シャンパーニュには及ばないまでも、手軽で良質な味わいが魅力的なクレマン・ド・ロワール。
前回は数あるクレマン・ド・ロワールの中でも、最も多く飲まれ(口コミされ)価格以上の味わいに好評を集めていると感じたモンムソーを紹介しました。
今回はそんなモンムソーに次いで口コミ量の多いクレマンで、スッキリ系のモンムソーとは違い厚みのある果実味で人気を集めており、たくさんの方々の口コミを拝見すると紹介すべきワインだと感じました。
《ワイン名》 シャトー ド ロレ クレマン ド ロワール ブリュット
《価格》
【2000円前後】
《ブドウ品種》シュナン ブラン
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ロワール地方
《生産者》 シャトー ド ロレ
シャトー ド ロレはクレマン・ド・ロワールを代表する生産者のひとつ。
【1856年】ボルドーのネゴシアン(ゴルディエ家)によって設立。
【1973年】シャンパーニュの有力生産者であるドゥーツが所有者に変わり、様々な修復が行われクレマン・ド・ロワールを主に生産するようになる。
【2004年】マリエル・アンリオン女史が所有者となり現在(2020年)に至る。
以上の経緯を辿ったシャトーで、シャンパーニュのポメリーやボランジェ等の一流生産者で経験も積んできた醸造家であるマリエル氏は、所有者になる前にこのシャトーのクレマンを試飲し、テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)とシュナン・ブランの組み合わせで、もっと上質なクレマンが造れると確信したといいます。
具体的な取り組みは次の味わいの特徴で解説しますが、様々な取り組みを実施した結果、シュナン・ブランらしい厚みのある果実味を持ったワインを生産するようになり、クレマン・ド・ロワールを代表する生産者のひとつとして、多くの人々に親しまれています。
《味わいの特徴》
ナチュラルな果実味
親しみやすいコスパクレマン
このワインの特徴は、爽快な泡と、適度に厚みのあるナチュラルでフルーティーな果実味を、程良い酸やミネラルがバランスを整える味わいにあります。
シャンパーニュのような奥深さはありませんが、浅くもなく、親しみやすい良質コスパワインと言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■シュナン・ブランの特徴■
リンゴやカリンにメロンといった、ほんのり甘いフルーティーな風味を持つのがこの品種の特徴です。
■土壌特性■
火打石の成分であるケイ酸塩が多く含まれた石をシレックスと呼びますが、シレックスが混ざった粘土質土壌によるクレマンで、鉱物的な凛としたミネラル感が感じられます。
■リュット・レゾネ■
農薬や化学肥料を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を取り入れることで、微生物の働きなども加わった健全な土壌が育まれ、その成分を吸い上げたブドウが育ちます。
また、ミネラル分豊富な土壌の成分を吸収しやすくするため、畑をしっかり耕して土を柔らかくする取り組みも実践しています。
■収量制限■
収穫量をあえて制限するすることで残された果実に成分が集中し、ワインの味わいは充実します。
■ブドウの熟度■
通常スパークリングワインを醸造する過程では、甘味調整のために糖度の高いリキュールを添加する工程(ドザージュ)がありますが、シャトー・ド・ロレではドザージュ量を少なくするためにブドウ自体の完熟を待ち、糖度の高い果実を収穫します。そうすることでシュナン・ブランらしいピュアで厚みのある果実感を表現する狙いがあります。
■ステンレスタンク発酵■
ベースワインの発酵には樽は使用せず、ステンレスタンクを使用します。
これはシュナンブランのピュアな味わいを表現するためで、樽の風味は付けません。
■長期瓶内熟成■
クレマン・ド・ロワールの法定熟成期間は最低12ヶ月ですが、倍である24ヶ月の熟成期間を設けています。
これは旨味や奥深さを生む澱との接触期間を長くする狙いがあります。
【外観】
輝きのあるイエローゴールド
豊かな泡立ち
【香り】
レモンやオレンジなどの柑橘類や青リンゴのフレッシュさに、蜜りんごや黄桃のような甘味を連想させるフルーティーな香りも感じられます。
【味わい】
豊富な泡、フルーティーな果実味は蜜の甘味をほんのり感じ、キレの良い酸と凛としたミネラル感は味わいを引き締めます。
適度なコクも感じられるミディアムボディの味わいで、少しの苦味をアクセントに蜜の甘味も残した心地よい後口です。
《飲む時の適正温度》
【6℃~10℃】
冷たくするほど酸味が際立ち、キレ味の良いフィレッシュな飲み口が楽しめます。
少しだけ温度を上げれば、果実味や甘味などの風味の広がりを楽しめますが、温度を上げ過ぎるとキレが弱まり、ぼやけた印象の味わいになってしまうでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
飲み頃は【購入後1年以内】
このワインは既に飲み頃のタイミングで売られていますから、購入後1年以内に飲む事をおすすめします。
適切に保存すれば2年程度は楽しめるでしょうが、熟成させすぎると風味は抜け、どこか枯れた印象の味わいになっていきます。
ですから買ったら早めに飲んだ方が良く、常温で長く放置されている可能性があるようなお店では、買わない方が良いでしょう。
※ヴィンテージや当たり年の概念はありません
複数年のブドウから造られたワインをブレンドして造られるため、そのような概念がありません。
《適正グラス》
【フルート型グラス】
空気に触れる面積が少ないため、温度が上がりにくいと同時に炭酸も抜けにくい形状に設計されています。
美しい泡立ちも見られますし、グラスの美しい外観によっても華やかさは引き立ちます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
カプレーゼ
鮮魚のカルパッチョ
など、フレッシュでフルーティーな味わいが魅力のシャトー ド ロレは、比較的カジュアルでほどよいコクのある料理との相性が良いですが、爽やかな泡と美しい酸は味わいをスッキリさせる効果もあるため、どのような料理にも無難に合わせられる適応力があります。
また、皮目をパリッと焼いた地鶏や天ぷらなどのように【パリッ】【サクッ】とした食感には【シュワッ】としたスパークリングワインは相性が良いですね。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
綺麗な泡で良いけど、みんなが褒めるほどでもないかな?価格相応だと思いますよ。
【良い口コミ】
安っすいスパークリングワインって泡が粗くてピリピリするけど、これはまろやかでいいですね。
細かな泡立ちは勢いがあるね。レモンの爽やかさに蜜りんごのフルーティーなアロマ。酸も豊富でフレッシュな飲み口。アルコール感が強めでボディを感じ、ほのかな苦味やスモーキーさも加わり、奥行きや複雑さも適度にある。夏に楽しむスッキリ爽快な泡というよりは、秋冬に合いそうな感じ。翌日は、より落ち着きが増して大人っぽい味わいが楽しめたよ。
綺麗なイエローゴールドで細かな泡。ラフランスや上品な蜜にナッツ系の香りに既に💛味わいも率直に美味し♪適度な甘味に豊かなコク。酸味とミネラルのバランスも良く、出しゃばる要素がないところがいいですね。コスパも良いし満足です。
リッチなクレマンとしておすすめされてるんですね!!なるほど甘味もありますが嫌味ではなく、ふくよかでとっても美味しいクレマンですね!!
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 44%
普通 53%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
感動するような奥深いワインではありませんが、否定的な意見もほとんど見られず、価格とのバランスを考慮すれば十分に納得、あるいは満足できると感じた方が多かった印象です。
クレマン・ド・ロワールで最有力でスッキリ軽快な傾向のモンムソーと比べると、やや果実味のボリューム感があり、リッチなニュアンスも楽しめる傾向が読み取れました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
シャトー ド ロレ クレマン ド ロワール ブリュットは
【価格】
2000円前後
【味】
爽快な泡と、適度に厚みのあるナチュラルでフルーティーな果実味を、程良い酸やミネラルがバランスを整える味わい。
【飲み頃】
購入後1年以内
このワインは既に飲み頃のタイミングで売られている。
【口コミ】
感動するような奥深いワインではないが、否定的な意見もほとんど見られず、価格とのバランスを考慮すれば十分に納得、あるいは満足できると感じた方が多かった印象。
クレマン・ド・ロワールで最有力でスッキリ軽快な傾向のモンムソーと比べると、やや果実味のボリューム感があり、リッチなニュアンスも楽しめる傾向。
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