DRCの元社員。
ラターシュに隣接する絶好の立地の村名畑。
しかも価格は1万円以下。
今回紹介するワインの宣伝文句です。
そのような宣伝文句はさておき、実際ヴォーヌロマネで多くの方に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、価格と評価のバランスを考えるとやはりこのワインは紹介すべきだと感じました。
1970年設立のドメーヌで、現オーナーのアンリ・オーディフレッド氏はあのDRCで14年の勤務実績があり、ロマネ・コンティとラターシュの栽培を担当し、時には醸造にも携わった人物です。
そして2007年にDRCを退社し、自らのワイン造りがスタートしたというわけです。
かなり価格も抑えられており、とりあえずヴォーヌ・ロマネを体感してみたいという方などにもおすすめしやすく、もちろん品質も価格同様低いわけではありません。(笑)
《ワイン名》 オーディフレッド ヴォーヌ ロマネ オー シャン ペルドリ
《価格》
【8000~1万円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ヴォーヌ・ロマネ
《生産者》 ドメーヌ オーディフレッド
《特徴》
ピュアで繊細な果実味
出汁が効いたような旨味
このワインの特徴は、やや淡めの色調からもわかるように、美しく繊細な果実味を持ったエレガントな味わいの中に、土壌の滋味深さを感じさせるような旨味を持ち併せているところにあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■抜群の立地■
このオー・シャン・ペルドリという村名畑はあのラターシュに隣接する抜群の立地条件を持つ畑で、優れた土壌からはやはり優れたブドウが得られます。
■樹齢が高い■
平均樹齢50年以上の古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)は土壌の成分を吸い上げる能力も高く、若い樹よりも奥深い成分を持った果実を実らせます。
■妥協無きワイン造り■
DRCで勤め上げたアンリ氏は、そこで培った妥協無きワイン造りを実践しています。
健全で成分豊かな土壌を育てるため、無農薬農法や化学肥料を使用しない事や、畑での毎日の緻密で地道な作業を行う事で最上のブドウを育てます。
そして醸造に関しては、極力手をかけずありのままのブドウの味わいを感じられるようなナチュラルな醸造を意識しています。
これらの工程はDRCで培ったスタイルが随所に反映されています。
【外観】
透き通ったルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやイチゴなどのフレッシュな果実香に、バラの華やかさやほのかな樽のニュアンスも心地よく感じられます。
熟成するほど果実香は円熟を感じさせる熟した果実や、ドライフルーツの甘やかさが現れ、腐葉土に革製品や紅茶といった複雑なニュアンスが広がりを見せます。
【味わい】
洗練されたピュアでフレッシュな果実味が華やかに広がり、タンニンは穏やかで美しい酸味は味わいをまとめ、出汁の効いたような心地よい旨味と風味を伴った余韻があります。
熟成するほど成分は溶け合う事でさらになめらかな質感になり、果実味も落ち着きある上質な旨味を伴った円熟味が現れ、複雑な風味を伴った余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その華やかで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
華やかな香りと、エレガントな味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
トマト系のパスタ
地鶏のグリルをベリーソースで
など、ほど良いコクのある味わいの料理に合わせる事で、華やかな風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
比較的手頃なヴォーヌロマネではありますが、品質も高くヴォーヌロマネらしい華やかさとエレガンスを持っています。
ヴォーヌロマネとはどのようなものかを感じてみたい方は、このワインを選択肢に入れても良いのではないでしょうか。
また、接待や記念日やプレゼントにもヴォーヌロマネはいいですね。
一緒に飲む相手があまりワインにくわしくない方でも、
「ロマネコンティが造られる村のワインです。」
と言えば、
「あ~ロマネコンティね。あれね。」
と、なりそうです(笑)
《こんな場合には不適切!?》
比較的繊細でエレガントな女性的品質ですから、男性的ボルドー格付けワインや、果実味のパワー溢れるカリフォルニアワインのような品質を求める方には、やや薄く感じてしまう事でしょう。
とは言え、それぞれに良さがあるのがワインのおもしろいところで、繊細なワインを知る事で骨太なワインを改めて理解できることもあります。
それぞれの特徴を感じて楽しんでみてはいかがでしょうか。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「皆でプリューレ・ロックと飲み比べ。全房発酵のロックの個性的な味わいの後だからでしょうか。悪いわけではないけど、なんだか物足りなさを感じてしまう。3年目の2013はロックが苦手な人には受けてたけどね。」
「元DRCの社員でありラターシュを栽培していた人物の手掛ける村名ワイン。4年目の2012は早すぎると思いつつも抜栓。淡めの色調に、生き生きとしたイチゴや花の香り。軽やかな果実味で時間経過で広がりを見せるが、酸とタンニンはまだ溶け込みが浅く本領発揮はされていないようだ。悪いわけではないが10年後のこのワインを飲んでみたいね。」
「好きな生産者なんですけどね。5年目の2012は以前に比べ平凡な印象を感じてしまいました。」
【良い口コミ】
「2014は3年目だけど若くても楽しめるって聞いたから開けちまったぜ!!いいじゃねぇか。いいじゃねぇか!!」
「私にはツボのワインです。5年目の2011は華やかな香りで、スッと飲めちゃうんだけど味わいの余韻はしっかり感じられる。なるほどラターシュの隣なのねぇ。」
「3年目の2015はやや薄めの色調で、フレッシュで華やかな香りだ。しかし香りから想像する味わいとは違って、出汁の効いたような旨味が豊かで、舌に残る苦味と渋味は骨格を感じるね。いいワインだと思うよ。」
「2年熟成の2016は若い?開けてすぐ飲んじゃった(笑)むしろ開けたてから豊かな香りが広がり素晴らしい。味わいは初め苦味を伴ったタンニンがありましたが、1時間弱で甘やかさが優位になり心地よい。そして梅を思わせる酸味は味わいを引き締め美味しい。さすが好立地なだけありますね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 5%
美味しい 55%
普通 40%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
感動するほどの評価をする方はほとんどいませんでしたが、心地よくスッと飲めるスレンダーな飲み口に好感を持った方が多い印象です。
14・15・16は比較的若いうちから楽しめたという口コミも多く、近年はそのような口当たりの良いワインの傾向があるのかと感じました。
逆に長期熟成させた口コミが見当たりませんでしたので、そこはお楽しみといったところでしょうか。(きっと円熟を感じる旨味の乗った品質になるでしょう。)
総じて言うと、ヴォーヌロマネにしては手頃な価格で、そこそこ上質で楽しめる好感度の高いワインという印象です。
以上です。
小規模生産者で、こちらから探さなければあまり辿り着く事もないであろうワインです。
そのため、ヴィンテージの選択肢も少なくなっています。
上記で申し上げた通り、近年は早飲みでも比較的開いている傾向が強いため参考にしていただけると幸いです。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなることを願っています。
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