ロンバルディア州のDOCGスフォルザ―ト ディ ヴァルテッリーナで、唯一存在感を放つ生産者。
日本の市場にはあまり出回らないDOCGのようで、いくつかの生産者を調べましたがほとんど口コミすらない状況。
そんな中でも唯一これは!と思える満足感を飲み手に与えていると感じたのがニーノネグリ。
特にチンクエ ステッレ スフルサートは高評。
ちょっと珍しい上質ワインとして知っておくべきだと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ニーノ ネグリ チンクエ ステッレ スフルサート
《価格》
【8000~1万】
《ブドウ品種》キアヴェンナスカ(ネッビオーロ)
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 イタリア>ロンバルディア州
《生産者》 ニーノ ネグリ
ニーノ ネグリはロンバルディア州のヴァルテッリーナ地域を代表するワイナリー。 1897年にニーノ ネグリ氏によって創業され、1927年から参画した息子のカルロ ネグリ氏によって飛躍的発展を遂げますが、カルロ氏の2人の娘は後を継がなかったため、スイスのワインフード社の傘下に入りました。
2021年現在ではメリーニ、マキャヴェッリ、マンフレディなどが所属するG.I.Vに属し品質も向上しています。 今回紹介しているチンクエ ステッレ スフルサートは、ニーノ ネグリを代表する銘柄。
イタリアを代表するガイドブック「ガンベロロッソ」で、最高賞であるトレビッキエリを20回以上獲得しており、日本の『サクラアワード』2019でゴールドメダルも獲得。
名実共にキアヴェンナスカの最高峰と呼べる銘柄です。
《味わいの特徴》
凝縮感と上品さを持った
キアヴェンナスカの頂点
このワインの特徴は、凝縮感ある円熟した果実味と芳ばしい樽の風味が重なった複雑でパワフルな味わいを持ちつつ、綺麗な酸や旨味が上品さを表現するバランスの良さにあり、その味わい深さはキアヴェンナスカにおける頂点と言えます。
【外観】
ガーネットを帯びた深いルビーレッド
熟成するほどレンガ色に近づきます
【香り】
プルーンやカシスを思わせる熟した果実にレーズンのようなニュアンス。コーヒー、葉巻、キャラメルといった樽の香りや革製品のような熟成香も感じられ、それらが混ざり合った複雑で優雅な芳香が広がります。
【味わい】
凝縮感あのある果実味は少しの甘味と、塩気を伴ったような旨味が広がるミディアム~フルボディの味わい。中程度のタンニンはシルキーな飲み口を表現しており、綺麗な酸味が味わいを上品にまとめると、果実や樽の複雑な風味を残した長い余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をい
くつか挙げましょう。
■品種の個性■
このワインに使用されるキアヴェンナスカは、バローロを生む品種ネッビオーロの別名(シノニム)で、ロンバルディア州での呼び名です。
バローロなどピエモンテ州のネッビオーロでは、比較的上品な果実味と、しっかりとした酸やタンニンがあり風格ある味わいを生む傾向。
キアヴェンナスカは土壌や気候の差もあり、ネッビオーロと比較すると柔らかで飲み口スムースな味わいを生む特徴があります。
■陰干ブドウ■
ワイン名にも入っている「スフルサート」はイタリア語で「強化する」という意味で、乾燥させることで成分を凝縮されたブドウから造られるワインです。
収穫後100日間陰干されたブドウは水分が抜ることで糖度が高くなります。
アルコール発酵は酵母の働きで糖分がアルコールに変化する現象のため、必然的にアルコール度数も高くなり(16%前後)、凝縮感ある果実味が広がるパワフルな飲み口になります。
■3つの区画■
ヴァルテッリーナ地域の中でも異なる個性を持った「3つの区画」のブドウが使用されており、その特徴は以下の通りです。
インフェルノは力強くふくよかで長い余韻。
グルメッロはフレッシュで繊細なミネラル。
ヴァルジェッラは豊富なタンニンと際立つ酸味。
これらの個性が融合することで、凝縮感ある複雑さと上品さを両立した味わいが生まれます。
■新樽の小樽で熟成■
発酵を終えたワインは新樽の小樽で20ヶ月熟成されます。
樽の風味が反映されやすいのは新樽>古樽、小樽>大樽であるため、しっかりと樽の風味が感じられるワインになります。
とは言え、凝縮感溢れるブドウの風味とのバランスが良く、決して樽香だけが主張しすぎることはありません。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
複雑で豊かな香りと味わいを持った奥深いワインです。
香りが取りやすく、甘味を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
イベリコ豚のハーブグリル
マガモ鍋
充実感と上品さを持ち合わせた味わい深いワインには、上質でコクの豊かな料理との相性が良く、野性味のあるジビエ料理ともマッチし、料理とワインが互いを高め合うマリアージュが楽しめます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
美味しいワインだけど、初老の私には強すぎて飲み疲れてしまいますね。。。
良いワインなんだろうけど、私の好みではないかな。。。普通で。
5年熟成の2010はまだ若く閉じた印象。爽やかなストロベリー感のある味わいで、タンニンは控えめですね。
【良い口コミ】
14年熟成の03はキノコや干草に革製品といった熟成感を感じさせつつ、まだまだボリューム感のある果実味と酸を持ち合わせおり素晴らしかったです!!
前に飲んだ時の感動が忘れられない一本です!4年熟成の2013は密度の濃い果実の風味があり、豊富な酸の質の高さが秀逸。余韻も素晴らしく、ずっと浸っていたくなりました!!
樽香はあまり好きではないですが、いろんな要素の中のひとつに樽もあるって感じで良いですね。5年熟成の2011は1時間も経過すると、コーヒー、バター、キャラメルなどの芳香があり、リキュール的な甘美さと凝縮感ある味わいと穏やかな酸があり、飲み口はアマローネに近い印象。20年の熟成にも耐えるようですが、現段階でも十分に楽しめると感じました。
おお。さすがヴァルテッリーナを代表するワイナリーの看板銘柄!!5年熟成の2016はパワフルな果実味でありながら豊富な酸とタンニンとのバランスが良く、上品さも感じられる!!これは必ずまた飲みたい。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 63%
普通 30%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
凝縮感ある味わい深さと綺麗な酸による上品さを両立した味わい傾向で、とても満足感の高い銘柄だと感じました。
若いヴィンテージがまだ硬いと感じる意見もありましたが、若いうちから美味しいと感じる方がほとんど。
長期熟成物に対するコメントがほとんど無い事は残念でしたが、10年程度の熟成物に対する高評価もふまえて、さらなる熟成も楽しみなワインだと感じました。
陰干しブドウに由来するアマローネのような凝縮された味わいで、サラッと飲めるようなワインを求める場合には向かないですが、飲み応えのあるやや珍しいワインを選ぶ時の候補に最適な銘柄と感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ニーノ ネグリ チンクエ ステッレ スフルサートは
【価格】
8000~1万
【味】
凝縮感ある円熟した果実味と芳ばしい樽の風味が重なった複雑でパワフルな味わいを持ちつつ、綺麗な酸や旨味が上品さを表現するバランスの良さがあり、その味わい深さはキアヴェンナスカにおける頂点と言える。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
凝縮感ある味わい深さと綺麗な酸による上品さを両立した味わい傾向で、とても満足感の高い銘柄。
若いヴィンテージがまだ硬いと感じる意見もあるが、若いうちから美味しいと感じるコメントがほとんどで、長期熟成も期待できる。
以上です。
ヴェネト州の銘酒であるアマローネに造りが似ており、アマローネ好きな方にもおすすめできる面白い銘柄ではないでしょうか。
今回はチンクエ ステッレ スフルサートを紹介しましたが、ニーノネグリはもっと手軽なヴァルテッリーナ スペリオーレも生産しており、そこそこ評判も良い印象です。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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