このワインは格付けワインだから間違いない。
一方こちらは格付けもされない並質ワインだ。
本当にそうなのでしょうか。
ボルドーではシャトー(ワイン)の品質を見極める目安の一つとして、地区ごと(無い地区もあります)にシャトーの格付けが存在する事が特徴的です。
しかし格付けワインとなると高価なものも多く、日常消費用には向きません。
また、メドック、グラーブ、サンテミリオン以外の地区では、どれほど素晴らしいワインを造ろうとも、そもそも格付けが存在しませんから格付けワインになる事はありません。
しかし格付けワインでなくても、優れたワインは多く存在するのも事実。
「消費者は、ボルドーのヒエラルキーの頂点にある極めて高価格なワインばかり注目しがちで、名声の劣るアペラシオンで造られた現実的な価格の優れたワインがどれほどあるか忘れている。例としてスオウを選ぶといい。」
これはロバートパーカー氏の言葉です。
ボルドーには格付けされなくても優れたワインは多く存在し、日常的にも飲みやすく親しみやすい価格で販売されています。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 シャトー スオウ
《価格》
【2000~2500円】
《ブドウ品種》
・メルロー
・カベルネソーヴィニヨン
《ボディ》ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ボルドー>カディヤック・コート・ド・ボルド-
《生産者》シャトー・スオウ
《特徴》
ボルドーらしい複雑さを持ち
バランスに優れる
シャトー・スオウの特徴は、ボルドーらしい複雑さがあり、何が主張しすぎる事もなく全体の調和が取れた味わいにあります。
近年のボルドーでは、厚みのある果実味主体でタンニンの柔らかいモダンなスタイルのワインも多いですが、スオウはそこまで果実味が主張する事はなく、樽の風味や複数品種や熟成による複雑な風味もほどよく感じられ、全体のバランスの良さが特徴的です。
そしてそのクオリティは価格以上のものであることも大切な特徴の一つと言えるでしょう。
【外観】
深いガーネット色
【香り】
ベリー系果実やカシスなどの果実香に、樽に由来するバニラやスモーキーなニュアンスも感じられます。
【味わい】
果実味はほど良い豊かさでバニラやタバコのニュアンスと共に旨味も感じられます。タンニンは豊かですがなめらかさがあり心地よく、穏やかな酸味は味わをまとめ、心地よい余韻が続きます。
※熟成度合いによっても香り・味わいは変わるため、平均的な風味の指標にしてもらえると良いでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで洗練された香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~12年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
一般的にボルドー赤ワインのヴィンテージチャートは以下の通りです。
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 5
2006年 3
2007年 3
2008年 5
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 2
2014年 4
2015年 5
2016年 5
2017年 4
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
カプレーゼ
すき焼き
など、コクのある料理に合わせることで心地よい風味の広がる楽しいマリアージュになるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ボルドーらしい品質を求める方におすすめしたいワインです。
ニューワールド系やボルドーでもモダンな果実味主体の造りのワインではなく、果実味はほどよく複雑さがあり、バランスの良いクラシックなボルドースタイルを感じさせ、しかも手頃な価格なところが嬉しいですね。
日常消費用には少し高いかもしれませんが、ちょっとだけ贅沢したいくらいの時にはいいかもしれません。
それから、ちょっとした手土産として持って行ったり、気軽なパーティーなどでもこのようなワインがあると場面も盛り上がりそうです。
コクのある料理と共に楽しめるでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「2009のスオウは7年目。果実香豊かで樽も感じる。バランスの良い味わいと心地よい滑らかな質感で飲み飽きしないところがいい。」
「このワインのコスパの良さには驚かされる。2009、2010と試したがどちらも素晴らしい。多めに購入してストックにしておこう。」
「カシスなどの果実香にミントの爽やかさと樽の香りが心地よい。ミディアムボディの味わいをタンニンと酸味が支えており旨味も感じる。2009は価格から考えれば非常によくできたボルドーらしいワインです。」
【悪い口コミ】
「飲み始めは硬くて余韻も短く良くなかった。冷えすぎてたからだね。温度が上がってきたら良くなってきたね。2009。冷やしすぎ注意。」
「2009は悪いワインではないが私の好みではないので普通である。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 50%
普通 50%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
価格も手頃ですから、感動するまでの美味しさではないですが、それでも価格以上の品質でバランスの良いワインと感じた方が多い印象です。
ボルドーらしいバランスの良い味わいで心地よく飲めるワイン。
といった感じですかね。
ニューワールド系のパワフルな果実味主体のワインが好みの方には少し物足りなく感じてしまうかもしれませんし、軽快なピノノワールやキャンティが好きな方にも好みではない風味かもしれません。
以上です。
シャトー・スオウ。
ここまで解説しておいて言うのもなんですが、ほとんど売ってなくて、もう売り切れてるかもしれません・・
そんな儚さがまた良いのかもしれませんが・・
心の片隅にしまっておいて、またどこかの業者が輸入した時にでも試すのもまた良いかもしれません。
「あ~スオウとかいうボルドー赤があったな~。」
と、思っていただけるだけでも十分です。
この記事を書いた意味があったと思わせてください(笑)
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
コメント