エントリークラスの良質タウラージ。
DOCGタウラージとしては3000円前後の価格は調べる限り最安値。
とは言え、その味わいへの口コミ満足度は5000円クラスのタウラージにも引けを取らない印象。
とりあえずタウラージを飲んでみたい方、上質なアリア―ニコとはどんなものか知りたい方。
そんな方におすすめしたいコスパワインだと感じています。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ヴィノジア タウラージ サンタンドレア
《価格》
【3000前後】
《ブドウ品種》アリア―ニコ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>カンパーニャ州
《生産者》 ヴィノジア
ヴィノジアは手頃で良質なタウラージを生産するカンパーニャ州の優良生産者。
マストロベラルディーノと並んでカンパーニャ州のトップ生産者であるフェウディ ディ サングレゴリオ。
そんなサングレゴリオの設立者の1人であるマリオ エルコリーノ氏が、弟と共に2003年に独立して設立されたのがヴィノジアです。今回紹介しているタウラージ サンタンドレアは、3000円台で楽しめるタウラージ。
手軽な価格ながら評価の高い銘柄で、その一例は以下の通りです。
ワインスペクテイター91点(2011)
ジェームズサックリング95点(2013)
ジェームズサックリング92点(2015)
《味わいの特徴》
強めのタンニンと酸を
豊潤な果実味が包む
端正な飲み口
このワインの特徴は、力強いタンニンと酸味による骨格ある味わいを凝縮感ある果実味がバランス良く包み込むような味わいにあります。
また、樽やスパイスに熟成のニュアンスも複雑さを高めており、ワンランク上の濃厚で端正な味わいが楽しめます。
【外観】
深く濃いルビーレッド
【香り】
プルーン、カシス、ブラックチェリーなどの黒い果実の香りは豊潤で、樽に由来するチョコレートやコーヒーのニュアンスもしっかり。
ブラックペッパーなどのスパイス香や革製品のような熟成香も複雑性を高めています。
【味わい】
凝縮感のある果実味は適度な甘味と旨味が感じられる豊潤さがあり、力強いタンニンとキレイな酸は豊潤さの中に一本芯を通したような気品ある味わいを表現。複雑な風味を残した余韻が続きます。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■造り手の目標■
モダンタウラージのトップ生産者と呼ばれるヴィノジアは、以下の目標を挙げています。
「すぐにそして普遍的に楽しめるワインを造ること」
「造り手の想いとテロワールが詰まったワインを飲み手により身近に感じてもらうこと」
輸入元フィラディス様のページより引用
伝統的なタウラージは長期熟成によって花開く傾向ですが、ヴィノジアは若い段階から近づきやすいモダン(現代的)なタウラージを目指しており、価格も手頃に設定されています。
■品種の個性■
タウラージに使用されるアリア―ニコはカンパーニャ州を代表する土着品種。
非常に豊富な酸とタンニンがあるため、若いうちは硬い印象があり、長期熟成によって果実味・酸味・渋味が溶け合う事で円熟した滑らかさや、土や革製品を思わせる複雑なニュアンスも加わるようになります。
■完熟ブドウ■
ブドウは茎の部分まで完全に熟すタイミングを待ち、手作業で丁寧に収穫されます。
そのため比較的若い段階から果実感豊かで近づきやすいタウラージが生まれます。
■栽培環境■
ブドウが栽培されるのは昼夜の寒暖差が大きい環境にあります。
昼の温暖さはブドウの熟度を高め豊潤な果実味を与え、夜の冷え込みは豊富な酸を与えます。また寒暖差は香り高いブドウが生まれる要因にもなっています。
そして、土壌は石灰や粘土を含む火山性土壌で、土壌の豊富なミネラル分がワインに奥行きを与えます。
■樽熟成■
醸造を終えたワインは小樽(バリック)の新樽70%で14ヶ月熟成されます。
小樽>大樽
新樽>古樽
以上のように樽の風味は反映されやすいため、樽の風味は強めに反映されますが、ブドウの力強い風味とのバランスが考慮された比率と言えるでしょう。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど穏やかな印象。果実感や複雑な風味の広がりある味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、カンパーニャ州(タウラージ)のヴィンテージチャートと評価誌の得点なども載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 3WS91点
2012年 3
2013年 4JS95点
2014年 3
2015年 4JS92点
2016年 4
2017年 3
WS=ワインスペクテイター
JS=ジェームズサックリング
《適正グラス》
【ボルドーグラス】
【ブルゴーニュグラス】
香りが取りやすく温度も上がりやすいボルドーグラスやブルゴーニュグラスが良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
うなぎのかば焼き
サーロインステーキ
力強いワインの味わいは同じくコクの深い料理との相性が良く、豊富なタンニンは脂分と結合しバランスを整える効果もあります。
逆に繊細な味わいを持った料理には、ワインの味わいが強すぎるためおすすめできません。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
6年熟成の2013は開けたては完全に閉じた印象。30分経過してもまだまだ開かない。。。以前同じヴィンテージを飲んだ時は甘味のある果実味もあり美味しかったので、時間が必要なワインなのでしょう。
【良い口コミ】
タウラージは初めてですが結論は美味しい!!5年熟成の2015はホワイトペッパー?を思わせる独特のスパイス感、そしてタバコや革製品にバニラの芳香。円熟した旨味のある果実味を強い酸が引き締める味わいで、タンニンも豊富ながら滑らかになりつつある段階のようです。
非常に充実しインパクトのある味わいに満足です。5年熟成の2011は強烈な一口目で繊細の逆を行く力強さで、ワイン単体で向き合いたいような味わいでした。素晴らしい。
熟した黒系果実にバラの優雅さやしっかり目の樽香。6年熟成の2011はガッチリ系の飲み口ですが、徐々にほぐれていくような変化を辿り、情熱的でありながら決してしつこさの無い上品さが現れました。とても美味しくて、2日目も同じく満足できる味わいでした。
5年熟成の2012は時間経過と共にどんどん美味しくなっていきますね~~♪この変化には驚きでした!!
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 57%
普通 36%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
タウラージらしいパンチのある味わいで好評な印象です。
開けたての硬い味わいへのネガティブコメントもありましたが、徐々に広がる味わいへの満足度は高い傾向。
価格に対するコメントは無かったですが、他の生産者の5000円前後のタウラージ並の評価をされており、3000円台のワインとしてはコスパは高いと感じました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ヴィノジア タウラージ サンタンドレアは
【価格】
3000前後
【味】
力強いタンニンと酸味による骨格ある味わいを凝縮感ある果実味がバランス良く包み込む。
また、樽やスパイスに熟成のニュアンスも複雑さを高めており、ワンランク上の濃厚で端正な味わいが楽しめる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
カンパーニャ州(タウラージ)のヴィンテージチャートと評価誌の得点は以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 3WS91点
2012年 3
2013年 4JS95点
2014年 3
2015年 4JS92点
2016年 4
2017年 3
WS=ワインスペクテイター
JS=ジェームズサックリング
【口コミ】
タウラージらしいパンチのある味わいで好評な印象。
開けたての硬い味わいへのネガティブコメントもあるが、徐々に広がる味わいへの満足度は高い傾向。
価格に対するコメントは無いが、他の生産者の5000円前後のタウラージ並の評価をされており、3000円台のワインとしてはコスパは高いと感じた。
以上です。
タウラージは独特の酸とタンニンがあり少し個性が強い印象。
万人受けしやすい味わいも良いですが、ちょっと個性的なワインもまた魅力的。
産地やブドウでいろんな個性が表現されていますが、生産者はその環境にマッチしたブドウのポテンシャルを最大限に引き出そうとしています。
南イタリアを代表する品種アリア―ニコでは、その力を最も表現しているのがタウラージなのですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント