エリオ アルターレ、パオロ スカヴィーノ、ルチアーノ サンドローネ、と共に「バローロボーイズ」と呼ばれ、モダンバローロを確立した有名生産者。
その知名度や功績はさることながら、日本の消費者の方々の口コミ(vinica)評価は高く、比較的若い段階から楽しめる味わいで熟成も適応する安定感もあり、知っておくべきバローロだと感じました。
格上であるパヤナやペルクリスティーナも、非常に素晴らしいワインである事がわかる口コミ内容でおすすめですが、ここではエントリークラスであるバローロを紹介させていただきます。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ドメニコ クレリコ バローロ
《価格》
【6000~8000円】
《ブドウ品種》ネッビオーロ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>ピエモンテ州
《生産者》 ドメニコ クレリコ
ドメニコ クレリコは、モダンバローロの先駆けである「バローロ・ボーイズ」の主役の1人と呼ばれる有名生産者。 ピエモンテ州で代々ブドウ栽培を家業としてきた家系に育ったドメニコ氏は、1977年に家業を引き継ぐと自ら育てたブドウを醸造することを決意。
ワイン造りの知識が無かった同氏は、友人の生産者からの助言を受けつつ独学で醸造を開始します。
バリック(小樽)の勉強のため訪ねたロマネコンティを生むDRCでの試飲では、オーク樽の味がしなかったことに衝撃を受け樽の研究に没頭。
そうして1983年に初めてバリックで熟成したバローロをリリースしたのです。バローロでは伝統的に大樽を使った熟成が行われており、バリックを使用した事は革新的。
現在では多くの生産者が行うようになったモダン(現代的)スタイルですが、その手法を確立した生産者の1人がドメニコ クレリコ氏だったのです。
そんなドメニコ クレリコへの評価は以下の通り。
・ロバートパーカー氏から最高評価である5ツ星生産者の評価
・今回紹介しているバローロはワインアドヴォケイトで何度も90点台を獲得
偉大な功績を残したドメニコ氏は2017年に他界してしまいますが、妻であるジュリアーナ ヴィベルティ女史が意志を継承し運営を担っています。
《味わいの特徴》
力強く複雑ながら
しなやかさも持ち合わせた
モダンバローロ
このワインは豊富なタンニンや酸を持った力強さや、スパイスやドライフルーツやタバコといった複雑性を持ったバローロらしさがあります。
しかし、凝縮感のある果実味や豊富ながら丸みを帯びたタンニンや酸からは、品格と同時に親しみやすさも感じられ、比較的若いうちから楽しめるモダンバローロの佇まいがあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
バローロに使用されるネッビオーロは、キレイな酸と収斂(しゅうれん)性のあるタンニンが特徴的で、適度な果実味と出汁の効いたような旨味が感じられます。
長期熟成で酸やタンニンはワインに溶け込むことでしなやかさが増し、タバコ、トリュフ、革製品など複雑な風味を伴った深い味わいが現れてきます。
■ブドウの質■
3つの単一畑で造られる格上バローロのクオリティを高めるため、より厳しい選果を実践。使用されなかったブドウをブレンドして造られるバローロです。
つまり、以前は格上クラスで使用されていたクオリティのブドウが含まれており、複数の畑がブレンドされることで複雑性も高まります。
2011年から造られるこのバローロは、ドメニコ クレリコの集大成と位置付けられる銘柄なのです。
■バリックを使用■
熟成ではバリック(小樽)で16ヶ月熟成後、さらに大樽で16ヶ月の熟成を実践。
小樽を使用することで酸やタンニンは丸みを帯びるようになり、比較的若くしても楽しめるバローロが誕生します。
【外観】
ガーネットを帯びた深みのあるルビーレッド
熟成するほど透明感のあるレンガ色に近づきます
【香り】
ブルーベリー、ブラックチェリー、プラムなどの熟した果実香。レーズンやドライフラワーのような乾いたニュアンスに、タバコや革製品やスパイスなどの香りも加わり、複雑でエレガントな香りが広がります。
【味わい】
凝縮感のある果実味は適度なコクを伴い、豊富でしなやかなタンニンが骨格ある味わいを表現。洗練された味わいは雑味の無い上品さも併せ持っており、美しい酸が味わいをまとめると、力強い果実感や旨味、複雑な風味を残した長い余韻が続きます。
熟成するほど酸やタンニンがワインに溶け込み、果実味も円熟することで落ち着きある味わいに成長。紅茶や土や革製品などの熟成香が広がるエレガントさが現れてきます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、甘味や複雑な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、ピエモンテ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2011年 4ファーストヴィンテージ
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
複雑な香りと、深みのある味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく、甘味を感じやすい形状に設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
ラムチョップ
複雑で深みのある味わいを持ったバランス型バローロで、料理とワインが互いを高め合うマリアージュが楽しめるでしょう。
合わせる料理も適度なコクを持ったものが適切で、ワインの複雑な風味は野性味のあるジビエ料理ともマッチします。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
ドメニコクレリコのバローロは大好きですが、5年熟成の2012は若すぎたかな。悪くはないけどもう少し待った方が良かった。
【良い口コミ】
5年熟成の2011はベリー系果実に紅茶やスパイスが加わった豊潤な香り。果実味、酸、タンニンのバランス良くボリューム感のある味わいですが、透明感も同時に感じられる。バローロは安くて美味しくないものに出会う事もあるので難しいイメージですが、こういう綺麗なバローロに出会うと幸せな気分になれますね。
6年熟成の2012という事で若干早いのかもしれませんが、開けた直後から広がる芳香はベリー系果実にドライフルーツやドライフラワー。モダンスタイルらしく酸は比較的穏やかで口当たり優しい印象。熟成後も楽しみですが、現段階でもとっても美味しいバローロでした。
7年熟成の2012はベリー系果実に土や革製品にブラックペッパー等々、落ち着きある複雑な芳香。後口や余韻に濃厚さや力強さを感じるが、決して重すぎず心地よい。いいワインだね。
古酒らしい艶と色調。黒いベリー系果実、バター、葉巻、コーヒーなど非常に香り高く、そして素晴らしい味わい。36年熟成の1980は感動的♪♪
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 60%
普通 33%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
非常にバランス良く、複雑で深みのある味わいに高評価を与える方が多い印象。
5年程度の若いワインについては、やや閉じ気味と感じるコメントもありましたが、若いうちからバランスが良く美味しいと感じるコメントの方が多い傾向。
6年7年と熟成期間が長いほど満足度は増し、感動的評価を与える方も少数見られました。
2011年がファーストヴィンテージという事で、10年以上の熟成酒に対するコメントはありませんが、長期熟成にも十分に期待できる印象です。
よって、早飲みも熟成も適応する優れたバランス感覚を持った銘柄だと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ドメニコ クレリコ バローロは
【価格】
6000~8000円
【味】
豊富なタンニンや酸を持った力強さや、スパイスやドライフルーツやタバコといった複雑性を持ったバローロらしさがある。
しかし、凝縮感のある果実味や豊富ながら丸みを帯びたタンニンや酸からは、品格と同時に親しみやすさも感じられる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2011年 4ファーストヴィンテージ
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
【口コミ】
非常にバランス良く、複雑で深みのある味わいに高評価を与える方が多い印象。
5年程度の若いワインについては、やや閉じ気味と感じるコメントもあるが、若いうちからバランスが良く美味しいと感じる方が多い傾向。
6年7年と熟成期間が長いほど満足度は増し、感動的評価を与える方も少数で、更なる熟成にも期待できる印象。
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