「ブルゴーニュピノは美味しいけど高いしな~。特にコート・ド・ニュイならなおさらだよな~。」
今回はそんな方に、
「こちらはいかがですか?」
と提案したくなるワインの紹介です。
ニュイ・サン・ジョルジュにおいて多くの方に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、ショーヴネ・ショパンの村名ワインの親しみやすい品質と価格は、多くの方を喜ばせていると感じました。
簡単に経歴を解説します。
【1975年】
ユベール・ショーヴネがドメーヌをニュイ・サン・ジョルジュに設立。
【1985年】
エヴリーヌ・ショパンと結婚し、ショーヴネ・ショパンに改名。
※このエヴリーヌの父は、アンリ・ジャイエの後継者で伝説的ドメーヌと称されるダニエル・ショパン・グロフィエ(1996年で引退)の娘で、父の畑を相続しています。
ユベール自身は義父との接点はなく、ワイン造りに関しては自らの力で築き上げ現在に至っています。
《ワイン名》 ショーヴネ ショパン ニュイ サン ジョルジュ
《価格》
【5000円前後】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ニュイ・サン・ジョルジュ
《生産者》 ショーヴネ ショパン
《特徴》
繊細でバランス良く
若くしても親しみやすい
このワインの特徴は、果実味・酸味・タンニンなどのどの成分が主張しすぎる事のない繊細な味わいで、かと言って薄っぺらくもなく、ブルゴーニュピノらしい複雑さや心地よい旨味も持ち合わせています。
そのような気負いのない自然体なスタイルとも評される親しみやすい品質は、若いうちから楽しめるところも特徴と言えます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■収量制限■
一株当たりのブドウの房の数を制限することで、残された房に成分が集中的に集まり、成分の充実したブドウが得られます。
■自然派農法■
除草剤を使用しないことで自然酵母などの働きが促進され、健全で成分豊かな土壌が育ち、結果その成分を吸い上げた上質な果実が実ります。
■完全除梗■
果実の透明感溢れる品質を目指すため、ブドウの梗(果実の付いた枝のような部分)は一切使用しません。
※ただしDRCなどの極一部のトップ生産者は、ワインの複雑性や熟成能力を高めるために、梗の部分を全て使用する全房発酵を行っています。
■短めの低温マセラシオン■
マセラシオン(果皮や種からの成分抽出)の期間を短かくし、しかも低温で行う事で、過度の成分抽出を避け、繊細な果実の風味を得ています。
■控えめの樽■
土壌特性などを反映したブドウのピュアな味わいを表現するために、樽の香りが反映されやすい新樽は使用比率は低くし、ほどよい樽香が付く古樽を使用します。
【外観】
透明感のあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやブルーベリーなどの果実香に、スミレの花の華やかさに加え、土や樽などの落ち着いたニュアンスも持ち合わせます。
熟成が進むほど果実香は落ち着きあるドライフルーツのような円熟味が現れ、腐葉土や甘草に紅茶などの熟成香も広がりを見せます。
【味わい】
心地よい果実味は透明感を感じさせるもので、心地よい旨味もじんわりと感じられます。
ほどよいタンニンはしなやかに構造を形成し、美しい酸味は味わいをまとめた後、上品な風味を残した余韻が続きます。
熟成するほどタンニンや酸など成分は溶け合いなめらかさが増し、落ち着きある果実味と旨味も感じられるエレガントな品質に成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、エレガントな味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
バーニャカウダ
キノコのリゾット
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、繊細でエレガントな風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「せっかくの頂き物で美味しいのですが、酸化してしまっていたところが残念。」
【良い口コミ】
「ほど良い強さでスッキリもした質感。土や樽のニュアンスも感じられて、とても良い飲み心地です。飲みすぎ注意ですね(笑)」
「3年熟成の2016は期待通りの良質ワインだ。透明感のある綺麗な果実味で、生き生きとした酸味が心地よい。」
「4年目の2014の酸の質が高く、暑い日にはこんなワインがとても美味しく感じます。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 40%
普通 60%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ほどよい強さと、バランスの良い飲み口に好感を持った方が多いなという印象で、感動するほどのスケールこそ無いにせよ、価格とのバランスも考えれば、非常に親しみやすい品質に満足している方が多いと感じる結果となりました。
品質劣化以外で、このワインを悪く評価する方もいないという事で、(無言の普通評価をされる方もちらほらです)取り合えず手軽で上質なニュイ・サン・ジョルジュを選ぶならば、候補に入れておくべきワインだと感じました。
以上です。
ショーヴネ・ショパン。
自身の苗字と奥様の旧姓を合わせたドメーヌ名だったのですね。
因みにモレ・サン・ドニのデュジャックはジャック・セイス氏のジャックを文字ったという事ですし、日本人が手掛けるルー・デュモンの「ルー」は、仲田夫妻が(カトリックの洗礼式における)”代親”になった、ルーちゃんという女の子にちなんでつけた名前。
「デュモン」は山を意味し、故郷である岡山県の備中松山城をイメージしており、心の中にはいつも故郷があるという想いが込められているという事です。
そんなドメーヌ名の由来を辿ってみるのもおもしろいかもしれません。
それはともかく、ショーヴネ・ショパンはとても親しみやすい上質ピノノワールで、若いうちから楽しめる品質は飲食店にオンリストさせても、使い勝手の良いワインであるとも感じます。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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