少しの甘味を持ったリッチでエレガントな白ワイン。
どのラインナップも非常に口コミ満足度(vinica)が高く、特にゲヴェルツは際立っている印象。
マルクテンペはどれを選んでもハズレは無いと感じる生産者で、アルザスを代表する生産者である事がよくわかりました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》マルク テンペ ゲヴェルツトラミネール ツェレンベルグ
《価格》
【4000円前後】
《ブドウ品種》ゲヴェルツトラミネール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 やや甘口
《産地》 フランス>アルザス地方
《生産者》 ドメーヌ マルク テンペ
ドメーヌ マルク テンペはアルザスを代表する生産者のひとつ。
設立は1993年。生産者の息子として生まれたマルク テンペ氏は醸造専門学校を卒業後、大手メーカーでの醸造。INAO(国立原産地名称研究所)で11年務めた後に醸造コンサルタントを経て、妻と共に念願のドメーヌを立ち上げます。
アルザスにおいて、いち早くビオディナミ農法を取り入れた生産者としても知られており、2020年現在ではミシュランと並ぶ評価誌であるゴーミヨ4ッ星掲載されるなどフランス国内での評価も高く、日本においても絶大な評価を得る生産者です。
《味わいの特徴》
アロマティックな香り
上品な甘美さや奥深さがある
このワインは、ライチなどのトロピカルフルーツや花を思わせるアロマティックな香りがあり、香から連想される通りの甘美な味わいがありますが、適度な酸がある事で味わいを引き締める上品さがあります。また、豊富なミネラル分は味わいに奥行きや気品を与えています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■アルザスのテロワール■
降水量が少なく水分が控えめになる事でブドウは成分が凝縮され、豊富な日照で高温になる事でブドウは糖度を高めます。また、粘土石灰質をベースにした土壌はミネラル豊富で、その成分を吸い上げたブドウは気品や奥深さを感じさせるミネラル分を多く含んだワインを誕生させます。
そのようなアルザスのテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)が、凝縮された果実味とミネラル分を多く含んだワインを生みます。
■ゲヴェルツトラミネールらしさ■
非常にアロマティックなライチ香がこの品種の特徴的な部分です。
■ビオディナミ農法■
「良いワインは、いかに良いブドウを作るか。これに尽きるんです。」そう考えるマルク テンペ氏は、アルザスではいち早くビオディナミ農法を実践しています。
農薬や化学肥料は使わないことはもちろん、天体の動きに合わせて緻密な農作業を行うビオディナミ農法の実践。土地の自然酵母など、様々な生き物の働きも加わった土壌は健全で成分豊かな状態になり、その成分を吸い上げたブドウは土地の個性を反映したピュアで成分豊かなワインを生みます。
■長期間のシュールリー■
アルコール発酵後、酵母の死骸である澱はすぐに取り除いてしまいますが、その澱をあえて残し数ヶ月間共に熟成させる技法をシュールリー(澱の上)と呼びます。
狙いは酵母から生まれる旨味を抽出し、味わいに深みを与えることで、テンペ氏は「ワインと澱が一体化し、安定感が出る」とも考えています。
このワインについては実に2年という長期間のシュールリーを行っています。
【外観】
イエローゴールド
【香り】
ライチ、洋ナシ、黄桃といったフルーティーな果実香に蜂蜜の甘やかさ、白い花の華やかさが広がりを見せ、鉱物的なミネラル香やドライフルーツの落ち着いたニュアンスも垣間見えます。
【味わい】
トロミのある口当たり、豊潤な果実味は上品な蜜の甘味を伴い、塩気を感じさせるミネラルが味わいに深みを与えます。適度な酸味が上品に味わいをまとめると少しの苦味を後口に残し、豊潤な風味を残した長い余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸や凛としたミネラルが際立ち引き締まった印象になり、エレガントな甘味が引き立つ飲み口。
温度を上げるほど酸やミネラルは穏やかな印象になりますが、アロマティックな香りや果実の甘美さが広がり、優雅な飲み口が楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
アルザスのヴィンテージチャート以下の通りです。
※あくまで一般的傾向です。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 3
2006年 2
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 3
2014年 3
2015年 3
2016年 4
2017年 5
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【小ぶりのグラス】
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
冷やし気味にして軽快さを楽しむ場合、温度も上がりにくい小ぶりのグラスを選ぶと良いでしょう。
少し温度を上げて広がる風味や味わいを楽しむ場合は、香が取りやすく温度も上昇しやすいシャルドネグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
エビの中華炒め
ブルーチーズ
など、少々コクの強めの食材、あるいは味付けの施された料理との相性が良く、アロマティックで甘美さのある味わいが料理の味わいを優雅に引き立ててくれるでしょう。
また、上品な甘味は塩分の強いブルーチーズやウオッシュチーズなどとの相性も良く、チーズの塩味がワインの甘味を引き立て、またワインの甘味がチーズの旨味を引き立て合う相乗効果が楽しめます。
逆に繊細な味わいを持った和食(刺身・鮮魚の塩焼き・寿司)などに合わせてしまうと、ワインの味わいが強すぎて料理の味わいが感じにくくなる場合もあります。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
良質なワインである事は理解できますが、私にはちょっと甘いです。。。
【良い口コミ】
4年熟成2016は素直に美味しいと思える味わいで、スッと体に馴染んでゆくようです。蜜りんご、杏子、ライチ、ユリといったフルーティーで華やかな香りに、石を砕いたようなミネラル香。甘やかさを伴った果実味ではありますが、強くはなくとも綺麗な酸は持続的に舌の上に残り、心地よい苦味と相まってメリハリの効いた味わいを表現しています。そして余韻は同価格帯ではあまり無いくらいの長さですね。
貴腐ワインを思わせる濃いゴールド。5年熟成の2013はライチや柑橘系の香りが広がり、その強さもまあまあ。味は想像してたより美味しく、少しの甘味と僅かに苦味を感じるコッテリ系。3日後に飲んでみると美味しさは少し増した印象で、私の中ではゲヴェルツのトップ3には入りそうです。
あ~。ハマった~~この味~~♪7年熟成の2013は南国果実の熟々感に満ちていて、トロリとした質感もリッチさを強調。上品な蜜のニュアンスもありますね。気が付いたら、またこのワインを手にしている自分がいました。(笑)
食後酒としてこのワインを。ゲヴェルツは経験値が少なかったのですが、これを飲んでワインの奥深さを改めて知ることができました。ワイン単体よりはデザートや料理と合わせた方がベターな印象で、ほんのり甘味と酸味を感じる優しいワイン。甘味の質が日本酒っぽいところがあるので、生カキにも合うかもしれませんね。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 10%
美味しい 63%
普通 27%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
完成度の高いゲヴェルツトラミネールである事が伝わる口コミが多い印象。
甘味のあるワインが苦手な方にはおすすめしにくいですが、ほどよい甘さを持ちつつキレイな酸や僅かに苦味も持ったバランス感覚に好感を持つ方が多く、リッチな風味を楽しむ白ワインを選ぶ時の候補に持っておきたい銘柄だと感じました。
ゲヴェルツに限らず、各品種のラインナップはどれも頭一つ抜けた評価を獲得している傾向。アルザスを代表する生産者のひとつであることは、たくさんの方の口コミが証明しているようにも感じました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
マルク テンペ ゲヴェルツトラミネール ツェレンベルグは
【価格】
4000円前後
【味】
ライチなどのトロピカルフルーツや花を思わせるアロマティックな香りがあり、香から連想される通りの甘美な味わいがあるが、適度な酸がある事で味わいを引き締める上品さがある。また、豊富なミネラル分は味わいに奥行きや気品を与えている。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
アルザスのヴィンテージチャート以下の通り。
※あくまで一般的傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 3
2006年 2
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 3
2014年 3
2015年 3
2016年 4
2017年 5
【口コミ】
完成度の高いゲヴェルツトラミネールである事が伝わる口コミが多い印象。
甘味のあるワインが苦手な方にはおすすめしにくいが、ほどよい甘さを持ちつつキレイな酸や僅かに苦味も持ったバランス感覚に好感を持つ方が多い。
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