グラヴネルと並んで自然派生産者の代表格。
世界各地の生産者に影響を与えたラディコンですが、手掛ける銘柄はどれも人気ですが売り切れのほうが多い傾向です。
そんなラディコンはリボッラジャッラをはじめとするオレンジワインでも好評ですが、長期熟成をを経た赤ワインへの評価は特に目を見張るものがありました。
自然派ワインゆえに、稀に劣化ボトルにあたるリスクも潜んでいるようですが、健全なボトルへの感動的コメントなどを拝見すると、リスクを上回るメリットがあると個人的には感じられました。
そんなわけでラディコンはどの銘柄もおすすめできますが、今回は特に多くの方を魅了しているメルロをピックアップします。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ラディコン メルロ
《価格》
【7000~10000】
※500mlの場合
《ブドウ品種》メルロ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>フリウリ ヴェネツィア ジューリア州
《生産者》 ラディコン
ラディコンはフリウリ ヴェネツィア ジューリア州のオスラーヴィア地区にあるワイナリーで、グラヴネルと並んで自然派ワインを代表する生産者。 祖父の代に始まったワイナリーが孫であるスタニスラオ ラディコン氏に委譲されたのは1980年のこと。
それまで桶売りしていたワインを自身で瓶詰することをはじめると、以下のような様々な改革に着手。
・シャルドネなどの国際品種の採用。
・高密植栽培。
・低圧力の圧搾。
・バリックでの発酵と熟成。
などで、中でも農薬や化学肥料を使わない栽培と、通常白ワインで行わないマセラシオン(果皮を漬け込む工程)を行ったことは画期的でした。
そうして生まれたオレンジワインは世界中に注目され、その味わいに魅了された世界中の生産者がその手法を真似するようになります。
2016年にスタニスラオ ラディコン氏は亡くなりますが、息子のサシャ氏がワイン造りを引き継いでいます。
ちなみに、ラディコンと言えば特徴的なボトルサイズと口径。
良質な天然コルクが今後入手困難になるだろうと考えたラディコンは、出来るだけコルクを造れるようにと口径15ミリの細いボトルを開発。そのサイズも500mlと1000mlの2種でリリースしています。
《味わいの特徴》
自然の恵みを彷彿させる
滋味深くピュアな味わい
このワインの特徴は、大地のエキスを吸い上げたブドウの凝縮感ある旨味や複雑な風味が広がる滋味深い味わいであること。
また、円熟した果実味にタンニンや酸が溶け合った味わいはしなやかであり、凝縮感はあるものの洗練された味わいはピュアで上品さも垣間見えます。
【外観】
やや濁りのある深いガーネット
【香り】
プルーンやカシスなどの円熟した黒系果実の香りに、レーズンなどのドライフルーツのニュアンス。樽に由来するタバコやコーヒーの香りに、熟成由来の腐葉土、キノコ、紅茶のニュアンスも感じられ、それらが一体となった複雑で妖艶な芳香が広がります。
【味わい】
円熟した果実味は滋味深い旨味が広がるミディアム~フルボディの飲み口。長期熟成によってワインに溶け込んだタンニンは豊富ながらシルキーで、柔らかな酸と相まって上品な飲み心地を表現しており、果実、樽、土、紅茶などの複雑な風味とじんわりと広がる旨味を残した長い余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
深い色調。ボリューム感のある果実味で丸みのあるタンニンと適度な酸味があり、優しくふくよかな味わいを生むのがメルローの個性。
また、長期熟成を経ると腐葉土やキノコといった複雑で官能的な芳香を放ち、複雑で力強くもエレガントな味わいを生みます。
■自然なワイン造り■
栽培においては農薬や化学肥料は不使用。土地の様々な生物の営みが反映された健全で成分豊かな土壌のエキスを吸い上げたブドウを育てます。
醸造においても酸化防止剤は無添加。そして無濾過でボトリング。
つまり、自然のエキスを吸い上げたブドウのありのままを表現していると言えます。
※酸化防止剤は品質を安定させる効果があるため、ボトルによって味わいの差が出る場合もあるようです。
■長期マセラシオン■
ブドウの果皮や種など個体を液体に漬け込む工程をマセラシオンと呼びます。
通常5日~2週間くらいですが、このワインでは3週間実施しており、革や種に由来するタンニンなどの成分をできるだけ抽出しています。
■長期熟成■
十分にエキスが抽出されたワインは大樽で最低5年熟成され、さらに瓶熟成を経てから出荷されます。(合計約10年)
長期熟成を経ると成分が溶け合い円熟したしなやかさが生まれると同時に、キノコ、土、ドライフルーツなど複雑な風味が生まれ、樽の風味も加わった複雑で優雅な味わいになります。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
飲み頃はブドウ収穫年から10~25年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと味わいを感じやすくなります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
鴨のみそ鍋
クリーム系パスタにトリュフを乗せて
など、上質でコクの深い料理との相性が良く、大地の恵みを思わせるような野趣味あるワインの味わいは、ジビエ料理との相性も抜群です。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
16年熟成の04は少し酸が主張気味。悪くはないけど、同じラディコンならピノネーロで造られるモードリの方がコスパ良いかな。。。
15年熟成の05は飲み応えがありつつ上品でもあり、1週間を超えても枯れないところは凄い。美味しいワインではありますが、ラディコンらしさを感じたいのであれば、やはりオレンジワインを選ぶべきでしょうね。
余韻に凄みを感じますが、経験が少ない私には難解で、素直に美味しいとは思えませんでした。。。
中々の高額でしたが残念な劣化ワイン。お酢状態でブドウ感ゼロ。自然派ワインでボトル差もあるワインみたいですから要注意ですね。本来の味わいも気になるところですが、価格とリスクを考慮してリピート無いですね。
【良い口コミ】
15年熟成の05は優しく滋味深い旨味に満ちており、他に類を見ない個性を放っている。円熟した黒系果実の芳香に樽やスパイスが溶けた芳香から、土っぽいニュアンスを感じつつ凝縮感ある旨味エキスたっぷりの味わい。成分は充実しているが飲み口は優しく上品で、自然に染み入るような感覚が素晴らしい。
ワイン単体で楽しめる素晴らしい銘柄♪22年熟成の99は飲み頃ど真ん中で、舌を包むような優しい飲み口。ボルドーと比べると太陽を連想させる明るさがあります。こんな素晴らしい状態のラディコンが飲めて幸せ!!♪
最初は香り弱くなんだか薄い印象でしたが、しばらくして開花♪17年熟成の04はトリュフや腐葉土を思わせる熟成香がだんだんと溢れてきて、濃いという感じではないけど、じんわり広がる旨味はエキスたっぷりという感じで美味しかった!♪
香りと味わいのギャップが過去最高!14年熟成の05は酸化による劣化をイメージさせる香りで、この時点で落胆したのですが、一口飲んで衝撃のリバウンド!優しく上品な甘味と柔らかで軽やかな飲み口で、魅惑的な味わいに引き込まれそう。。。この甘味はあのラヤスの紅茶キャンディのようでもありますね。魅了されているうちに最初感じた酸化臭も弱まり、スパイス、コーヒー、葉巻の香りが広がりだす。このワインは凄いですよ。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 17%
美味しい 37%
普通 40%
良くない 6%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
自然派ワインでボトルによって状態の差があるようで、残念な思いをされた方も少々。とはいえ状態の良いワインの円熟した深い味わいへの評価は非常に高い傾向で、感動的評価も少なくありませんでした。
ラディコンと言えば、リッボッラジャッラをはじめとするオレンジワインが有名で好評。
しかし口コミ内容を見る限り、客観的で個人的解釈ではありますが、メルローの赤の方がより満足度は高い印象です。
安定感という意味ではお店で扱うにはリスキーだとも感じましたが、そんなリスクも含めて楽しめる方におすすめできる素晴らしい熟成酒と感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ラディコン メルロは
【価格】
7000~10000
※500mlの場合
【味】
大地のエキスを吸い上げたブドウの凝縮感ある旨味や複雑な風味が広がる滋味深い味わい。
また、円熟した果実味にタンニンや酸が溶け合った味わいはしなやか、凝縮感はあるものの洗練された味わいはピュアで上品さも垣間見える。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から10~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
自然派ワインでボトルによって状態の差があるようで、残念な思いをされた方も少々。
とはいえ状態の良いワインの円熟した深い味わいへの評価は非常に高い傾向で、感動的評価も少なくない。
以上です。
自然派ワインが好きな方であれば、必ず知るべき生産者ではないでしょうか。
ですが、それにしても売り切れの場合が多いのも事実で、人気の高さもうかがい知れます。
下記のリンクではメルロに限らず様々なラインナップが検索できますので、買えるものからチャレンジしてみても良いかもしれませんね。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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