アルザスの上級辛口白ワインを選ぶなら、このワインを候補に入れるべきでしょう。
アルザス筆頭生産者だと感じたマルセルダイスや、評判の良いマルクテンペも素晴らしいですが、ほんのり甘口。比較的手頃な価格のワインが多いアルザスにおいて、辛口の上級白ワインで目を引く口コミ高評価(vinica)を得ていたのがトリンバックのリースリング キュヴェ フレデリック エミールでした。
さらに上級で「アルザスのロマネコンティ」とも呼ばれるクロ サン テューヌはもちろん素晴らしく、辛口白ワインのアルザス最高峰だと感じましたが価格も中々。もう少し手軽にアルザスの最高クラスの味わいを楽しむのであれば、キュヴェ フレデリック エミールを選ぶべきだと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》トリンバック リースリング フレデリック エミール
《価格》
【7000~9000円】
《ブドウ品種》リースリング
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>アルザス地方
《生産者》 トリンバック
トリンバックはアルザスを代表する名門ワイナリーのひとつ。
創業は1626年と非常に古く、2020年現在13世代に亘ってトリンバック家の伝統や妥協なきスタイルを守り続けています。そんなトリンバックへの評価は高く実績も十分。その一例は以下の通りです。
・ノーベル平和賞の祝いの席で振舞われた。
・フランスの3ッ星レストランの全てでオンリストされ、それはアルザスでは唯一の生産者。今回紹介しているキュヴェ フレデリック エミールは、8代目のフレデリック エミール氏の名を冠したもの。
同氏が造ったワインが、当時の国際ワインコンクールで最高位の賞を獲得したことで世界的に脚光を浴びることとなり、トリンバックの名声を上げた同氏の名を名乗るに相応しいワインとして位置付けられています。
《味わいの特徴》
ボリューム感と気品を持った
アルザスリースリングの代表格
このワインの特徴は、豊潤な果実の風味に由来するボリューム感と、美しい酸と凛とした鉱物的なミネラル感に由来する気品ある味わいを両立している点にあります。
また、長期熟成することで円熟した味わい深さが現れるポテンシャルを持ったワインでもあり、アルザスの辛口リースリングを代表するワインのひとつと言えます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優れたブドウ■
このワインに使用されるブドウは、アルザスの格付けの最高位であるグランクリュの2つの畑、ガイスベルクとオステルベルグによるもの。しかも、良質なブドウが収穫できた年のみに造られるワインです。
優れたテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)から誕生するワインは、美しい酸味と豊富なミネラルを持ち、長期熟成に耐えるポテンシャルを十分に持ち合わせています。
■遅摘みのブドウ■
ブドウがしっかりと完熟したタイミングで、丁寧に手摘み収穫を実践。糖度を高めたブドウは充実した果実味を持ち、ブドウを傷付けることなく丁寧に手摘み収穫されることで、雑味の無い洗練された味わいが生まれる一因となっています。
■マロラクティック発酵をしない■
アルコール発酵後、爽やかなリンゴ酸をまろやかな乳酸に変化させるマロラクティック発酵を行う場合も多いのですが、このワインの場合あえて行いません。
そうすることでフレッシュな酸が残された味わいになり、長期熟成を経る過程でゆっくりと酸がワイン中に溶け込み、円熟した深い味わいをを表現するようになります。
【外観】
深みのあるイエローゴールド
熟成するほど琥珀色に近づいていきます。
【香り】
熟したリンゴやアンズのフルーティーな香りに、白い花の華やかさや柑橘系の爽やかさ。リースリング特有のぺトロール香(石油香)や岩を砕いたようなミネラル香も加わり、複雑で気品ある香りが広がります。
【味わい】
熟したリンゴやパイナップルなどの厚みのある果実味は、粘性の高いオイリーな質感と相まってリッチな飲み口。美しい酸味と凛としたミネラルは気品ある味わいを表現し、ほんのり苦味を後口に残しつつ、果実、ミネラル、旨味を残した美しい余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸や凛としたミネラルが際立ち引き締まった印象になり、エレガントで気品漂う飲み口。
温度を上げるほど酸やミネラルは穏やかな印象になりますが、アロマティックな香りや果実感が広がり、優雅な飲み口が楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から8~25年
※一般的傾向や口コミから推測
良いヴィンテージほど、飲み頃になるのが遅く長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど、比較的早くから楽しめ飲み頃の期間は短くなる傾向です。
【当たり年】
アルザスのヴィンテージチャート以下の通りです。
※あくまで一般的傾向です。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 3
1996年 4
1997年 3
1998年 4
1999年 3
2000年 4
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 3
2005年 3
2006年 2
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 3
2014年 3
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【小ぶりのグラス】
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
冷やし気味にして軽快さを楽しむ場合、温度も上がりにくい小ぶりのグラスを選ぶと良いでしょう。
少し温度を上げて広がる風味や味わいを楽しむ場合は、香が取りやすく温度も上昇しやすいシャルドネグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
豚肉のハーブグリル
アワビバター
白ワインですが凝縮された味わい深さがあるため、コクの豊かな料理と合わせることでバランスが取れます。
逆に、繊細な素材の味わいを楽しみたい場合は、ワインの味わいが強すぎます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
10年経っても若々しさ全開。キレのある酸と金属的なミネラル感はカッチカチの硬さ。ブルゴーニュグラスにしたことで若干角が取れて良い感じになりましたけどね。同じワイン持ってるから、しばらくおやすみなさいですね。。。
11年熟成の07は上級リースリングらしいぺトロール香満載で、一緒に飲んでいる皆は幸せそうです♪さすがフランスの3ッ星レストランで全てオンリストされるだけはあるのでしょう。ところが私、実はぺトロールが苦手なんですよ。。。(苦笑)
【良い口コミ】
濃いですね~~。ぺトロール香も強~~い♪強すぎ?(笑)12年熟成の07は果実感満載。豚肉にも負けない味わい深さは凄みがありますね。美味しい♪
白い花、蜜、ドライアプリコット、マロングラッセ、アーモンドの香りに、若干のカモミールやぺトロールもある。8年熟成の2011の香りからは、甘やかな味わいが想像される。しかし想像と違ったシャープな味わいに驚く事になる。酸は引き締まっており、金属的なミネラル感がさらに凛とした味わいを表現。南国果実の果実感も感じられるが、それでも口内を支配するのは硬質なミネラル感。このようなポテンシャルを感じさせる密度の濃いリースリングは私自身初めてで、さらに10年も熟成させれば見事なワインに成長するでしょうね。
オイリーな質感。熟した桃にアンズ、クリームブリュレやオイル(ぺトロール)香が魅惑的な香りを醸し出す。熟した果実感と適度な酸のバランスが最高の飲み頃である事を教えてくれる♪ブルゴーニュのシャルドネにも決して負けないアルザスのリースリング。アロマやミネラル感においては、むしろリースリングの方が勝るのでは?11年熟成の07は、そんな素晴らしいワイン。
結局トリンバックのゴールドラベルは、どれを選んでも素晴らしいのである。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 66%
普通 27%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
経験豊かなワインラバーの皆様がこのワインを口にしており、そのコメントの数々から、かなりレベルの高いリースリングであることがハッキリと伝わってきました。
リースリング独特のぺトロール香が苦手な方には不向きのようですが、凝縮感のある果実味やミネラル感を持った深い味わいに、ほとんどの方が高評価を与えていることが印象的。若干高額なワインではありますが、その満足感を見る限りお値段以上の価値があるコスパワインだと感じる結果となりました。
そして、10年程度の熟成物に対する評価は、素晴らしいと感じる意見も多数ですが、存在感のある酸や金属的なミネラル感に若干の硬さを感じる意見もチラホラですから、さらに熟成させることで円熟した味わいが楽しめる傾向がある事も知っておくと良いと感じました。
ハイレベルな辛口リースリングを選ぶのであれば、必ずこのワインを候補に入れるべきでしょう。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
トリンバック リースリング フレデリック エミールは
【価格】
7000~9000円
【味】
豊潤な果実の風味に由来するボリューム感と、美しい酸と凛とした鉱物的なミネラル感に由来する気品ある味わいを両立。
長期熟成することで円熟した味わい深さが現れる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から8~25年
※一般的傾向や口コミから推測
良いヴィンテージほど、飲み頃になるのが遅く長期熟成にも向く。
難しいヴィンテージほど、比較的早くから楽しめ飲み頃の期間は短くなる傾向。
【当たり年】
アルザスのヴィンテージチャート以下の通り。
※あくまで一般的傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 3
1996年 4
1997年 3
1998年 4
1999年 3
2000年 4
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 3
2005年 3
2006年 2
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 3
2014年 3
2015年 3
2016年 4
2017年 5
【口コミ】
リースリング独特のぺトロール香が苦手な方には不向きだが、凝縮感のある果実味やミネラル感を持った深い味わいに、ほとんどの方が高評価を与えていることが印象的。
10年程度の熟成物に対する評価は、素晴らしいと感じる意見も多数だが、存在感のある酸や金属的なミネラル感に若干の硬さを感じる意見もチラホラで、さらに熟成させることで円熟した味わいが楽しめる傾向がある。
若干高額なワインではあるが、その満足感を見る限りお値段以上の価値があるコスパワインだと感じた。
コメント