。」
そう思う方も多いでしょう。
確かにワインを適切な環境で保存し続けるには、それだけの設備が必要ですし、管理し続けるという意味でもコストはどうしても掛かってしまい、売値が高騰してしまうのも仕方のない事なのでしょう。
しかし、そんな長期熟成古酒を比較的手頃な価格で提供する「古酒の魔術師」と呼ばれる生産者が存在します。
1877年設立のネゴシアン(自らの畑は持たず、ブドウ又はワインを仕入れ、醸造あるいは販売するスタイル)であり、豊富な資金力を武器に地下巨大セラー(カーブ)を作り、さらに大量の優良ドメーヌのワインを仕入れ瓶詰。非常に多くの優れた古酒をストックしている事で有名な生産で、60万本以上の在庫を所有しているという事です。
そしてただ古いというだけではなく、良質なワインの買い付けから適切な熟成、最良の飲み頃を的確に見極めリリースし続けている事で信頼を築き、「古酒の魔術師」とまで呼ばれるようになりました。
シャンボール・ミュジニーで多くの方に飲まれ、しかも口コミ評価の高いワインだけを紹介していますが、今回のワインは多くの人には飲まれておらず、口コミも少なかったのですが、少ない口コミながらこれは秀逸かも!?という雰囲気が出ておりました。また、これほどの熟成古酒に特化して生産する造り手も珍しいという事で、古酒好きにはたまらない!?あるいは古酒というものを体感してみたい方に紹介しておきたいと感じたわけです。
これだけの古酒ですから、少~しギャンブル的要素もあるかもしれませんが、そんなドキドキを楽しむのもワインの醍醐味なのかもしれません。
《ワイン名》 ルモワスネ シャンボール・ミュジニー
《価格》
【28000~6万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>シャンボール・ミュジニー
《生産者》 ルモワスネ・ペール・エ・フィス
《特徴》
大人っぽい優雅さを持ちつつ
愛らしさも垣間見せる
長期熟成によって様々な成分が溶け合い角の取れた円熟味が魅力的な古酒です。
しかし完璧ともいえる環境で熟成されたこのワインは、決して枯れてしまったニュアンスはなく、確かにワインが生きていると感じさせるピュアな果実味も感じられます。
もちろんワインのクオリティーが高いからこそ、そのような品質にもなるわけで、これは豊富な資金力と人脈の成果により上質なワインを仕入れることができたからとも言えます。
そしてもう一つ大切なのが、出荷のタイミング。
優れたテイスティング能力と、長年の経験値によって蔵出しのタイミングを見極めており、出荷の際には澱がワインに悪影響を及ぼすことがないよう澱引きと補填をし、 リコルクして出荷というこだわりを持っています。
こうして、まさに飲み頃の上質な熟成古酒が消費者の元に届くわけです。
【外観】
レンガ色を帯びた深いガーネット
【香り】
熟成を感じさせる果実香は甘やかさがあり決して枯れた印象はなく、むしろその香りは若さも垣間見せ、紅茶・腐葉土・なめし革といった熟成香の広がりも感じられます。
【味わい】
長い熟成によって溶け合ったタンニンや酸味などの様々な成分は一体となり、なめらかな質感と円熟を感じさせる旨味を伴った妖艶な味わいがあり、魅惑的な余韻へと導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その熟成感溢れる香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
収穫年から30年~50年
※このワインに関してはそもそも若いものは蔵出しされないようです。
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1960年 0
1961年 3
1962年 4
1963年 1
1964年 4
1965年 0
1966年 4
1967年 2
1968年 0
1969年 5
1970年 2
1971年 5
1972年 3
1973年 1
1974年 1
1975年 0
1976年 4
1977年 0
1978年 5
1979年 3
1980年 2
1981年 2
1982年 2
1983年 3
1984年 1
1985年 5
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
優雅な香りと複雑で妖艶な味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
鴨鍋
など、豊かなコクのある味わいの料理に合わせる事で、奥深いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がる極上のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
熟成古酒をすぐ飲みたい方にはおすすめです。
上質ワインを買って30年後に楽しむのもいいですが、生きてるうちにすぐ楽しむ選択肢を持っておいても良いのではないでしょうか。(笑)
そしてこのようなオールドヴィンテージワインは特別感満載ですから、特別な接待、記念日、あるいはもしピッタリであれば生まれ年ワインにもなりそうです。
生涯忘れられないワインになる可能性を秘めたワインと呼べるでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「加藤です。そもそも口コミ自体が少ないワインでしたが、1967と1970は普通という無言の評価もありました。」
【良い口コミ】
「37年熟成の1978はコルクに漏れ跡らしき形跡があり心配でしたが、抜栓30分経過で素敵なワインに変貌しました。」
「長期熟成だが村名ワインという事で期待はしていなかったが、いい意味で裏切られたね。状態の劣化もなく香りも良い。成分が溶け合いなめらかな質感と心地よいい味わい。ルモワスネはあまりイメージが良くなかったが、状態が良ければ素晴らしい事がわかったよ。35年の1978は格別。」
「1969年。47年ですよ。凄いです!!」
という皆様の声でした。
悪い方のは私ですね。(笑)
その他にも口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 33%
美味しい 33%
普通 33%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
このワインは口コミが少なかった上に、皆様コメントが比較的シンプルなものが多かったですが、劣化しているというような口コミもなく、なかなか満足度の高いワインなのではないか!?
くらいの印象です。
以上です。
なかなか情報の少ないワインでした。
古酒好きの方には試してみるだけの価値がありそうですし、熟成古酒の魅力を知りたい方の選択肢に入れてみるのもありなのでは!?
つまりこのワインは、ちょっと未知なところがおもしろいのではないでしょうか。
選んで大正解のサプライズか、飲んでビックリ期待以下、あるいは可もなく不可もなくチョー微妙。
どれにあたっても笑ってワインを楽しめる方であって下さい!!
ちょっと深い事言いましたね。(笑)
あなただけのの好みの一本、忘れられない一本が見つかる事を願っております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント