ラディコンやグラヴネルの強い個性と比較すると上品な味わいで人気。
客観的で個人的解釈ではありますが、価格に対する口コミ満足度では、フリウリ州のオレンジワインのワインでもトップクラス。
どのラインナップも安定して高評価ですが、特にリボッラジャッラで高い満足感を与えていると感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ラ カステッラーダ コッリオ リボッラ ジャッラ
《価格》
【5000前後】
《ブドウ品種》リボッラ ジャッラ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>フリウリ ヴェネツィア ジューリア州
《生産者》 ラ カステッラーダ
ラ カステッラーダはフリウリ州を代表する自然派生産者のひとつ。 前当主であるジュゼッペ ベンサ氏は自らが経営するレストラン用にワイン造りを始め、2人の息子ニコロとジョルジョ ベンサ氏がワイナリーを引き継ぐと、1985年からボトリングを開始。
農薬や人口酵母の不使用など、人為的な工程を極力排除した自然なワイン造りを行っており、赤白どちらも高い評価を集めています。
※ちなみにニコロ氏はラディコンやダリオ プリンチッチと同級生で、互いのワイン造りに影響を受け合う存在とのこと。
《味わいの特徴》
凝縮感と透明感を持った
エレガント系オレンジワイン
このワインの特徴は、ブドウの果皮の成分を感じさせるオレンジワイン特有の滋味深い味わいを持ちつつ、透明感を感じさせるエレガントな要素も合わせ持っているところです。
【外観】
琥珀色に近いオレンジ
【香り】
杏子、グレープフルーツ、オレンジなどの果実香に、ドライアプリコットなどの乾いた果実のニュアンス。蜂蜜、樽、石灰、キノコなど様々な要素が加わり、それらが一体となった複雑で落ち着きある芳香が広がります。
【味わい】
凝縮感のある果実味の甘味は微かでドライな飲み口。洗練された雑味の無い味わいはピュアで透明感があり、柔らかな酸と適度なタンニンが構造ある味わいを表現。鉱物的な凛としたミネラル感、滋味深い旨味、少しの苦味を後口に感じると、それらの要素を残した余韻が続きます。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■高密植栽培■
ブドウの樹をあえて密に植える高密植栽培を実施。
そうすることで生存競争が高まり、樹は根を地中深くまで伸ばします。
その結果ミネラル豊富な地下水を吸い上げることで成分豊かなブドウが育ちます。
■収量制限■
剪定などでブドウの収穫量をあえて落とします。
そうすることで残されたブドウに成分が集中し、凝縮感ある味わいが生まれます。
■自然なワイン造り■
栽培においては農薬や化学肥料は不使用。
土地の天然酵母など、様々な微生物の営みが反映された土壌は健全で成分豊かな状態になり、そのエキスを吸い上げたブドウが育ちます。
醸造においても人口酵母は使わず天然酵母のみで発酵し、温度管理も行いません。また、酸化防止効果のある二酸化硫黄(SO2)も瓶詰め時に少量添加するのみで、濾過もしません。
そうすることで土地のエキスを存分に吸い上げたブドウの、ピュアで滋味深い味わいが生まれます。
■マセラシオン■
通常の白ワインはブドウを搾り、果汁だけで発酵させますが、このワインはは皮ごと発酵させます。
この皮ごと漬け込みエキスを抽出する工程をマセラシオン(醸し)と呼び、マセラシオンをすることで果皮から抽出される色素や渋味なども加わり、オレンジワイン独特の色調と味わいを生んでいます。
※詳しい情報が見当たりませんでしたが、ラディコンやグラヴネルなどと比較すると抽出は抑え気味の上品なテイストで、マセラシオン期間も短めであると推測されます。
■適度な樽感■
木製の開放醗酵槽で発酵を終えると、大樽または古い小樽で熟成されます。
樽のニュアンスが反映されやすいのは小樽>大樽、新樽>古樽で、ブドウの繊細なニュアンスを覆い隠さない程度の上品な樽感が反映されます。
《飲む時の適正温度》
【10℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
ブドウ収穫年から6~15年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【中庸で膨らみのあるグラス】
香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、膨らみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
豚肉のハーブグリル
通常の白ワインには無い味わい深さがあります。
合わせる料理もコクのある素材や味付けの施されたものが良く、野性味あるジビエとの相性も良いでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
時間経過で旨味が増していい感じになったけど、最初は苦いだけの印象。冷やし過ぎはよくありません。
【良い口コミ】
9年熟成の2012。リボッラジャッラって軽やかなワインを生むのに、オレンジワインになると全く違う!!こんなにも旨味がにじみ出るのですね!♪優しい酸があるマイルドな味わいは、グラタンなんかと合わせたくなりました♪
知名度こそやや低い印象だが、ラディコンやグラヴネルに隣接する優良生産者がカステッラーダ。複雑で優しい芳香から、非常にドライなアタックに始まり、厚みのある酸がまとめる味わいは透明感があり、旨味、苦味、酸味を残した余韻がある。ラディコンやグラヴネルほどの強さは無く綺麗な造りで、次々と杯を進めたくなってしまう美味しいオレンジワインだと思う。
30分経過でフルーツ系の香りがどこへやら、バター系の樽感やキノコ類などの熟成香などの要素が余韻に広がりだします。お見事♪
9年熟成の2011はとても清潔感のある芳香で、グレープフルーツ、黄桃、蜂蜜、干しアンズ、樽、石灰など様々な要素が感じられ、異臭感はゼロ。なめらかな飲み口で甘さはありませんが、上品で凝縮感ある果実味を美しい酸と骨格あるタンニンがまとめており、旨味が綺麗に溶け込んでいる。後半にかけて広がる鉱物的なミネラルの、涼しげな印象を残す余韻も素晴らしい!!
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 3%
美味しい 70%
普通 27%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
感動的評価こそ少ないですが、安定して高い評価を集めている印象。
オレンジワインで独特のニュアンスがありますから、スタンダードな白ワインが好きな方にはおすすめできませんが、否定的なコメントがほぼ無かった事は、オレンジワインとしての完成度の高さが窺い知れました。
味わいとしては有名なラディコンやグラヴネルと比較すると果皮の成分抽出は抑え気味で、上品さや透明感がある傾向のようです。
価格も考慮すれば満足度はオレンジワインの中でもトップクラスで、選択肢に入れるべき優良生産者だと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ラ カステッラーダ コッリオ リボッラ ジャッラは
【価格】
5000前後
【味】
凝縮感のある果実味の甘味は微かでドライな飲み口。洗練された雑味の無い味わいはピュアで透明感があり、柔らかな酸と適度なタンニンが構造ある味わいを表現。鉱物的な凛としたミネラル感、滋味深い旨味、少しの苦味を後口に感じると、それらの要素を残した余韻が続く。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から6~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
感動的評価こそ少ないが、安定して高い評価を集めている印象。
否定的なコメントがほぼ無かった事は、オレンジワインとしての完成度の高さが窺い知れた。
味わいとしては有名なラディコンやグラヴネルと比較すると果皮の成分抽出は抑え気味で、上品さや透明感がある傾向。
価格も考慮すれば満足度はオレンジワインの中でもトップクラス。
以上です。
カステッラーダの滋味深くエレガントな味わいのイメージは広がりましたでしょうか。
オレンジワインと言っても造り手によって味わいが異なりますから、そんな違いを模索してみるのも楽しそうですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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