ブルゴーニュの神様と呼ばれた故アンリ・ジャイエ。
そのアンリ・ジャイエ氏の後継者とも呼ばれ、絶大な人気を誇る生産者。
クロ・ヴージョで多くの方に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと調べてみた結果、自然とこのワインは浮かび上がってきました。
簡単にドメーヌの歴史をまとめましょう。
■1900年代初頭
栽培農家であると同時に、コート・ドール県選出の代議士であったエティエンヌ・カミュゼによって創業。
■1959年
エティエンヌ・カミュゼと近親関係にあるジャン・メオにドメーヌを託す。
当時ジャン・メオ氏は政権の閣僚の職に就いており、直接ドメーヌを管理できなかったため、畑は折半耕作の形で小作人に任せ、出来上がったワインは樽のままネゴシアンに売られていました。
この小作人の1人でワインを造っていた人物こそがアンリ・ジャイエというわけです。
■1980年代半ば
折半耕作の契約が切れると、メオ家に畑を返還、1985年から本格的にドメーヌ元詰めのワイン造りが始まりました。
しかし、パリ在住のままのドメーヌ運営は難しく、そこでブルゴーニュに行くことになったのがジャンの息子であるジャン・ニコラ・メオ。当時24歳。
表向きでは引退していたアンリ・ジャイエではありましたが、この若き青年の指導にあたったというわけです。
そんな事もあり酒質はみるみる向上していきます。
■2019年現在
ジャン・ニコラ・メオ氏が経営を行い、畑の仕事は、以前から小作人として働いていたクリスチャン・フロワ氏のアドバイスを受けながら運営されており、アンリ・ジャイエの教えを継承しつつ、新しいスタイルを模索しながら進化を続けています。
以上です。
『毎年自然によって生みだされる土壌や気候、土地の特徴を最大限に表現すること』を哲学としているワインは、世界中のワインラバーを魅了し続け、幸せな時間を生み出しています。
ワインを深く理解し本物を見極める力を持った方にこそ選んでいただきたい。
そんなワインではないでしょうか。
《ワイン名》 メオ カミュゼ クロ ヴージョ
《価格》
【4万~7万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ヴージョ>クロ・ヴージョ
《生産者》 ドメーヌ メオ カミュゼ
《特徴》
複雑かつ豊潤で気品溢れ
熟成で官能的に
このワインの特徴は、ピノノワールにしては非常に豊かで複雑な品質にあり、洗練された気品ある味わいは、熟成によって優雅でエレガントな品質に成長してきます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
・メオ・カミュゼの所有する畑は、広大なクロ・ヴージョの中でも最も優れた土壌を持った区画と言われ、水はけの良い石灰質土壌で構成された「教皇の畑」と呼ばれる最高のテロワールから、上質なブドウそしてワインが生まれます。
・そんな優れた土壌を最大限に生かすため、農薬や化学肥料を使用しないビオロジック農法を実践しており、様々な微生物の作用などの加わった健全な土壌から、土地の特徴を豊かに反映した果実が実ります。
・ブドウの梗(実の付いた枝のような部分)も少量発酵させることで、タンニンなどの成分が抽出され、複雑な風味を持ったワインが生まれます。
・樽のニュアンスが反映されやすい新樽を100%使用しており、樽感は強・上記のような理由で豊かな成分を持ったワインは、熟成によって様々な成分が見事に溶け合い、なめらかで一体感のある深い味わいを持った官能的な品質に成長していきます。
【外観】
深みのあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやブラックベリーなどの豊かな果実香に、バラの華やかさ、森や土を思わせる落ち着いたニュアンスも感じられます。
熟成するほど果実香は熟した果実の甘やかさや、ドライフラワーのような落ち着いた印象の香りが広がり、腐葉土に革製品や獣といった熟成香も加わり、複雑で円熟を感じさせる香りが豊かに感じられます。
【味わい】
若いうちは凝縮感のある果実味で、非常に洗練されており生き生きとした印象。
タンニンはキメが細かくしなやかな質感を表現し、美しく伸びやかな酸は味わいを引き締め、長い余韻があります。
熟成が進むほど果実味は円熟を感じる甘やかさが現れ、タンニンや酸などの成分が溶け合う事で、絹のようにしなやかで妖艶な風味を伴った旨味の感じられる官能的な品質に成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで洗練された香りと複雑な味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントな飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や複雑な風味の広がりある深い味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、豊潤で優雅な味わいを持った秀逸なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
鴨鍋
など、豊かなコクを持った料理に合わせる事で、豊かなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がる極上のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「28年熟成の1988は良いワインだ。しかしアンリ・ジャイエを彷彿させることはない。」
「非常に重心の低いテイスト。上質な果実味も強い酸に覆われています。3年目の2015は要するにまだ硬いのであり、この豊かな成分が溶け合った時にはどれほど素晴らしい事になるのでしょう。現時点では普通という事で。」
【良い口コミ】
「ふわっと甘やかな香りだ~。この時点でこのワインが当りだという事は明白。非常に洗練された味わいは雑味が無く透明感を感じるね。18年熟成の1999は果実の上質な甘味と熟成の落ち着きを持ったいいワインだぁ。」
「さすがのビッグヴィンテージ2000ですね。ピノノワールなのですが男性的というか、野性味溢れる香りと濃厚な味わい。とても官能的で素晴らしい。」
「深いルビー。黒系ベリーにバニラにスパイス、煙草や革製品などの複雑な香りが豊かに広がります。最初から美味しいですが、時間経過でさらに広がりを見せる果実の旨味が秀逸で、様々な成分が綺麗に溶け込んだ熟成感を感じます。余韻も非常に長く心地よく、16年目の2003は幸せな時間を私にくれました。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 36%
美味しい 61%
普通 3%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
非常に満足度の高い品質で、成分豊かでありながら洗練された雑味の無い味わいである事が伝わってきました。
ただしそのポテンシャルの高い品質は若くして口にした場合、まだまだ成分は溶け合いが浅く、硬い印象もあるようですから、飲むタイミングや抜栓のタイミングなども考慮しておいた方が良さそうです。
そしてもう一つ感じたのは、このワインを口コミされているのは非常に経験値豊富なハイレベルな方々ばかりという事です。
そのような方々の舌を満足させるメオ・カミュゼは、正しく1流の飲み手を納得させる1流の造り手である事も感じる結果となりました。
以上です。
『毎年自然によって生みだされる土壌や気候、土地の特徴を最大限に表現すること』
メオ・カミュゼのこの言葉からもわかるように、ワインはヴィンテージによって違う魅力を感じさせてくれるところもおもしろいところ。
特にこの造り手からはそのようなヴィンテージごとの違いが楽しめると感じました。
ブルゴーニュワインが多くのワインラバーを魅了し続けている一因には、そのような要素も含まれているのですね。
奥深いブルゴーニュの魅惑的な世界への扉を開けてくれるのは、ブルゴーニュ屈指の生産者であり、アンリ・ジャイエの後継者とも呼ばれるメオ・カミュゼなのかもしれません。
あなただけのの好みの一本、忘れられない一本が見つかる事を願っております。
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