『畑はなるべく手を加え、醸造はできるだけ自然に。しかし、設備はモダンに。』
今回紹介するムルソーに本拠地を置く、ヴァンサン・ジラルダンのワイン哲学です。
早速そのような哲学はいったん置いておきまして・・
コルトン・シャルルマーニュの生産者は多く存在しますが、その中でも多くの方に選ばれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、ヴァンサン・ジラルダンのワインは非常に高い評価傾向があり紹介すべきと感じました。
【1992年】
ヴァンサン・ジラルダンは、父から2haの畑を引き継ぎ独立。自社畑を持ちつつブドウを購入しワインを造るようになる。
【2001年】
2019年現在、醸造責任者であるエリック・ジェルマン氏が加わり、スタイルは変化していき品質も向上。
【2012年】
ヴァンサン・ジラルダン氏は後継ぎ問題などの理由から、会社を別のネゴシアンに売却しますが、エリック氏が残ったことで品質に変化は見られません。
以上が簡単な経歴ですが、初めに紹介した哲学を軸に非常に優れたワインを生み、多くのブルゴーニュラバーを魅了しています。
《ワイン名》 ヴァンサン・ジラルダン コルトン・シャルルマーニュ
《価格》
【20000円前後】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>アーロス・コルトン>コルトン・シャルルマーニュ
《生産者》 ヴァンサン・ジラルダン
《特徴》
豊潤で複雑
洗練された質感は
バランス感覚にも優れる
このワインの特徴は、コルトン・シャルルマーニュらしい豊潤な風味と、ミネラル豊富で豊かな酸が凛と引き締めるような質感で複雑な味わいが楽しめる点にあり、上質なブドウである事がわかる洗練された質感で、優れたバランス感覚も持っています。
※ミネラル感とは、カリウムやマグネシウムといったミネラル分を多く含んだキリッと芯のある味わいで、硬水をイメージするとわかりやすく、キーンとくる感じです。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■土壌■
コルトン・シャルルマーニュの中でも、リッチさを表現する区画とミネラル感を多く持った区画など複数の区画の上質なブドウを使用することで、豊潤でミネラリーで複雑なワインが生まれます。
■ヴィエイユ・ヴィーニュ■
土地の成分を吸い上げる能力が高いなど、上質な果実を実らせる樹齢50年以上の古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)のブドウを使用しています。
■リュット・レゾネ■
農薬や化学肥料を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)の実践により、土地の微生物の働きなども加わった健全で成分豊かな土壌が育ち、その成分を吸収土地の特性を反映したブドウが育ちます。
■ブドウの品質■
収穫は区画ごとにベストなタイミングで行う事や、丁寧な手摘み収穫、また人の目と光学センサーを使った2度の選果により、優れたブドウのみが醸造に回され、圧搾(ブドウを絞る工程)もやさしく空圧でじっくり時間をかけることで、雑味の無い洗練された果汁を得ています。
■控えめの樽香■
以前は樽のよく効いたワインを造っていましたが、エレガンスと複雑味を重視するエリック氏が加わってからは、樽のニュアンスの反映しやすい新樽の使用比率を低く抑えることで、ほどよい樽とブドウの繊細な風味も感じられるワインを生んでいます。
【外観】
淡いレモンゴールド。
熟成するほど濃いゴールドに変化していきます。
【香り】
若いうちはレモンやグレープフルーツなど柑橘系のフレッシュさに、青リンゴのようなフルーティーな果実香も加わり、樽に由来するナッツやバニラなどの香りも複雑に感じられます。
熟成するほど果実香は円熟味を増し蜂蜜など甘やかなアロマになり、アーモンドやバターといった落ち着きある風味も優雅に広がります。
【味わい】
凝縮感のある洗練された果実味が広がり、凛としたミネラルと豊富な酸が味わいを引き締め構造を形成し、深みのある旨味を伴った長い余韻があります。
熟成するほど成分は溶け合い円熟味が増し、洗練された凝縮感のある果実味とミネラル感が一体となり旨味が増します。
そして心地よい酸は全体のバランスを取り、いつまでも続くような優雅な余韻へ導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントさが増します。
温度を上げるほどふくよかで複雑な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 2
1999年 3
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 2
2004年 4
2005年 4
2006年 3
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
のどぐろのアクアパッツァ
アワビバター
など、上質でコクのある味付けをした料理などと合わせることで、優雅な風味とコクの広がりある極上のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
非常に気品漂う上級白ワインです。
贈答品や特別な記念日に楽しむワインに選んでも、十分力を発揮してくれそうです。
カリフォルニアの上級白ワインのようジューシーな果実味と樽の風味満載のワインと言うよりは、甘味・酸味・複雑味のバランスに優れたエレガントな品質が好みの方に選んでいただきたい逸品です。
《こんな場合には不適切!?》
不適切と言うよりは、ある程度熟成させることで円熟を感じさせる味わいの広がりが楽しめますから、熟成期間や適切な保存には注意していただきたいワインです。
とは言っても、ワインはお酒であり楽しむことが最も大切だとも思います。
素敵な方と素敵な時間が過ごせれば、それが一番かもしれませんね。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「3年目という事でまだ若いね。半日も置けばかなり開いて素晴らしくなったが、店で開けたら半日待てないよね(笑)。」
「19年熟成の2000はちょっと酸化してるな~。濃ゆ~くなってるし、シェリーみたいな臭いになっちゃってるしね~」
【良い口コミ】
「11年の熟成を経たジラルダンは本領を発揮していますね。深みのあるゴールドで、アンズやヨーグルト系の香りが素晴らしい熟成を感じさせます。味わいも果実味・ミネラル・酸味ともに上質で豊か、余韻も長く優雅なひと時を楽しめました。」
「今やブランド化されてしまったワインの真価を確かめるべくチョイス。5年熟成の2013は淡めのイエローゴールド、甘味を持った柑橘類やふくらみのある黄色い花の香り。オイリーで厚みのある質感で、ジューシーな果実味にビターなミネラルが感じられ、ナッツの渋味もある。翌日は甘やかさとコクの深まりを感じ、驚くほどとは言えないまでも優れたグウランクリュと言えるだろう。」
「円熟を感じさせる柑橘類のアロマに、白桃などのフルーティーさを持った深い味わい。17年の熟成を経た2002の余韻はどこまでも長く、私史上最高のワインの一つと呼べるでしょう。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 17%
美味しい 66%
普通 14%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
酸化による劣化と、ちょっと若すぎたというマイナスイメージの評価以外では、具体的にこのワインを悪く評価される方は見当たらず、感動あるいは高い満足度を表現されている方が中心で、その品質の高さを認識する結果となりました。
以上です。
ヴァンサン・ジラルダンの秀逸な味わいが伝わりましたでしょうか。
信じるか信じないかはあなたの意思に委ねられていますが、
信じてくれと言葉を放つ前に、信じきれぬ自分を愛してみたいと思います・・
・・・
私は何を言っているのでしょうか。。。
わかる方は、あの方かなりコアなのファンなのでしょう。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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