「フェラガモ」が手掛けるトップキュベ。
充実感あるワインですが、若いうちから楽しめる穏やかさがあり、熟成にも向く万能型。
口コミ(vinica)からは突出した凄みのようなものは感じませんでしたが、ネガティブなコメントはほぼ無く、多くの方を満足あるいは納得させている印象です。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》イル ボッロ トスカーナ ロッソ
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※リンク先でで出てくるポッセリナも好評ですが、ここで紹介しているトスカーナロッソではありません。
《価格》
【6500前後】
《ブドウ品種》
・メルロー
・カベルネ ソーヴィニョン
・シラー
《ボディ》 フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>トスカーナ州
《生産者》 イル ボッロ
イル ボッロはファッションブランドである「フェラガモ」が所有するトスカーナ州のワイナリー。
キャンティクラシコ地区の近くにある高級リゾート地として知られるイルボッロ村ですが、フェラガモの社長であるフェルッチオ フェラガモ氏は、元々ワイナリーがあったこの村と周辺の敷地を丸ごと購入した事が始まり。
優れた醸造家であるニコロ ダフィット氏監修の下でワイン造りを本格化し、1999年にリリースを開始します。フェラガモ家の超一流と呼ばれるモノ造りはワイン造りにおいても生きており、ワインアドヴォケイトやワインスペクテイターで90点を超える評価を何度も獲得。またロバートパーカー氏からは3つ星ワイナリーの評価も受けています。
今回紹介しているトスカーナロッソは、そんなイル ボッロが手掛ける最上級キュベであり、ワイナリーを代表する銘柄です。
《味わいの特徴》
穏やかで濃厚かつ上品
バランスに優れた
スーパートスカーナ
このワインの特徴は、凝縮感ある果実味、シルキーなタンニン、穏やかな酸が表現する優しい飲み口と濃厚な味わいにありますが、雑味の無いクリアな味わいからは上品さも感じられるところ。
心地よいコクや樽の芳ばしさや革製品のニュアンスなどは味わいに奥行きを与えており、比較的若いうちから楽しめるバランスの良さがありつつ、熟成にも向く万能性があります。
【外観】
中心部が黒に近い濃いルビーレッド
【香り】
カシスやプルーンなどの円熟した黒系果実の豊潤な香りを主体に、樽に由来するスモーキーさやスパイシーなニュアンス。革製品のような熟成香も加わり、それらが一体となった落ち着きある芳香が広がります。
【味わい】
凝縮された果実味は適度な甘味と深いコクを伴ったフルボディの味わい。タンニンは豊富ながらキメは細かく滑らかで、穏やかな酸と相まって優しい飲み口で、洗練され雑味のない味わいは、濃厚でありながら透明感がある味わいを表現。深い果実の旨味に、タバコ、スパイス、革製品など複雑な風味を伴った余韻が続きます。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
酸や渋味は穏やかで、濃厚で優しいワインを生む傾向のメルロー主体で造られるワインです。
そのような味わいを軸に、豊富な酸とタンニンがあり力強い味わいを生むカベルネソーヴィニヨンと、豊潤な果実味にブラックペッパーのようなスパイスの風味を持つシラーがブレンドされる事で、複雑でバランス良い味わいが生まれます。
■ビオロジック農法■
農薬や化学肥料を使わないビオロジック農法を実践。
土地の天然酵母など様々な微生物などの働きが加わった土壌は、健全で成分豊かな状態になり、その土地の成分を吸い上げた充実した果実が実ります。
■低収量■
量よりも質にこだわるフェラガモは、剪定などでブドウの収穫量を低くすることで、残されたブドウに成分を集中させます。(樹1本あたり最大1キロ)
その他にも機械を使わない丁寧な《手摘み収穫》や、《厳しい選果》をクリアしたブドウだけを使用するなど、ブドウの質にこだわる事で成分は充実しつつ雑味のないピュアな味わいを表現。
丁寧に醸造されたワインは《オーク樽で最低18ヶ月熟成》されることで、適度な樽の風味が反映されたワインが生まれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸や凛としたミネラルが際立ち引き締まった印象になり、エレガントな飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、大らかでボリューム感のある味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、キャンティクラシコ地区のヴィンテージチャートと、わかる範囲でWA(ワインアドヴォケイト)の得点も載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1999年 4
2000年 3
2001年 4
2002年 2
2003年 4
2004年 4
2005年 3
2006年 5
2007年 4
2008年 4
2009年 4
2010年 4
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3WA91
2015年 5JS97
2016年 5WA96+
2017年 3
2018年 3
WA=ワインアドヴォケイト
JS=ジェームズサックリング
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※リンク先でで出てくるポッセリナも好評ですが、ここで紹介しているトスカーナロッソではありません。
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと味わいをバランス良く感じ取れます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
うなぎのかば焼き
和牛赤身のステーキ
肉厚で優しく複雑な味わいを持ったバランス良いワインです。
合わせる料理も深みのある味わいを持ったものが適切で、料理にワインが優しく寄り添い、互いの味わいを引き立て合います。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
5年熟成の2016は、まろやかな味わいでバランスも良く美味しかったのですが、次の日に飲んだ熟成レオヴィルラスカーズが素晴らしく、印象が薄れた。。。
【良い口コミ】
6年熟成の2014は優れたヴィンテージとは言えませんが、それでも美味しかった。何も言われずに飲んだら、ボルドーだと思うでしょうね。
4年熟成の2015は魅惑的な味わいに惑わされるような美味しさ♪ブルーベリーやプルーンなどの熟した果実の優しくふくよかな香りに、樽のニュアンスや少しのスパイスが混じったバランス良い芳香。味わいも香りから連想される通り優しく厚みがあり妖艶で、ほんのり苦味やスパイシーさが複雑性を高めています。素晴らしい。
2011は9年経過してちょっと心配しましが、全くネガティブな要素はありませんでした。とてもまろやかな味わいで、リピート確定の美味しさでした♪
これは誰が飲んでも美味いって言いそう!!6年熟成の2014はシルキーなタンニンの滑らかな舌触りで、厚い果実味が優しく包んでくれます。完璧な栽培をするというフェラガモの信念が、素晴らしい味わいを生むのでしょうね。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 10%
美味しい 57%
普通 33%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
優しく濃厚かつ複雑で、バランス感覚に優れた味わいで高い評価を集めている印象。
熟した果実を思わせるシルキーなタンニンと穏やかな酸もあり、若いうちから角が取れたマイルドな味わい傾向で、ただ優しいだけでなく少しの苦味やスパイシーさに樽の風味も加わることで奥行きやバランスが保たれている印象。
ネガティブなコメントがほぼ無く、そのような豊潤さを軸に持ったバランスの良さに納得、あるいは高い評価を与える方がほとんどでした。
上質で豊富な酸や風格を感じるようなタンニンを持った上級ブルゴーニュやブルネッロ、又はバローロや上級キャンティクラシコのような味わいを求める方にはやや不向きとも感じます。
しかし、ボルゲリやモダンボルドーのような厚い果実味を主体に、やや優しい酸やシルキーなタンニンを持ったマイルドさを求める方に特におすすめできる銘柄だと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
イル ボッロ トスカーナ ロッソは
【価格】
6500前後
【味】
凝縮感ある果実味、シルキーなタンニン、穏やかな酸が表現する優しい飲み口と濃厚な味わいで、雑味の無いクリアな味わいからは上品さも感じられる。
心地よいコクや樽の芳ばしさや革製品のニュアンスなどは味わいに奥行きを与えており、比較的若いうちから楽しめるバランスの良さがありつつ、熟成にも向く万能性がある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
キャンティクラシコ地区のヴィンテージチャートと、わかる範囲での評価誌の得点は以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1999年 4
2000年 3
2001年 4
2002年 2
2003年 4
2004年 4
2005年 3
2006年 5
2007年 4
2008年 4
2009年 4
2010年 4
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3WA91
2015年 5JS97
2016年 5WA96+
2017年 3
2018年 3
WA=ワインアドヴォケイト
JS=ジェームズサックリング
【口コミ】
優しく濃厚かつ複雑で、バランス感覚に優れた味わいで高い評価を集めている印象。
ネガティブなコメントがほぼ無く、そのような豊潤さを軸に持ったバランスの良さに納得、あるいは高い評価を与える方がほとんど。
上質で豊富な酸や風格を感じるようなタンニンを持ったワインを求める場合には不向きだが、厚い果実味を主体に、やや優しい酸やシルキーなタンニンを持ったマイルドさを求める場合に向くと感じた。
以上です。
豊富な資金力と超一流のモノづくりの経験値が生み出した優秀なワイン。
そんな印象で、若いうちから楽しめる優しい飲み口で、熟成にも向く万能型のワインだと感じました。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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