「クロ・ヴージョで口コミ評価が最も高いワインは?」
そう聞かれた時、私はその一つにモンジャ―ル・ミュニュレを挙げます。
というのも、実際調べた限りではメオ・カミュゼやシャトー・ド・ラ・トゥールにアラン・ユドロ・ノエラを抑えて最も高評価でありました。
少しだけマイナーなクロ・ヴージョという事で、そこまで多くの口コミはありませんでしたから、データとしては少し信憑性には欠けるかもしれませんが、トップクラスである事は揺るぎないでしょう。
歴史も古く代々ブドウ栽培を生業としてきた家系で、ヴォーヌ・ロマネを中心に35ものアペラシオンのワインを生産する大規模ドメーヌ。
品質も高く人気で、私自身もこの造り手のワインは美しくバランスが良い印象です。
今回紹介するクロ・ヴージョはグランクリュらしい品格溢れる品質で、様々な特別な場面で活躍が期待できます。
《ワイン名》 モンジャ―ル ミュニュレ クロ ヴージョ
《価格》
【2万~3万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ヴージョ>クロ・ヴージョ
《生産者》 モンジャ―ル ミュニュレ
《特徴》
充実感と透明感を両立し
風格漂うグランクリュ
このワインの特徴は、果実味・タンニン・酸味・ミネラルなど非常に充実した成分を持ちながら、雑味の無い洗練された透明感を併せ持ったグランクリュの風格を持っており、その力は熟成を経る事で発揮されることです。
それは、広大なクロ・ヴージョの中でもトップクラスの好立地である事や、農薬や化学肥料に頼らない栽培の実践により、微生物の作用などの加わった健全で成分豊かな土壌が育ち、その成分を十分に吸い上げたブドウによる充実感溢れるワインが生まれるからという訳です。
【外観】
深いルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやブラックベリー、プラムなどの豊かな果実香に、バラの華やかさや樽に由来するバニラやトーストのニュアンスも感じられます。
熟成するほど果実香は煮詰めた果実の甘やかさやドライフルーツ、ドライフラワーのような落ち着いた印象の香りが広がり、腐葉土に獣や紅茶といった複雑な熟成香も加わり、複雑で円熟を感じさせる妖艶な香りが豊かに感じられます。
【味わい】
若いうちは凝縮感のある洗練された果実味が豊かに広がり、存在感はあるもののキメの細かいタンニンはしなやかで風格ある質感を表現します。
伸びやかな酸は味わいまとめ、ほのかな苦味はアクセントになり、果実や樽の心地よい風味を伴った長い余韻があります。
熟成が進むほど果実味は落ち着きある旨味を伴った甘やかさが現れ、非常に豊かで甘美な印象になり、タンニンや酸などの成分が溶け合う事で絹のようにしなやかな質感になります。
そして紅茶や腐葉土などの熟成による妖艶な風味を伴った長い余韻が訪れます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~40年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1978年 5
1979年 3
1980年 2
1981年 2
1982年 2
1983年 3
1984年 1
1985年 5
1986年 4
1987年 4
1988年 5
1989年 4
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
※2015はブドウがよく熟した年で、比較的若くても楽しめる傾向にあります。
※下記のリンク先は若いワインばかりですから、熟成の選択肢、あるいは早めの抜栓やデキャンタージュを考えるべきでしょう。
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、パワフルで複雑な味わいを持った秀逸なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
天然うなぎのかば焼き
和牛の赤ワイン煮込み
など、豊かなコクのある味わいの料理に合わせる事で、複雑で深いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がる極上のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
クロ・ヴージョの最高峰を比較的手頃な価格で楽しみたい時にはおすすめです。
ルロワ(40~90万)やメオ・カミュゼ(4万~7万)は手が出にくいかもしれませんが、このワインは比較的手が出しやすい(それでも2万はしますが)のではないでしょうか。
グランクリュならではの存在感と秀逸な味わいは、特別な接待や記念日などを盛り立てる名脇役になり得るでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「若いうちはポテンシャルを感じるが硬い事が多いワインだ。」
【良い口コミ】
「7年目の07は最初はかなり硬かったですね。しかし、5時間も経てば香りバランス共に最高潮に達しました!!5時間待てませんか。(笑)」
「5年目の09のパワフルさはさすがグランクリュだね。後半は果実の塊に襲われるような凄みがあるね!!」
「このワインはピノノワールらしいエレガントさよりも強靭な印象。12年目の03は深いガーネット、カシスに紅茶、シナモンやバニラの複雑で豊かな香り。厚みのある甘やかな果実味に豊富なタンニンが強靭さを表現、ミネラル分も豊富で飲み頃はまだ先である事がわかります。それにしても偉大とも思わせるポテンシャルを感じるワインです。」
「99年のクロ・ヴージョは19年でようやく飲み頃になったようだ。甘やかさがあり、洗練された味わいは透明感を感じさせつつ非常に複雑でもある。長い余韻も素晴らしく優れたワインだ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 30%
美味しい 58%
普通 12%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
非常にパワフルで、グランクリュらしい風格を感じさせる印象で、感動レベルの口コミも多く、特に10年以上の熟成を経たワインが皆様を魅了している傾向がありました。
逆に10年以下の若いワインでは、凄いポテンシャルを感じるものの、開くまでに時間がかかったりしてしまう傾向もあるようですから、そのような傾向も知っておく必要があると感じました。
そして、このワインはそこまで多くの口コミはありませんでしたが、飲まれた方の評価が非常に高く、クロ・ヴージョの中では私が調べた限りでは、メオ・カミュゼやルロワにルイ・ジャドなどの有名生産者を抑えてナンバー1の口コミ高評価を得ていました。(僅かの差ではありますが)
以上です。
モンジャ―ル・ミュニュレのイメージは広がりましたでしょうか。
ここでは全体的傾向を解説していますが、生産者は年々進化してますし、もちろんヴィンテージごとに違った表情を見せてくれたり、熟成によっても大きく変化するのもワインのおもしろいところです。
そんな一期一会のワインを味わえる喜びを感じながら楽しんでみてはいかがでしょうか。
《悟りの人》
「あぁ?いかがでしょうか?お前が上から喋るんじゃねぇ。この記事に目を通す方達は、お前より経験豊富な熟練者が多い事を心得ておけ!!」
はっ!!
そうでしたか!!
そうですね。
クロ・ヴージョの中でもモンジャ―ル・ミュニュレの記事にたどり着くような方はきっとそのような方が多いのですね。
読んでいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
という事ですですね。
それにしても・・
悟り開いてるくせに相変わらずの口の悪さです。。。
あなただけのの好みの一本、忘れられない一本が見つかる事を願っております。
※2015はブドウがよく熟した年で、比較的若くても楽しめる傾向にあります。
※下記のリンク先は若いワインばかりですから、熟成の選択肢、あるいは早めの抜栓やデキャンタージュを考えるべきでしょう。
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