「パーカー5ツ星生産者」
「新樽の魔術師」
「熟成で華開く堅牢な品質」
今回紹介するワインのキーワードです。
比較的歴史は浅く、1947年創業で2代目のクリスチャン・セラファンが跡を継ぐことで品質は向上。現在(2019年)は3代目の娘と姪と共に、更なる品質向上を模索しつつジュヴレ・シャンベルタンの第一線を走っている生産者です。
頑固おやじで、完璧主義者とも評されるクリスチャン氏の造るワインは、やはり頑固なだけに?堅牢な造りになっており、若いうちは素っ気なさを感じる硬さがありますが、熟成によりようやく広がりある味わいが現れます。
(頑固おやじも心開けば、本当はやさしい部分を持っているという事を表現!?)
さておき、そんなセラファンのワインはパーカー氏からも、5ツ星生産者の評価を得るほど認められており、実際飲まれた日本の消費者の皆様の口コミ評価も非常に高く、これは知るべき生産者だと感じましたので紹介させていただく事にしました。
ブルゴーニュルージュからグランクリュまで生産し、どれも評価の高いセラファンではありましたが、今回選んだ村名ワインのジュヴレ・シャンベルタンは、実際飲んだ方も多く、価格とのバランスも考えると、最も満足度の高い評価を得ている傾向を感じました。
成分豊かな熟成型ジュヴレ・シャンベルタンを選ぶならば、必ず選択肢に入れておきたい一本です。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 セラファン ぺール&フィス ジュヴレ シャンベルタン
《価格》
【9000~15000円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ジュヴレ・シャンベルタン
《生産者》 セラファン ぺール エ フィス
《特徴》
凝縮された堅牢な味わいは
熟成で華開く
セラファンのワインの特徴は、クオリティーの高いブドウによって、成分の充実した力強い品質にあり、熟成によって真価を発揮するところです。
そのような品質になる理由をいくつが挙げましょう。
・セラファンでは厳しい剪定行い、ブドウの樹に実る房の量を減らすことで、残されたブドウに成分が集中し凝縮感あるブドウが育ちます。
・農薬は極力使用しないなど、健全な土壌を育てるための工夫を実践しており、そのような土壌から育つブドウは、土地の成分を反映した健全でピュアな品質になります。
・樽の香りを反映しやすい新樽の使用比率が高い事もセラファンの特徴的な部分で、通常村名ワインクラスでそれを行うと、樽香が前面に出すぎてしまいますが、セラファンの力強いワインでは、強めの樽のニュアンスくらいが丁度いいほど成分が充実しているというわけです。
・このように成分豊かでタンニンも力強いため、若いうちはやや硬さがあり、どこか素っ気ない印象ですが、熟成で成分が溶け合った味わいは妖艶で、複雑な風味が現れるため、熟成によって真価が発揮されるタイプのワインと言えるでしょう。
【外観】
深い赤紫色。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
カシスやチェリーなどの果実香にバラの華やかさ、樽のニュアンスも感じられます。
熟成が進むほど果実香は落ち着きある甘やかさが感じられ、ドライフラワーに革・土といった熟成香に、樽に由来するスモーキーさも加わり複雑さがあります。
【味わい】
若いうちは成分は充実しているものの溶け合っておらず、旨味や風味が感じにくい蕾のような品質で、タンニンが強めの硬い印象の味わいです。
熟成が進むほど果実味・タンニン・酸味などの成分が溶け合う事で、旨味や風味の広がる華開いた状態になり、なめらかな質感と複雑な風味を持った妖艶な品質に成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば、酸味を感じやすくエレガントで軽快な飲み口が楽しめますし、温度を上げるほど香りと味わいが広がり、豊かな風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から8~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと複雑な味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
和牛のタタキ
アワビバター
など、上質な素材でコクのある味わいの料理に合わせる事で、複雑でエレガントな風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
【しっかり熟成型ピノを選ぶ時】
凝縮された成分を持つ上質なブドウを、無濾過・無清澄でボトルに詰め込まれた優雅な力強さを持ったワインです。
10年以上熟成した妖艶な味わいは多くの方々を魅了しており、サラリとエレガントで早飲みも楽しめるピノノワールというよりは、優雅で品格ある熟成型ピノノワールを求める方に選んでいただきたい1本です。
【贈り物・プレゼント用に】
そんな上質なワインは、贈り物としても十分な力を持ったワインと言えるでしょう。
「10年以上熟成させることで本当の力を発揮するワインです。」
と、言ってプレゼントしたら。
「ふ~ん。」
かも知れませんが、ワインに興味がある方であればきっと喜んでもらえるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
【若いうちはおすすめしません】
熟成により成分が溶け合う事で、妖艶な風味が広がるワインですから、あまり若いうちはおすすめしません。
頑固おやじが目も合わせてくれないような体験をするかもしれません。
熟成することで、そんなおやじさんも角が取れやさしい笑顔を見せてくれるのでしょう。
なんだかこの例えは、ちょっと気持ち悪い。。。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「なんだか薬っぽい香りが気になる。ジュヴレっぽくもなく、ブルゴーニュっぽくもない変わった味わいで好みではない。11年熟成の2007。」
「2008は7年でもまだ若かったのかしら。香りが思ったよりおとなしいかな。」
【良い口コミ】
「15年目の2002は深いルビーレッド。果実香に加え枯葉や革製品を思わせる熟成香も加わり艶やか。タンニンはキメが細かくなめらかで、穏やかな酸があじわいをまとめる。飲み頃でバランスもよく優秀なワインだ。」
「セラファンは安定感があり大好きな造り手なんです。今回の2005は11年熟成。果実に湿った土の香りは官能的。期待通りに美味しくて満足です。」
「おいおい・・これはなんて凄いパワーだ!!溢れる香りに、甘やかな果実味が強烈。セラファンやるねぇ。23年目の1993。なかなか艶っぽくてエロいワインだぜ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 3%
美味しい 65%
普通 25%
良くない 7%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ごく一部で、好みではないちょっと変わった味わいで不評な場合と、弱いヴィンテージからか期待以下の風味であったというマイナスコメントもありましたが、多くの方が安定感のあるセラファンのワインに信頼を持ち、品質も感動まではいかないまでも高く評価している傾向で、特に長期熟成させて官能的になったワインは人を魅了する力を持っている傾向も読み取れました。
優雅で複雑な風味を持ったバランスの良い品質は、村名ジュヴレ・シャンベルタンの中でも、特に万人受けしやすいい優れたワインなのだと感じました。
以上です。
セラファンの魅力は伝わりましたでしょうか。
同じワインでも、ブドウや産地そして造り手はたまたヴィンテージによって全く違う表情を見せてくれてくれるのは、非常におもしろく底知れぬ奥深さ感じます。
セラファンの場合は、熟成によって華開く成分豊かで優雅なピノノワールといったところでしょうか。
今日も新しいワインを紹介できた喜びを感じつつ、そしてここまで読み進めてくれたあなたに感謝しつつ、終了したいと思います。
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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