『ブルゴーニュ・オージュルデュイ』では、
2005年度ブルゴーニュ最優秀ヴィニュロン。
※ヴィニュロン=ぶどう栽培とワイン醸造を手掛ける人
『ワイン・アドヴォケイト』では、
ヒーロー・オブ・ザ・イヤー2016、2017 と2年連続受賞。
など(他多数)、輝かしい実績を持ち、情熱溢れる当主の元には多くの生産者が教えを請いに訪れると言います。
豊潤かつ繊細で手頃な価格帯のワインを生むプイィ・フュイッセは、高級ワインを生むブルゴーニュ北部ではなく、南部側のマコネ地区の中心に位置する村名ワイン。
そんなプイィ・フュイッセにおいて、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、購入可能で口コミもそこそこある約30の生産者のワインの中でも、
■ドメーヌ J・A フェレ
■シャトー・ド・フュイッセ
■ドメーヌ・コルディエ・ペール・エ・フィス
以上の生産者が、特にそのような条件を満たしていると感じました。
今回はその一つであるドメーヌ・コルディエ・ペール・エ・フィスの紹介です。
1930年、プイィ・フュイッセに創業されたコルディエ。
現当主クリストフ・コルディエは情熱的で、様々なチャレンジを意欲的に実行する人物。
テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)を最大限に表現する造りは、多くの評論家やワイン誌の高評価を獲得し、マコネ地区におけるトップ生産者の一つとして君臨し続けています。
《ワイン名》 コルディエ・ペール・エ・フィス プィイ・フュイッセ
《価格》
【5000円前後】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マコネ>プイィ・フュイッセ
《生産者》 ドメーヌ・コルディエ・ペール・エ・フィス
《特徴》
完熟果実の凝縮感と
上品さを両立した
リッチな味わい
このワインの特徴は、洗練された完熟果実に由来する凝縮感と、バニラやトーストのような優しい樽のニュアンスが加わったリッチな品質にあり、適度な酸や凛としたミネラル感からは、上品さも感じられるバランス感覚があります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■プイィ・フュイッセのテロワール■
豊富な日照により果実は熟度を高めリッチなニュアンス、粘土石灰質土壌からは、鉱物的な凛とした印象を与えるミネラル分を含んだ果実が実ります。
当主はこのようなテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)の表現を重視した栽培・醸造を実行しています。
■リュット・レゾネ■
化学肥料や農薬を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を実践することで、微生物の働きなどにより健全で成分豊かな土壌が育ち、その土地の成分を吸い上げた上質なブドウが実ります。
プイィ・フュイッセにおいては豊かな果実味と、石灰質土壌に由来する豊富なミネラルを持ったワインを生むブドウが育ちます。
■遅摘みの完熟ブドウ■
ブドウが完熟するタイミングを待ってから丁寧に手摘みで収穫されるため、凝縮された果実感と雑味の無い味わいを持ったワインが生まれます。
■低収量■
ブドウの収穫量をあえて低くすることで、残された果実に成分が集中し、凝縮感あるブドウが育ちます。
■心地よい樽■
樽のニュアンスが反映されやすい新樽の使用比率はおよそ25%。
ブドウはもちろん樽の素材や樽材の焼き加減にもこだわり、主張しすぎる事ない上品な樽のニュアンスが感じられるワインを生んでいます。
【外観】
輝くレモンゴールド
【香り】
白桃にグレープフルーツやパイナップルなどの豊潤な果実の香りに、白い花の華やかさや、樽に由来するバニラやトーストの優しいニュアンスも広がりを見せます。
【味わい】
ふくよかで凝縮感のある果実味は、ほんのり甘い上品な蜜のニュアンスを伴ったリッチさがあり、適度な酸や旨味を伴ったミネラル分は心地よくバランスを整え、ほのかな苦味と豊潤な果実感に程よい樽の風味を伴った余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸が際立ち、エレガントさのある飲み口になります。
温度を上げるほど芳醇な風味の広がるリッチな味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ2年~8年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
参考のために、ヴィンテージチャートも載せておきます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
チキンのグリル
クリーム系パスタ
など、ほどよくコクのある料理などと合わせることで、豊かな風味とコクの広がりあるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
プイィ・フュイッセの上質ワインを選ぶ時は、コルディエを選択肢に入れるべきでしょう。
完熟果実と優しい樽が効いた味わいは、穏やかで優雅な時間を与えてくれます。
ボトルデザインも期待が高まるようなセンスがあり、プレゼントや手土産にも向いているでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
リッチさがあるワインで、スッキリ軽快な品質を求める場合には重すぎるかもしれません。
また、白ワインとは言えボリューム感のある味わいですから、繊細な素材を楽しむ和食などに合わせると、ワインの味わいに押されて料理の繊細なニュアンスが感じにくくなる場合もあります。
このようなワインには、鶏肉や豚肉程度の程よいコクのあるぞ材や、バターやクリームを使ったコクのある料理などがマッチするでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
このワインの悪い点を指摘する具体的な口コミは見当たりませんでした。
【良い口コミ】
「4年熟成の2015。濃い目のイエローから凝縮感が伝わってくる。柑橘類とパイナップルに蜂蜜のニュアンスが広がるリッチな果実味で、樽も心地よく広がり、素直に美味しいな~と思えるワイン。」
「3年熟成の2016はスッキリとした印象。そして温度が上昇するほどバナナやトロピカルなニュアンスも広がり、ほのかな甘味が心地よい。料理にもよく合いました。」
「パイナップルにメロンのような完熟果実のニュアンスに、ほんのり苦味があり、じんわり酸も後追いで心地よい。目を閉じると南国のバカンス気分が楽しめそう(笑)。」
「果実感しっかりでコクがあり、ミネラリーで上品さもあるので、濃いのにスイスイ飲める。2年熟成2015、すぐになくなりました(笑)。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 60%
普通 40%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
肉厚で豊潤な果実味と樽の優しい風味が感じられる品質への満足度は高く、突き抜けた品質ではないですが、価格も考慮すれば十分に納得できる上質ワインである事が伝わってきました。
悪い口コミは見当たりませんでしたが、スッキリとしたシャブリや爽やかなソーヴィニョン系を選びたい時などには、ややコッテリしすぎる傾向があるでしょう。
という事で、ちょっとリッチな気分を味わう時の選択肢に持っておきたい優良プイィ・フュイッセだと感じる結果となりました。
以上です。
コルディエの完熟ブドウに由来する味わいのイメージは広がりましたでしょうか。
以前紹介したブラン・ガニャールは言います。
「よく完熟ブドウであることばかりが強調されるが、 完熟させてしまうと、その分酸度が落ちる。大事なのは 『正しいバランス』がある事なんだ。」
こういう発言を見ると、コルディエはどんな気分でしょうか・・
リスペクトし合っているといいですが、ちょっと気になりました。(苦笑)
とは言え、様々な生産者が様々なこだわりを持ち、またそれを選ぶ消費者も様々な好みやこだわりがあるわけですから、これが正しいとは言い切れないのがワインの醍醐味とも言えるでしょう。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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