ラングドック ルーションにおける高級ワインと言えば?
ジェラールベルトランのシガリュス ルージュやクロ ドラを挙げる方もみえると思いますが、ムートンが手掛けるバロナークを挙げる方も少なくないでしょう。
バロナークが手掛ける赤ワインは2種類で「バロナーク」と今回紹介する「ラ キャピテール デュ バロナーク」。
日本の一般消費者の方々の口コミ評価(vinica)を客観的に見る限り、価格を含めた総合満足度では「ラ キャピテール デュ バロナーク」の方が僅差で勝る印象を持ち、紹介すべきワインだと感じました。※バロナークも好評です
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》 ラ キャピテール デュ ドメーヌ ド バロナーク
《価格》
【4000円前後】
《ブドウ品種》
・メルロー
・マルベック
・シラー
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ラングドック ルーション地方>リムー
《生産者》 ドメーヌ ド バロナーク
ドメーヌ ド バロナークは、メドック格付け第1級の5大シャトーのひとつ『シャトー ムートン ロートシルト』が南仏の名高い協同組合である『シュール ダルク』とタッグを組んで1998年に始まったドメーヌ。
ムートンを所有するバロン フィリップ ド ロートシルト社は、カリフォルニアではロバート モンダヴィとタッグを組みオーパスワンを、チリではコンチャイトロ社とアルマヴィーヴァを誕生させましたが、それに続き第3弾として選ばれたのがラングドック ルーション地方の人気産地であるリムーだったというわけです。
※ちなみにドメーヌ名は、バロン フィリップ ド ロートシルトとシュール ダルクを合体させて『バロナーク』となりましたが、2020年現在バロン フィリップ ド ロートシルトの単独所有となっています。今回紹介している「ラ キャピテール デュ バロナーク」は、「バロナーク」のセカンドワインと思われがちですが違います。
使用されるブドウは同じ畑のものであり、違うのは品種とブレンド比率、そして樽の素材と熟成期間。つまり、ブドウの質の違いで分けて醸造し、ファーストラベルの品質を保つ役割を果たすセカンドワインとは意味合いが異なるというわけです。
長期熟成型で風格ある味わいを目指したのがバロナーク。
比較的若いうちから楽しめる、親しみやすさやエレガントさを目指したのがラ キャピテール デュ バロナーク。このような個性を持った2つの赤ワインを生産しているのですね。
《味わいの特徴》
ボルドーと南仏の融合
バランス感覚に優れた味わい
このワインの特徴は、南仏らしい果実味の凝縮感に満ちた味わいをベースに持ちつつ、果実味一辺倒の単調な味わいではなく、深みのあるコクや複雑な風味も加わったボルドーワインのニュアンスも垣間見えるバランスの良さにあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■南仏の気候条件■
温暖な気候と豊富な日照などでブドウが完熟し、凝縮された果実味を持ちます。また、酸は比較的穏やかでタンニンは豊富ながら丸みを帯びておりしなやか。
優しい味わいを生むメルローやマルベックの個性も相まって、親しみやすい味わいを表現します。
■ブドウの質■
ワイナリーの全収量の1/3を使用。特に優れたブドウだけを使用しており、洗練されたブドウは濃厚ながら雑味の無いエレガントさも感じさせます。
■高い植樹と低収量■
ブドウの樹をあえて密に植えることで生存競争が起こり、地中深くまで根を伸ばすことでブドウはミネラル豊富な地下水を吸い上げます。またブドウを剪定し収穫量を抑えることで、残されたブドウに成分が集中。そのようなブドウを使用して造られるワインは、土地の成分を反映した充実感のある味わいになります。
【外観】
ガーネットを帯びた深いルビーレッド
【香り】
ブラックベリーやプルーンなどの熟した果実香にブラックペッパーやハーブ、樽に由来する葉巻やビターチョコのニュアンスも加わり、複雑で落ち着きある香りが広がります。
【味わい】
熟した果実の豊潤な果実味と旨味が広がり、シルキーなタンニンはまろやかな飲み口を表現。穏やかな酸が優しく味わいをまとめると、後口に少しの苦味をアクセントに持ちつつ、果実、スパイス、樽などの心地よい風味を伴った余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば軽やかな印象になり、上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が強まり、広がる味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~12年
※口コミや一般的傾向から推測
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと味わいをバランス良く感じやすくなります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
すき焼き
ラムチョップ
非常にバランス感覚に優れた厚みのある赤ワインで、様々な肉料理やチーズやバターなどを使用したコクのある料理などに優しく寄り添い、互いの味わいを高め合う相乗効果が期待できます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
6年熟成の2011はスパイシーで澱も多い。良いワインなのでしょうが、私はあまり好きな味ではありません。。。
7年熟成の2011は甘味少なくドライ。樽感とアルコール感があるフルボディですが、なんだか粗さというか雑味を少し感じますね
【良い口コミ】
6年熟成の2013は牛肉赤身のステーキにピッタリ。熟した果実、バラ、ローズマリー、樽の香り、味わいのボリューム感はありますが、フルーティ―さ比較的穏やかでスパイシーな印象。まろやかな酸とタンニンの存在を感じつつ余韻へと続きます。
「モンペラよりもおすすめ!!」そう言われて購入。6年熟成の2013は粘性のある質感。なるほどこの凝縮感はモンペラには無い。濃厚な旨味はわざとらしさがなく自然体で、ブドウのクオリティー高さがわかるもので、納得の美味しさですね。
セカンドでこれならファーストもチャレンジしてみたい♪ほどよい熟成を経た2011は7年物です。果実、胡椒、ハーブ、樽などの香りから、柔らかでボリューム感のある飲み口で樽の効き具合も絶妙。酸やタンニンのバランスも保たれ、複雑さも感じられる味わいはボルドー的な印象。しみじみ美味しいワインですよ。
バロナークと比較すると優しく丸みのある仕上がり。値段の割にじっくり味わえるような飲み応えがあって中々良い。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 70%
普通 30%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
飲み応えのある味わい深さと、スッと飲めるようなエレガントさを合わせ持ったバランスの良い味わい傾向が伝わる口コミの数々でした。
思ったほど良くも無いと感じる方もおられましたが少数派。感動する程ではなくとも大半の方が納得、あるいは満足している傾向で、バロナークも評判は良かったですが、どちらか一つだけ紹介するとすれば、価格も含めた総合的印象ではこのラ キャピテール デュ バロナークが勝るのでは?と、感じる結果となりました。(あくまで客観的に口コミを見て感じた個人的印象です)
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ラ キャピテール デュ バロナークは
【価格】
4000円前後
【味】
南仏らしい果実味の凝縮感に満ちた味わいをベースに持ちつつ、果実味一辺倒の単調な味わいではなく、深みのあるコクや複雑な風味も加わったボルドーワインのニュアンスも垣間見えるバランスの良さがある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~12年
※口コミや一般的傾向から推測
【口コミ】
思ったほど良くも無いと感じる方もおられましたが少数派。感動する程ではなくとも大半の方が納得、あるいは満足している傾向。
以上です。
さておき、私はこの記事を作成するまでは「バロナークはセカンドもある」くらいの認識をしていましたが、セカンドとはちょっと違う事もわかりました。そのような豆知識も含めてみんなで楽しんでも有意義になるかもしれませんね。
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