”タストヴィナージュ”
1934年に設立されたタストヴァン騎士団により、ブラインド・ティスティングで選考されたワインに与えられる称号で、その名称と特性を備えていると認められたワインにのみ騎士会の紋章を付けられる。
というわけで、今回はそんなタストヴィナ―ジュに選ばれた栄誉あるクレマンの紹介です。
風格を感じるような品質ではありませんが、上質でありながら近づきやすい親しみやすさもあり、多くの飲み手の高い評価も集めています。
さて、私はクレマン・ド・ブルゴーニュを生み、日本で購入可能な主要生産者を40程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれかを客観的視点から調べてみました。
その結果、そのような条件を満たしていた生産者の一つがラ・メゾン・デュ・クレマンでした。
以下に紹介する4つの生産者と比較すると、若干満足度は低いようにも思えましたが、それでも多くの方に選ばれ一定の満足度を獲得していましたので、紹介しておくべきだと思いました。
ちなみに、ラ・メゾン・デュ・クレマン以外でそのような条件を満たすクレマン・ド・ブルゴーニュを生む造り手は、
■ルー・デュモン
■フランソワ・ミクルスキ
■ポール・ショレ
■シモネ・フェブル
以上の生産者でした。
《ワイン名》 ラ・メゾン・デュ・クレマン クレマン・ド・ブルゴーニュ
《価格》
【2500円前後】
《ブドウ品種》
・シャルドネ
・ピノ・ノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ
《生産者》 ラ・メゾン・デュ・クレマン
ここで簡単にプロフィール。
ラ・メゾン・デュ・クレマンは1961年創業のネゴシアン(自社畑を持たず、ブドウ又は果汁、あるいはワインを仕入れて販売するスタイル)
タストヴィナージュはブルゴーニュ利き酒騎士団推奨の意味で、年2回クロ・ド・ヴージョの選評会で200名の審査員により、ブラインドテイスティングで選ばれるワインであり、全体の3分の1のみに与えられる称号。
そのワインの名称の特性を兼ね備えている事も重要な要素に含まれ、ラ・メゾン・デュ・クレマンはクレマン・ド・ブルゴーニュらしさを持った優れたワイン。
そう認められたタストヴィナージュなのです。
《味わいの特徴》
豊かな泡・厚みのある果実味と
芳しさを持つ
コスパスパークリング
このワインの特徴は、爽やかで豊富な泡と厚みのある果実味にほどよいコク、トーストのような芳しいニュアンスの感じられる品質にあり、気品を感じさせるような奥深さこそ無いもののカジュアルすぎる事もなく、バランス感覚に優れたコスパスパークリングと言えます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の特性■
シャルドネは上品さや爽やかさをもたらし、ピノ・ノワールは膨らみや厚みをもたらします。
それらの要素が融合することでバランスの良い味わいを表現しています。
■瓶内二次発酵■
もっとも手間が掛かり、キメの細かい泡やコクを持った上質なワインを生む製法が瓶内二次発酵。
これはシャンパーニュと同じ製法であり、そのような製法を実践することで優れたワインを生んでいます。
スパークリングワインの製法について知りたい方はコチラ。
【外観】
少しのピンクを帯びた淡いレモンイエロー
豊かな泡立ち
【香り】
リンゴやラフランスのフルーティさに、柑橘類や白い花の爽やかさや華やかも加わり、トーストのような芳しいニュアンスも感じられます。
【味わい】
熟したリンゴに柑橘類を思わせる果実味が広がり、上品な蜜の甘味も感じられます。
豊富な泡とキレのある酸味が味わいを引き締め、ほどよいコクも持ち合わせた味わいは、適度な厚みを持ったミディアムボディであり、果実感やトーストのような芳しさを伴った余韻が続きます。
《飲む時の適正温度》
【4℃~10℃】
よく冷やせば酸味が際立ちキレのある爽快な飲み口が楽しめます。
少し温度を上げれば豊かな風味が広がり、ふくらみのある味わいになります。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
購入からおよそ1年以内
フレッシュさやふくらみのある果実感を楽しむワインです。
長く熟成させるとフレッシュな風味は弱まり、どこか枯れた印象の味わいに変化してしまいます。
《適正グラス》
【フルート型グラス】
美しい泡立ちを見れますし、温度も上がりにくいように設計されています。
スパークリングワインの華やかさは、グラスの美しい外観によってさらに引き立ちます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
地鶏のタタキをレモンと塩で
天ぷら各種
など、ほどよいコクのある料理との相性が良いですが、爽快な泡は口の中をサッパリさせる効果もあるので、どのような料理にも適応する万能性があります。
また、シュワッとした飲み口はサクッとした食感とも相性が良いので、天ぷらなどの揚げ物との相性も良いですね。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
クレマン・ド・ブルゴーニュってどんなものなの?まずは基準を知りたい。
そんな方におすすめします。
タストヴィナ―ジュは、その名称と特性を備えていると認められたワインであり、ブルゴーニュの専門家もクレマンらしいと認めているわけですからね。
親しみやすい味わいは、様々な場面や料理に寄り添う万能性があります。
《こんな場合には不適切!?》
どちらかといえば気軽に楽しむワインであり、上級シャンパーニュのような品格を求めるものではありません。
熟成向けのワインでもありませんから、購入後はなるべく早く楽しんだほうが良いです。
もし短期でも保存する場合は適切な保存は必須、日光が当たるような場所に長く放置するのは不適切です。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「泡は比較的強く美味しいのですが持続性はそれほど無く、弱くなってしまいました。」
「このクレマン何度も飲んでますが、良かったり普通だったりラジバンダリ(笑)。品質にバラツキがあるように思います。」
「グラマラスと言うよりはスレンダー美人。シャンパーニュと間違えそうな良質ワインだけど、個人的にはもう少し肉厚な感じが好み。」
【良い口コミ】
「スッキリしたクレマン。甘味はさほど感じませんが、熟成を感じるトースト香やカスタードのような甘やかな風味が広がり、シャンパーニュを連想させます。2000円であれば大変満足できるリピートワイン。」
「安い割には中々良いんじゃないかな。そこらのニューワールド系の泡に比べてもコスパ良いと思うよ。」
「細かい事気にしなければね~。ぜんぜん楽しめますよ~🎵ピンクゴールド、辛口で少しの苦味。二日目もゴクゴクいっちゃいましたよ~🎵」
「2000円ほどでシャンパーニュに引けを取らない力強さ。なるほど受賞歴もあるクレマンなんですね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 33%
普通 67%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
奥深さや気品を感じるような品質ではなく、驚くほどの満足感を得た方はいませんでしたが、値打ちな価格に対する品質への満足度は高く、ちょっと大げさかも?とは思いましたが、シャンパーニュと間違えそうという意見もチラホラ見られました。
好みの問題や、泡の持続力でマイナスイメージのコメントは見られましたが、品質自体を悪く評価するものではなく、気軽に試してみるには丁度良いクレマンだと感じる結果となりました。
以上です。
私事ではありますが、今晩は妻と小学生の娘と3人で鶏とセロリのトマト鍋です。
こんな家庭料理には、気品溢れるシャンパーニュよりも親しみやすいクレマン・ド・ブルゴーニュの方が合いそうだなぁ、と考えていました。
何気ない日常を華やかに彩ってくれるスパークリングワインの選択肢は、カバやアスティにフランチャコルタにクレマン・ダルザスなど山ほどありますが、クレマン・ド・ブルゴーニュから選びたい時は、タストヴィナ―ジュの称号を獲得しているこのクレマンから試してみるのも良いでしょう。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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