先に言っておきます。
今回はちょっと例外です。
私がこのブログで紹介しているワインは、評論家の意見はさておき、実際多くの方に選ばれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点を元に選んでいます。
しかし、今回選んだワインは口コミの量は少なく、そのコメントもシンプルなものが多かったのですが、無言の高評価をされる方も多く、他のラインナップのワインも同じような傾向で、なんだかもしかしたら素晴らしいのかもしれないと好奇心を掻き立てられました。
ちょっとだけリスキーかもしれませんが、どんな味なのか、当たりなのかハズレなのか、はたまた絶妙にそこそこなのか!?そんなスリルを楽しむのもワインの魅力と捉えていただければ、怖いものはありません(笑)
調べてみたら、ちゃんと由緒ある生産者ですから、リスキーとかスリルとかは、あくまで口コミの少なさだけに注目して言っているだけ、という意味で捉えていただけると幸いです。
17世紀に建てられたドメーヌは、様々な所有者の手に渡りましたが、2002年ドメーヌ・ド・モンティーユのエティエンヌ・モンティーユ氏が経営責任者になったことで、比翼的に品質を向上させた生産者です。
ニュイ・サン・ジョルジュのワインですが、シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェという事で、どっち!?と、なるかもならないかもしれませんが、とても興味深いモノポール(単独所有畑)のワインです。
《ワイン名》 シャトー ド ピュリニー モンラッシェ ニュイ サン ジョルジュ1er クロ・デ・グランド・ヴィーニュ モノポール
《価格》
【9000~12000円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ニュイ・サン・ジョルジュ>プルミエクリュ クロ・デ・グランド・ヴィーニュ
《生産者》 シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ
《特徴》
しなやかで複雑
女性的なエレガンス
このワインは非常に情報が少なかったため、やや抽象的な表現となりますが、ブルゴーニュのピノノワールらしい複雑さとしなやかさがあり、肉厚で男性的と評されるニュイ・サン・ジョルジュにおいては比較的エレガントで、女性的な品質と言われています。
テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)を尊重するワイン造りを大切にしているという事で、化学肥料を一切使わない有機農法を実践しています。
そうすることで微生物の働きなどが活発になり、健全で成分豊かな土壌のエキスを吸い上げた果実が実り、ニュイ・サン・ジョルジュらしい複雑さを感じられるワインになります。
【外観】
深みのあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやブラックチェリーなどの豊かな果実香にバラ華やかさ、土や樽に由来するコーヒーのニュアンスも心地よく感じられます。
熟成するほど果実香は円熟を感じさせる熟した果実や、ドライフルーツの甘やかさが現れ、紅茶に革製品といった熟成香も広がりを見せます。
【味わい】
厚みのある果実味は心地よい甘味と旨味を感じ、存在感はあるもののシルキーなタンニンはしなやかに構造を形成します。
生き生きとした酸味は美しく味わいをまとめ、複雑な風味を伴った余韻があります。
熟成するほどタンニンや酸などの成分は溶け合う事でなめらかな質感になり、円熟を感じさせる上品な旨味を伴った果実味を感じます。
そして熟成によって生まれた複雑な風味を伴った余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントさのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や複雑な風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
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《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、エレガントで優雅な味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
ラムチョップ
など、上質で程良いコクのある味わいの料理に合わせる事で、複雑なワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で心地よいな風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
簡単に見つかる事もなくちょっと珍しくので、意外性を求める時にはいいかもしれません。
実際ネット上でもほとんど取り扱われていませんし、無言の高評価を得ているワインでもあります。
持ち寄りのワイン会などで、有名生産者のワインを楽しむのももちろん素晴らしいですが、少しマニアック感漂うこのようなワインがあっても興味深く、場面を盛り上げてくれそうです。
《こんな場合には不適切!?》
どんなワインでも、それぞれの個性を楽しめればそれが一番素晴らしいのかもしれませんが、ボルドー格付けワインのようなしっかり男性的ワインや、凝縮感溢れる果実味を持ったニューワールド系のワインが好みの方には、そのエレガントさを時に薄く感じてしまう事もあるかもしれません。
特にそのような濃厚なワインを飲んだ後でしたら、なおさら薄く感じるでしょう。
飲み順も大切ですね。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「2010は8年目だけど、開けたてはまだ硬いかな。親しみやすさに欠ける。しっかりとした酒質で、これからもっと良くなるのかな~。」
【良い口コミ】
「07・・・7年目・・・・満点。」
「ニュイサンらしいなめし革のような風味が赤身肉によく合うね。10年熟成の07は良いと思うよ。」
「ブルゴーニュらしい複雑さとバランス感覚を持った格別のワインですね!!」
という皆様の声でした。
ちょっとしか口コミがありませんでしたが、集計してみると
感動的!! 24%
美味しい 45%
普通 31%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
あまり具体的な口コミをされている方はいませんでしたが、無言の高評価をされる方が何人もおられて、これはもしかしたら掘り出し物かもしれない。と感じる結果となりました。
以上です。
非常に情報が少なく、味わいのイメージも掴みにくいワインではあるかもしれませんが、なんだか興味深いワインでした。
私だけかもしれませんが。。。
ワインは、いや人生もそうなのかもしれませんが、全てうまくいってしまったらつまらないのではないでしょうか。
苦しみがあるから喜びがあるのであり、美味しくないがあるから美味しいがあるという事で、どちらも存在しなければ全く平坦でおもしろくなく、それはまるで複雑なほど味わい深くなるワインのようでもあります。
私はこの話の着地地点を今見失いましたので、今回はこれで終わりです。。。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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