好奇心旺盛な方に提案する一本。
しかし王道を求める方や、冒険したくない方にはおすすめしません。
通常の白ワインには無い特徴的な色調と味わいは非常にたくさんの方々を楽しませており、その口コミ内容からは、特徴的ではあるもののピュアでエレガントでバランス良い味わいである事が伝わってきました。
ちょっとおもしろくて品質も確かな銘柄を選ぶ時、ア ユートを候補に入れてみるのも楽しそうです。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》トリンケーロ ア ユート ビアンコ
《価格》
【4500円前後】
《ブドウ品種》
アルネイス
シャルドネ
マルヴァジーア
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>ピエモンテ州
《生産者》 トリンケーロ
トリンケーロはピエモンテ州におけるナチュラルワインの先駆けと呼ばれる生産者。 1925年からの長い歴史を持つアスティ県のワイナリーで、2020年現在3代目当主はエツィオ トリンケーロ氏。
同氏は先代から引き継いだ約50㏊の畑を13㏊にまで縮小しており、「家族経営で自ら完璧に畑の世話ができる規模にするため」と勇気ある決断をした人物。また、イタリア自然派ワインの先駆けであるグラヴナーに影響を受け、ピエモンテ州においてナチュラルワインの先駆者となりました。
今回紹介している「ア ユート」は2005年がファーストラベルのオレンジワイン。
多雨で極端に収穫量が減ってしまった2005年の白ブドウ。その3種の白ブドウを全てブレンドして造られた銘柄で、2005年限定で造る予定でしたが、その出来栄えを気に入ったエツィオ氏は生産を続けることにしました。
ちなみにワイン名の「a-iuto!」は、イタリア語で「助けて!」という意味のAIUTO!そして、日本の輸入元ヴィナイオータの太田社長の息子さん「ゆうと君」を掛け合わせたネーミング。当初は日本だけでリリースされましたが、現在では他国にも輸出される人気銘柄となっています。
《味わいの特徴》
ナチュラルで複雑
優れたバランスも持ち合わせた
オレンジワイン
白ブドウから造られるワインですが、特徴的な色調と赤ワインに感じるような渋味などの複雑さが感じられるワインです。
味わいも雑味がなくブドウのピュアな香りと味わいが表現されており、甘み、渋味、酸味などどの成分が互いを支え合うようなバランス感覚にも優れています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
アルネイスは繊細でチャーミング。
シャルドネはパワフル。
マルヴァジーアはアロマティックな香りと苦味。
以上の個性があると考えるエツィオ氏。
それらを適切な配合でブレンドすることで、それぞれの個性を生かした複雑でバランス良い味わいが生まれます。
■ナチュラルワイン■
農薬や化学肥料を一切使用しないビオロジック農法を実践。
土地の天然酵母など、様々な生物の営みが反映された土壌は健全で成分豊かな状態になり、その成分を吸い上げたブドウは土地の個性を反映したピュアなワインを生みます。
また醸造においても極力酸化防止剤を使用せずブドウのありのままを表現しています。
■マセラシオン■
ワインを醸造する時、果汁と共に果皮や種を一緒に浸漬、発酵させることを「マセラシオン」と呼びます。
通常白ワインでは果汁のみを発酵させるためマセラシオンは行いませんが、このワインは赤ワイン同様行います。
そうすることで果皮や種から抽出される成分が、特徴的なオレンジ色や渋味なども加わった複雑な味わいを生みます。
【外観】
琥珀を帯びた深いオレンジ
【香り】
熟したリンゴや黄桃やアンズのフルーティさに黄色い花の華やかさ、柑橘類の皮のほろ苦いニュアンスにハーブの爽やかさ、紅茶やスパイスも加わり複雑で芳醇な香りが広がります。
【味わい】
熟したリンゴやドライフルーツを思わせるピュアでボリューム感のある果実味は少しの甘味を伴い、心地よい旨味と適度なタンニンを舌に感じます。まろやかな酸が味わいを優しくまとめると、ほんのり苦味をアクセントに残しつつ、果実、スパイス、花、紅茶などの複雑な風味を残した余韻が続きます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~16℃】
冷やせば酸やタンニンが際立ち軽快な印象。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、甘味や複雑な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【ふくらみのあるグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。ブルゴーニュグラスなど口元がすぼまったグラスを選択すれば、より甘味を感じやすくなります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
エビと野菜の中華炒め
地鶏のグリル
白ワインですが、果皮に由来する渋味や独特の風味があります。
合わせる料理も強めの味わいがあるものが適切で、中華料理やエスニック、また野性味あるジビエとの相性も良いでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
翌日以降の方が美味しい。3年熟成の2017は開けたては少しアルコールの臭いが気になるかな。
スッキリしつつ渋味も感じられる味わいで私は好きですね。とはいえオレンジワインの独特さは好みが分かれるでしょうね。
【良い口コミ】
3年熟成2017。オレンジワインだけど変なクセも無いので、結構誰にでも好まれそうな味ですね。適度なタンニンを感じつつ上品な果実味で旨味もしっかりです。
おお。。思ってた通り中々のボディ。3年熟成の2018は最初セメダイン香が支配的でしたが、だんだんとアンズやバナナなどの円熟した果実香にシナモンなどのスパイス香が広がりだす。とても飲み応えがあり、スパイシーでコクが豊かなエビチリとのバランスも良かった♪
とても複雑なんだけどスッと飲めちゃう軽やかさが魅力的♪4年熟成の2016は琥珀に近い深い色。アンズやドライフルーツ系の香りに蜜やハーブのニュアンスも加わります。味わいはとってもピュアで、熟したリンゴのような果実味に渋味、苦味、酸味、旨味が綺麗に融合。とても均衡がとれていますね。
なんだこれは!!白ブドウの果皮の成分を感じつつ複雑な風味が楽しめる。よくある白ワインとは全く別物でおもしろい!!
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 70%
普通 23%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
とても特徴的なワインですから、否定的なコメントもあるだろうと勝手ながらに想像しましたが、ピュアでバランス良い味わいに好感を持つ意見がほとんど。その特徴的な色や味わいに感動する方も少数見受けられました。
とは言え、オーソドックスな味わいを求める方はそもそもオレンジワインは選ばないことも、否定的コメントがほとんど無い要因にもなっているとも感じました。
しかしながら、この記事に目を通す方はオレンジワインに興味があるような好奇心旺盛な方とも想像します。
したがって、好奇心旺盛なあなたにはおすすめしやすいピュアなオレンジワインだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
トリンケーロ ア ユート ビアンコは
【価格】
4500円前後
【味】
熟したリンゴやドライフルーツを思わせるピュアでボリューム感のある果実味は少しの甘味を伴い、心地よい旨味と適度なタンニンを舌に感じる。
まろやかな酸が味わいを優しくまとめると、ほんのり苦味をアクセントに残しつつ、果実、スパイス、花、紅茶などの複雑な風味を残した余韻が続く。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
ピュアでバランス良い味わいに好感を持つ意見がほとんど。その特徴的な色や味わいに感動する方も少数見受けられた。
とは言え、オーソドックスな味わいを求める方はそもそもオレンジワインは選ばないことも、否定的コメントがほとんど無い要因にもなっているとも感じた。
よって、好奇心旺盛な方にはおすすめしやすいピュアなオレンジワインだと感じた。
以上です。
とても印象的なネーミング、色調、そしてバランス良い味わいを持ったオレンジワインでした。
王道の白ワインや赤ワインには無い変化球的魅力があるので、好奇心旺盛なワインラバーの方にちょっとしたプレゼントにしてみても喜んでもらえそうですし、印象にも残るでしょう。
そして、個性的なワインではありますが味わいのバランスは良く変なクセもありませんから、これを期に新たなカテゴリーに出会うキッカケともなれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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